【エッセイ】 #12 月の爆撃機
良い曲には3種類ある。
音がいいか、声がいいか、歌詞がいいかの3つだ。
そうはいっても個人差がある。
自分は歌詞が好きな曲と遭遇すると、とことん聴いてしまうタイプという自覚がある。
歌詞がいい曲を創る筆頭といえば、ミスチル。大ファンである。
なぜミスチルが好きなのか。
それは「直接的ではないが心に触れる」歌詞を書くからだ。
ミスチルは「日々わかったつもりでいて、わかっていない」「もやもやしているが、言葉にできていない」そんな人々の機微を掬うような言葉を歌詞にする。これはもう天才の所業である。
例えば、名曲「名もなき詩」の一節
皆が心の底で思っていることを掬った上で「僕だってそうなんだ」
と肯定する。神様なのか、あなたは。
心に染み込むような歌は、きっと歌詞もいい曲なのだと思う一方、
雷に打たれたような衝撃を受けた曲もあった。
それがTHE BLUE HEARTS の「月の爆撃機」
とにかく出だしがこの上なくカッコイイ
「こんなにカッコイイ歌詞があるのか」と初めて聴いた時は本当に衝撃を受けた。同時に、少し目が潤んだ。
なぜこの歌詞が胸に来るのだろうか。
それは「直接的ではないが心に触れる」などではなく、「人が本来こころの底で持っている感情」を引きずり出す! というエネルギーが詰まっているからだ。
この曲を聴いたら、出だしから心を持っていかれてしまうのだ。
そして甲本ヒロト、いやTHE BLUE HEARTSにはらわたを引きづり出されるが如く「自分の感情」を解放させられてしまうのだ。
音楽はこんなエネルギーを持つ場合もあるのか、とある意味自分が音楽を聴く姿勢を大きく変えられた一曲である。
「月の爆撃機」 聴いたことがない人はぜひ聴いてほしい。
自分を解放させるチャンスです。