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【エッセイ】 #12 月の爆撃機

良い曲には3種類ある。

音がいいか、声がいいか、歌詞がいいかの3つだ。

そうはいっても個人差がある。
自分は歌詞が好きな曲と遭遇すると、とことん聴いてしまうタイプという自覚がある。

歌詞がいい曲を創る筆頭といえば、ミスチル。大ファンである。

なぜミスチルが好きなのか。
それは「直接的ではないが心に触れる」歌詞を書くからだ。

ミスチルは「日々わかったつもりでいて、わかっていない」「もやもやしているが、言葉にできていない」そんな人々の機微を掬うような言葉を歌詞にする。これはもう天才の所業である。

例えば、名曲「名もなき詩」の一節

あるがままの心で生きられぬ弱さを
誰かのせいにして過ごしている
知らぬ間に築いていた
自分らしさの檻の中で
もがいているなら
僕だってそうなんだ

https://www.uta-net.com/song/8944/

皆が心の底で思っていることを掬った上で「僕だってそうなんだ」
と肯定する。神様なのか、あなたは。

心に染み込むような歌は、きっと歌詞もいい曲なのだと思う一方、
雷に打たれたような衝撃を受けた曲もあった。

それがTHE BLUE HEARTS の「月の爆撃機

とにかく出だしがこの上なくカッコイイ

ここから一歩も通さない
理屈も法律も通さない
誰の声も届かない
友達も恋人も入れない
手掛かりになるのは薄い月明り

https://www.uta-net.com/song/61825/

「こんなにカッコイイ歌詞があるのか」と初めて聴いた時は本当に衝撃を受けた。同時に、少し目が潤んだ。

なぜこの歌詞が胸に来るのだろうか。

それは「直接的ではないが心に触れる」などではなく、「人が本来こころの底で持っている感情」を引きずり出す! というエネルギーが詰まっているからだ。

この曲を聴いたら、出だしから心を持っていかれてしまうのだ。

そして甲本ヒロト、いやTHE BLUE HEARTSにはらわたを引きづり出されるが如く「自分の感情」を解放させられてしまうのだ。

音楽はこんなエネルギーを持つ場合もあるのか、とある意味自分が音楽を聴く姿勢を大きく変えられた一曲である。

月の爆撃機」 聴いたことがない人はぜひ聴いてほしい。

自分を解放させるチャンスです。

https://youtu.be/YZ6T7-XU5eo






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