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由布市湯布院 龍峩山 佛山寺
佛山寺が鎮座する布院町川上。
由布の街並みの北東の外れに位置し、いかにも川の上流なんだろうなぁと感じさせる地名。
北に由布岳が聳え、ここから西に向かって徐々に平坦地になっていく。
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由布の町で迎えた二日目、今日も天気には恵まれそうです。
靄に包まれた幻想的な金鱗湖と自然の恵みをもたらしてくれる背後に聳える由布岳。
なにかの存在を感じない訳にはいかないだろう。
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龍峩山佛山寺。
金鱗湖からの道すがらで見かけた茅葺屋根の鐘楼門。
この趣のある門を構える佛山寺は是非とも見ておきたい。
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佛山寺は地元の人々にとって重要な存在のひとつ。
今から約1,000年前の康保年間(964~968)、性空上人(910~1007)が九州行脚の際に日向國霧島神社でのお告げに従い、由布岳で経を唱えると「具一切功徳 慈眼視衆生(一切の功徳をそなえ、慈しみの眼で迷える者たちを見つめる)」と鳴動する岩があったという。
性空はその岩の一部を持ち帰り、一体の観音像を刻し庵を結び祀ったのが佛山寺の起りだという。
以来、由布の霊場の本拠地とされ、往時には多くの末寺を従えていたという。
しかし慶長大地震(1605)により、本尊は山谷に転落してしまい、当時の由布の村人の手により現在の場所に移したと伝わるようです。
この御本尊は由布霊山観音と呼ばれ秘仏として護り継がれ、その姿を拝めるのは33年毎の御開帳の時、それが2022年だったようで、残念ながら当日は御開帳期間は過ぎ拝むことはできなかった、次の御開帳は33年後、かみさんなら拝められそうだ。
また、金鱗湖の湖中に立つ鳥居は明治の神仏分離に伴って天祖神社に移し替えられたもの。
先に掲載した宇奈岐日女神社とは江戸時代まで習合されていたようで、後の神仏分離により今の姿になったと云う。
写真の茅葺屋根の鐘楼門は元禄時代(1688~1704)に建てられたものとされ、平成6年(1994)に火災で本堂を焼失したそうです。
幸いこの門は焼失を免れ龍峩山の山号額も誇らし気に見える。
消失した本堂も当時は茅葺のもので、伽藍全体が茅葺屋根だったようです。
由布の土地柄に溶け込んだ趣のある姿だったんだろう。
その姿を想像すると白川郷の明善寺の伽藍が思い浮かぶ。
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佛山寺。
平成6年の火災後に再建されたもので茅葺ではないものの落ち着いた佇まいのものです。
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本殿の棟には鰹木や千木の様な構造物が見られます、なんと呼ぶのか分かりません。
勝手な推測でしかないけれど白川郷の茅葺屋根の棟の造りに似ており、茅葺当時の名残をここに留めたのかも知れません。
何れにしても天祖神社やこの本堂と鐘楼門の棟はあまり見慣れないものです。
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本堂の額。
揮毫は達筆過ぎて読めません。
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本堂の戸は閉じられ内部は拝めなかったがこちらで拝ませてもらいました。
ガラス戸に鐘楼門と紅葉が映り込み、これはこれで…
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境内から望む鐘楼門。
こちらから見る茅葺屋根には苔や若木が芽生えていました。
そろそろ葺き替えが迫っているのかも。
この門素朴でいい。
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宿への道すがら、収穫を終えた田んぼの朝露が、漸くとどきはじめた陽射しをうけて輝いていた。
佛山寺
宗派 / 臨済宗妙心寺派
山号 / 龍峩山
本尊 / 由布霊山観音
創建年 / 康保年間(964~968)
開基 / 性空
所在地 / 大分県由布市湯布院町川上1879
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