歌を聴いて泣けるか

私は泣く

色々理由があってその曲、その歌に限ってだけれど
その曲に私が勝手に込めた思いや、その時の私自身の状況、心境
辛かったならそれを
嬉しかったんならそれを
好きという気持ちでいっぱいだったならそれを
思い出しては目の奥がジリジリと熱くなって
涙腺からジワリと涙が出る

どうにも人生が上手く回らなくて
逃げ道が欲しくて
ほぼ1年、自身の頑張りや努力を
アイドルに重ねて応援して
会いに行って、小さなステージから
大きなステージまで色んなものを無差別に
心の穴を埋めるように雑多に食べて回ってたことがあった
その時はその時で その時だけ
心の穴を埋められたような感覚になるけど
すぐにまた隙間が空いて
またぽっかりと穴が空いたような気分になる
ただ、その頻度がどんどん上がって
埋めていられる時間も短くなっていって
心まで自転車操業のように
すり減らして生きていた
そんな感覚があった

ある時 やっと、久しぶりに
もう十何年も大事に愛して
追いかけているバンドのライブに
1年半ぶりに行った
フェスとかにも出てたから、
行けばもちろん彼らのライブを見ることはできたけど、
数曲で終わるステージよりも、
彼らのワンマンで、
彼らだけの2時間半が欲しかった
だからやっと行けたのが1年半ぶり
FCでチケットを取ったけど席は3階中段で
少し残念ではあった、文句も垂れた
アイドルで心を埋めていたから、
確かにバンドのライブは楽しみではあったけど
きっといつも通り楽しく
騒いで手を上げて振って歌って
ああ楽しかったって
いつも通り心を満たされて帰るんだろうと思ってた

だけどやっぱ1年半っていうブランクは
自分が思っていた以上に大きかったみたいで
1曲め、オープニングからスポットライトだけが彼らに当たって静かに歌いだした曲に
思わず涙がポロポロ落ちた
自分でもびっくりした、
その曲はアルバムの曲で、私の好きな曲調で
何度もその曲だけを繰り返して聴いていた
歌詞は自分には重ならない、
でもこの上手く回らない人生の中で
辛かったり悲しかったりしてたとき
必ず聴いてた曲だった
優しく悲しいメロディーが
自分に寄り添ってくれてるみたいだったから

それを、久しぶりに生で
大好きなボーカルの声で聴いて
歌い上げる姿に1曲めから大泣きした
私今まで何してたんだろうって
大好きなバンドがあるのに
雑多に食べて回っては無駄に心すり減らして
人生も上手く回らなくて生きるのが下手で命まですり減らして
大事にしてた曲も忘れてた
それを全部思い出すみたいに
気づいたらボロボロ泣いてた

その後のセトリも盛り上がる曲やバラード、弾き語り、ギターソロに新曲と盛りだくさんで
改めて追っかけ回してるアイドルとの
質の違いとボリュームの違いを見せつけられた
自分の応援歌と勝手に思って聴いていた曲は本当に彼らが私たちファンを応援してくれていた曲だった。
私があまり好きじゃないかな、と思っていた曲は「君たちに捧げる歌だ」と言ってくれて、初めてこの曲は私の背中を叩いて元気をくれる曲だったと、やっと気づけた。
結果、泣いて笑って歌って声を上げて腕を振ってまた泣いた
もう、座席の位置なんてどうでもよくなってた

そして最後に必ず「お前たちは最高じゃ!」「胸張っていけ!」「自信持っていけ!」と叫んでくれる
私たちに勇気をくれて送り出してくれる
私はこの言葉が聞きたかったんだって
この言葉言ってもらいたかったんだって
やらなきゃいけないこと後回しにして
どんどん自信をなくしていってる中で
きっと誰かに
いや大好きな彼らに
そう言って背中を押してもらいたかったのかもしれない
それをライブの一番最後に気づいて
頑張んなきゃって
生きなきゃって思わせてくれた

音楽に
アーティストに
バンドに
アイドルに
娯楽という分野になるであろうところに
自分の人生を支えてもらってるっていう自覚がある
音楽やそういった芸能に興味がない人には
そんなに?、と思うかもしれない
けれどこのバンドの曲には
本当に 心が折れで曲がってしまいそうな時に
必ず支えてもらってきた
人生の節目や転換期に
必ず耳元で歌ってもらってきた
だから心も折れずに曲がらずに
添え木のように支えてくれて
下を向いていても
前を向けなくても
立ち止まらずになんとか歩いてこれた
彼らがいなければ
彼らの歌と曲がなければ
私の人生どうなってたかわかんない
そのぐらい大部分を占めてしまった

もちろんアイドルはアイドルでとても愛している
上手く回らない人生の暗闇からすがれる光をくれたのはアイドルだ
アイドルはアイドルでバンドとはまた違う
生きていくうえで、人生のそれぞれの場面の色が1つずつ輝くようにしてくれた
アイドルにもとても感謝してる
バンドからもらった元気と生きる気力に、
活力を足してくれる
そんな感じ

他人を自分の人生に織り交ぜて生きていくことは
少し難しくて
依存してしまったらそれは大変なことだけど
勝手に支えにしても自分の力で生きられるなら良いんじゃない って思う
もうこれらがない状態で生きる生き方
分かんなくなっちゃったよ

1年半ぶりのライブ以降、
彼らバンドへの感謝の思いも募りに募って
ライブの度涙腺が緩むようになっちゃったけど
それはそれで 私が生きてるって再確認するためのものだと思うことにした

今日も生きてここまで来れた
歌が聴けた、曲が聴けた
弾き語りでやってくれた曲は
私が十数年ずっと好きだった曲で
その1曲やってくれただけで
私がファンをやっていた十数年は報われた
生きてて良かった、生きてて良かった
そう思わせて泣かせてくれるのって
最高じゃない

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