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オールドワールドの年を振り返る: 果たしてこれは良いゲームなのか?

今日は大晦日と思いきや年が明けてしまった。本年最初の更新だ。思い返せば、2024年はオールドワールドのリリース発表をもってスタートした。そして今年もエンパイアのリリースで始まることになる。私のファーストアーミーであるハイエルフもまだアーケイン・ジャーナルの発表とモデルのリリースを控えているため、今年も忙しくなりそうだ。今回は去年一年オールドワールドをプレイしてみての雑感と今年の予想を書いていく。

ハイエルフはバトルレディの状態で箱にしまわれている。

2024年のオールドワールド

まずは2024年のオールドワールドの動向を時系列順に追っていこう。

1月: オールドワールドリリース発表。俺がとんでもなく盛り上がる。当時の記事はこちら
2月: 日本では2月にオールドワールドがついにリリース。ブレトニアトゥームキングが同時発売。日本全国に騎士伯と砂漠の王が乱立。
4月: オーク&ゴブリンがアレして緑なヤツらがブワッとなる。
7月: ドワーフが発売。観測した範囲ではあまり山の王は増えなかったが、全俺が歓喜する。

新たな王のモデルが発売されたことにより、彼はそっと王位をプラ製キングに譲った。

9月: ウォリアー・オヴ・ケイオス発売。ワイ、ついつい手を出してしまう。

ついつい始めてしまったケイオス軍はとりあえずここまで完成させた。

12月: エンパイアのリリースが告知される。この後各地に選帝侯が乱立し、タンケン氏の財布が爆散する。
来年の予定: ハイエルフのリリース(確定)、残るはウッドエルフとビーストマンのみ。

例のロードマップ。エンパイアのリリースもかなりすごかったので、ハイエルフも期待が持てる。

1年間を通してコアファクション9つのうち、5つが発売され、来年早々にエンパイアがリリース、そしてハイエルフがそれに続くことになる。ビーストマンとウッドエルフはまだ未定だ。いまだに全てのファクションにアクセスすることはできないが、年初に比べて遥かに始めやすくなっている。Made to Order系の商品はほぼゲームに影響するユニットではないので、仮にそれに該当して買えないモデルがあってと、ゲームや編成で苦労することはほぼ無いだろう(ケイオスドラゴンとフォーセイクンとガルラークは未発売)。

素敵なモデルだが別に手に入らなくてもゲーム的には全く影響ないモデルの代表、ウルサー王子のドラゴンカンパニー。

これからの予定で気になるのは、レジェンドファクション(pdfのみでサポートがなされていない勢力)の動向と、サプリメントブックの有無だ。まず前者に関しては、正直予想が立たない。当初発表されていたキスレヴキャセイといった新勢力の登場もチラつく一方で、予想外にサポートが早まることも考えられる。後者に関しては、リリースして1年が経つことを考えるとぼちぼち頃合いといえるので(ホルスヘレシーやミドルアースはだいたいこんな感じの時期になるとサプリメントが出る)、ケイオスの侵攻(アサヴァール・クルによるケイオス大戦)を題材にしたサプリメントブックが出るかもしれない。またプラーグが包囲される。キスレヴが燃える。ケイオスのリリースもまだ中途半端だし。可能性は高い。

オールドワールドはどんなゲームだったのか

全体概況

今年は2000ポイントをメインに遊んだわけだが、非常に良くできたゲームだと思う。さすがに数年の開発期間があっただけあり、戦術性が高く、インタラクティブなゲームになっている。ホルスヘレシーと同様に相手ターンにできるリアクションや決断を下す場面が微増しており、常に疲れる。今までの良いところを伸ばしたというよりは、ダメなところを良くした感じがする。最も革新的なところは、戦闘処理のメカニズムに大幅な改訂があったことだ。これにより部隊同士の押し合いが発生するようになった。後述するがこれはかなり面白いギミックだと思う。全体的に能力値やマジックアイテムがトーンダウンされ、味付けがマイルドな感じに仕上がっていることもこうした駆け引きの発生に寄与している。現状はドラゴンやロイヤルペガサスなど強力なモンスターに騎乗するキャラクターとそれへの対抗策を中心にメタが形成されているような気がするが、エンパイア、ドワーフ、ウッドエルフなど射撃中心の編成も面白い。

ドワーフ王率いるの精鋭軍団は3方向からの突撃に耐え、そして勝つ。戦闘結果集計はこのゲームで最もテンションの上がる時間だ。

ここがいいよオールドワールド

スムーズなゲーム体験
オールドワールドは確かにそれなりの量のミニチュアを使用する。が、大半はムーブメントトレイに乗っていて、機動も特定の方向へ制限される。また、射撃主体のゲームでないため序盤は有利な位置に移動することに終始することが多い。そのため中盤〜終盤にクライマックスがやってくるゲームデザインになっている。初ターンで壊滅なんて事はほとんど起こらないのが常だし、なんなら最後まで勝敗がわからないことが多い。序盤は位置取り、中盤はぶつかり合い、終盤で趨勢が決するというフルコースデザインだ。素晴らしい。また、魔法が大きくチューンダウンされ、煩雑な(とはいえ結構楽しくはあった)マジックフェイズもなくなったため体感スピードも早い。まれに初手で突撃したり、魔法が大爆発したりして序盤から大きな動きがあることもあるが、それはそれで戦術の幅というやつだ。

やろうと思えばこれで2000ポイントを編成できる。

部隊同士の押し合い
隊列を組んだ部隊がぶつかり合うほど楽しいことはない。この楽しさをさらに演出する仕組みが、オールドワールドには満載されている。まず戦闘処理のギミックがオーバーホールされ、戦闘で負けたらジリジリ、もしくはガッと後退するようになった。もちろん士気チェックに大失敗して部隊が逃走することもあるが、バトルスタンダード(軍団旗)によるリロールや、将の威厳(大将が発する威圧的オーラ)もあるので"不運"と"踊"っちまわない限り頻発しない。この予期せぬ動きがポイントで、戦線がよく動くため陣形に乱れや破綻が生じるし、逆に引き込んで包囲を形成することもできる。生き生きとした「合戦」のシミュレーターって感じで非常に良い。また、貫通値がマイルドになって攻撃回数も全体的に減り、さらにリロールなどもロクにないため兵士が死ににくくなってユニットの場持ちがよくなったことも要因に数えられる。

こちらは単騎でステートトループと押し合いへし合いを演じる我が王。王自身は無双の戦闘力を持つが、多勢に無勢。ちなみにどれだけ殺しても軍旗や隊列で戦闘結果では負けてしまい、じりじり後退する。

いい感じのバランス調整
「大部隊」の削除により大量のミニチュアを必要としなくなった。1部隊にはせいぜい20人、どんなに多くても30人くらいなもんだろう(鼠人間は除く)。私なんかは6人×3列の18人で運用したりすることが多い。後ろの兵士が支援攻撃を繰り出すことは基本的にないため、多けりゃいいというわけじゃないのが面白い。とはいえ少なすぎてもダメだ。縦横の比率も重要で、横に伸びれば攻撃回数が増えるがスペースを取って動きが鈍くなるなどのジレンマがあるのもよい。また先にも書いたが兵士一人の攻撃能力が全体的に下方修正されたため、ユニットの損耗率が低く抑えられる傾向にある。マジックアイテムや魔法を用いたいわゆる「ぶっこわれコンボ」みたいなのも鳴りを潜めていて、どんなアーミー同士でもそれなりに勝負になるのは非常に良いところだろう。

5×4の20人部隊。最前列はチャンピオンも含めて6回攻撃できる。隊列ボーナスは+2で、アーマーはヘヴィアーマーとシールドで4+な上に人数もそれなりにいるため耐久力がある。典型的な金床(アンヴィル)だ。
こちらは武装をグレイトウェポンに変更した部隊。6×2編成なので最前列の攻撃は7回だがグレイトウェポンのせいで敏1な上に戦闘中はシールドを使えないのでアーマーが5+になる。あまり耐久力がないことを踏まえて12人で編成した。こちらは鉄槌(ハンマー)の役割を果たす。

騎兵とチャリオットの復権
戦陣を組んだ騎兵による突撃。それは全人類が仲良く心を震わせられる最高の瞬間だ。ペレンノールでオークの大軍勢に突撃するセオデン王とローハンの騎兵の勇姿に胸が熱くならない人間などこの世にいないと断言できる。8版ではあまり見られなかった騎兵ユニットが様々なルールによる恩恵を受けた結果、騎兵はそれほどのパワーを得た。高い機動力と攻撃力はもちろんだが、騎兵の突撃がしばしば歩兵の隊列ボーナスを無力化する「ファーストチャージ」を得たのが大きいだろう。これにより敵の歩兵の壁を突き破り、突貫することが可能になった。相手がドワーフでもない限り押し勝てるので、騎兵が運用可能なアーミーならほとんどロスターに入ることになったといえる。やはり騎兵は戦場の華だ。また、私の大好きな兵科であるチャリオットが復権したのも大きい。チャリオットには必殺の一撃もモンスターハンターも通用しない上にそこそこの耐久力と高い衝撃力があり、足背を突ければ決定的な打撃を叩き込めるし、なによりキャラクターの騎乗にもなる!Age of Chariotの開幕だ!

というわけで早速建造されたティラノック・チャリオットたち。一両はキャラクターを差し替えて乗れるようにマグネタイズが施されている。

ここがアカンよオールドワールド

強すぎるモンスターとレベル4ウィザード
これはオールドワールド開幕当初から問題としてよく話題になっていたイシューだ。とりあえずキャラクターを空飛ぶ強力なドラゴンに乗せてマジックアイテムを盛り、無敵のヒーローを作り上げることからアーミーが始まりがちだ。同様に、トーンダウンしたとはいえレベル4ウィザードが攻守を問わずほぼ必須戦力のためこちらにもポイントを吸われる。結果半分近くのポイントをロードとウィザードに支払うことになるというのはアーミーの多様性を著しく損ねてしまうのが残念なところだ。こうした強力なキャラクターによる力押しは俗に「ヒーローハンマー」と呼ばれるが、今回はこのヒーローハンマーに寄った調整のようだ。また、どのアーミーもドラゴンや強力なウィザードにアクセスできるわけではないし、明確な対抗策も公平に用意されているわけではないのがアーミー間の戦力格差に繋がっている。

ドラゴンにも魔法にも明確なアンチモンスター戦術にもアクセスできないドワーフは、筋肉と鋼と火薬とルーンで立ち向かうより他はない。こいよウォーボス!そんなワイヴァーンなんか捨ててかかってこい!(切実)

頼りない歩兵
「歩兵の大部隊」という、正気を疑う戦術がかつては存在した。横10人×5列の部隊を複数並べ、魔法をかけてガッチガチのバッキバキにして、触れるもの全てを粉砕する一種のデススター戦術だ。硬い、強い、逃げない、多いの4拍子そろった無敵のファランクス戦術に、初心者はただドン引きするしかなかった。だから滅びた。オールドワールドではその反省からか、歩兵がイマイチ強くなくなってしまった。足が遅いから騎兵には先に突撃されるわ、騎兵に突撃されれば隊列ボーナスも消されるわ、攻撃回数は少ないわ(最前列しか殴れないから)でいいことがあまりない。騎兵やモンスターが強いため相対的に弱くなっている側面もあるが、単純に数の利を活かせないルーリングのため壁役としての強みがないのが残念だ。

そこで編み出した歩兵戦術。歩兵に頼るより他にないドワーフ軍で編成した歩兵デススター。バトルスタンダードと通常軍旗にルーンの効果で何もせずとも戦闘結果+4、さらに隊列ボーナスを得て、キングが合流しているため万が一にも押し負けない。さらにグルングニのマスタールーンの効果でワードセーブ5++とガッチガチだ。まぁ、無視されたら終わりだがな!

2025年のオールドワールド(予想)

ハイエルフがやってくる!
今年は私のメインアーミー、ハイエルフが満を辞して登場する。こちらのリリースもエンパイア同様、いやそれ以上に巨大なものになるはずだ。なぜならハイエルフの兵種は他を圧倒するほど多く、それぞれが個性的だからだ。気になるのは8版スタートセット「流血島の合戦」に入っていたグリフォン騎乗ロードローザン・シーガードエリリオン・リーヴァーソードマスター、そしてめちゃカッコいいメイジがどんな形で復刻されるかだ。流血島復刻の噂もあったものの、まだ音沙汰ないからよくわからない。私個人は流血島は一生分持ってるわけだが、新規プレイヤーのためにも復刻して欲しいところだ。また、他のアーミーは新ユニットが多く追加されているが、ハイエルフは歴史上闇に消えたユニットが少なく、何が飛び出してくるか予想がつかない。女王の近衛メイデンガードあたりかと予想しているがまぁわからん。あとグレートイーグルはどうかフォージレジンで復刻して欲しいところだ。さすがにメタルは辛い。それに新しいアーミー編成も気になるところだ。エンパイアがナルン編成と騎士団編成を得たところから、ハイエルフもたとえばカレドールの騎士団やサーフェリーの魔術団、チャラスの狩人や不死鳥の王の軍などありとあらゆるものが思いつく。ハイエルフは長命なため、どんなスペシャルキャラクターが来てもおかしくない。「GWに愛されし者」にしてまだ厳しくなってない若きエルサリオンや、ケイオスとの戦いで功績を得た若き天才魔術師(当時)テクリス、その兄にして当代最強の若武者(当時)ティリオンなど枚挙にいとまがない。楽しみだ。

ハイエルフの登場、楽しみに待っているぜ。

ウッドエルフとビーストマン
最後に残った2勢力については、ライバル関係のためほぼ同時期にリリースされると考えられる。去年のリリースペースを考えると、今年中に全てのファクションがリリースされるだろう。残念なことにホルスヘレシーのリリースペースが鈍化してい流のに対して、嬉しいことに昨今のオールドワールドへの力の入れ具合がかなり強めなことからも、おそらく確実だ。年の後半に何らかのサプリメントブックが登場してもおかしくない。内容はケイオスの侵攻とそれに伴うおもしろシナリオやユニット追加と考えるのが妥当だが、シナリオ本や1.5版的な全体アップデートの可能性も捨てきれない。今のところルールに破綻があるわけではないが、ポイント調整やルール変更などで環境を変えてくる可能性はある。

というわけで今年もかなり楽しみなオールドワールドだが、みんなもこの世界に飛び込もう。本年もよろしくお願いします。

四角いベースからしか得られない栄養素が確かにあるのだ。

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