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三瓶東の原にて(お盆前の快晴の夜)

夜のリフトにイルミネーション?

お盆前最後の月のない快晴の夜を逃すものかと東の原駐車場に行ってみると, 夕方からリフトにイルミネーションが点灯していて観光バスが到着. 私は駐車場の入り口近くの端っこで店開き(機材を準備すること)していると, バスからガイドさんらしき人がテクテクやってきて話しかけられた. 星見のイベントで来てみたら望遠鏡出してるおじさんが居たので声をかけてくれたんでしょう. 「天空の星降るリフト」というイベントで, バスは大学生たちの団体みたい. それで「星空ガイドできますよ〜」「インバウンドとかもできたりします?」「やりませう」と営業して(笑), 今日見える星空や人工衛星のことなど少し話した.

「天空の星降るリフト」というイベント

こんな感じで↑21時まではリフトのイルミネーションがあったり, その後22時ごろまでは駐車場の街灯が点いていたり(こっちの方が南の空がカブって嫌だったなぁ..), ということで本格的に撮影できたのは22時ごろからだった. リフトのイルミはともかく, 駐車場の街灯はもっと早めに消して欲しいと思ったりする. 駐車場に来る一般の人も, 日が暮れてから来るのは星空をみたいからなんだろうし.

中国の人工衛星がこと座ベガをかすめる

この日の最初のターゲットは, 中国の宇宙ステーション「CSS」. プラネタリウムソフトのStellariumでこの日の星空に何があるか眺めていたら, 20:06にちょうど三瓶東の原から見てベガの近くをかすめて飛ぶのを見つけた. 焦点距離1800mmの視野内でもベガといっしょに入るくらい近くを飛ぶ↓

国際宇宙ステーションISSについては世界中の多くの方たちが望遠鏡で写真を撮ったりしてるが, CSSについてはあまり見かけない. ここに↓ISSとのサイズの比較があるが, これによるとCSSはISSの1/3くらいみたい.

小さいから地上からの撮影のターゲットとしてあまり魅力がないのかな?と思われるが, せっかくのベガとニアミスというレアなイベントなので, 撮ってみることにした.

ベガの横を通過するCSS(2024/8/7 20:06JST): GS150CC(15cmカセグレン), 0.8xレデューサ, IR/UVカットフィルタ, ASI533MC; ASICapでキャプチャ(gain300, ss 2ms, 8bit), AstroSurfaceでTIFF変換しGimpで"light only"スタック.
CSSの拡大像: 上の画像の各コマのCSSの部分を切り出してピクセルを2倍に増やしてスタックしwavelet処理(Gimpによる).

以前Stellariumの予測でISSを撮ろうとして失敗したことがある(衛星のデータが古かったTT)ので, 撮影直前に人工衛星の軌道データをアップデートして再確認. CSSの軌跡は予測どおりで撮影に成功:-) 拡大してみると, 進行方向に流れている気がする. 四角い羽根のように見えるところはホントはもっと細い筒状の部分と思う. 2msの露出時間はまだ長すぎたかもしれない. あるいは, 手動で鏡筒を振って衛星を追尾した方が良かったかも…

天の川の中のモノたち

今年最後のチャンスかも知れないさそり座付近を撮りたかったんだが, その辺が南中している時間は駐車場の街灯が消えず, 撮影結果はカブリで惨敗. 撮れたのはいて座くらいから.

干潟星雲M8と三裂星雲M20, 散開星団M21とかそこら辺: SD60SS 0.8xレデューサ, Sightron CometBPフィルタ, Fujifilm X-T2 ISO3200, 26x3min (78min) (dark 11, bias 20, flat 20), AstroPixelProcessorでスタック, RawTherapee/Gimpで色調/WB調整. (ちょっとフォーカス甘かった. 温度変化でズレたみたいTT)
はくちょう座 網状星雲(NGC6920, 6960 etc.): SD60SS 0.8xレデューサ, Sightron CometBPフィルタ, Fujifilm X-T2 ISO3200, 56x3min (168min) (dark 11, bias 20, flat 20), AstroPixelProcessorでスタック, RawTherapee/Gimpで色調/WB調整.
はくちょう座デネブ〜サドル付近の天の川, 散光星雲たち: Ai Nikkor 105mm F2.5S @F4, Kenko プロソフトンクリアフィルタ, Fujifilm X-E2 ISO1600, 29x2min (58min) (dark 7, bias 10, flat 20), AstroPixelProcessorでスタック, RawTherapee/Gimpで色調/WB調整.

この↑はくちょう座のしっぽ辺りは, フォーカスが甘くて(?)星像がイマイチだった前回のリベンジなのだ. 今回は前回使った星雲を強調するフィルタを使わず星と天の川の色も自然な感じにしてみた.

昨年に続いてこと座のリング星雲M57の細部をあぶり出す試みを… この惑星状星雲は明るくて写りやすいが, サイズが小さい(3.5', 月の1/8くらい)ので細部の濃淡がなかなか出ない. ライブスタックで, 昨年の2倍くらい撮ってみた. 画像を拡大したりwavelet(鮮鋭化処理)かけたりして…↓

こと座リング星雲M57: GS150CC(15cmカセグレン), 0.8xレデューサ, IR/UVカットフィルタ, ASI533MC; ASILiveでライブスタック(gain250, ss 20s, 16bit, 210コマ, dark 8, bias 31), ASIFITSViewでTIFF変換, RawTherapeeで色調調整, 1400x1400ピクセルをクロップ, 2xにスケールアップしてGimpでwavelet処理.

昨年よりも少し濃淡が細かく出たかも:-)

マイナーな星座たちとか

あとは, 105mm望遠レンズで撮れる小さい星座やら, 今まで撮っていなかったわりとマイナーな星座やら…

これは↓Stellariumではくちょう座, わし座, ペガスス座の間あたりを表示したところ. 元々あったメジャーな星座のすき間を埋めるようにコンパクトな星座が配置されていたりする.

Stellariumの表示より: はくちょう座, わし座, ペガスス座の間の小さな星座たち.

小さいけど暗い空ではよく目立つ「いるか座」↓

いるか座: Ai Nikkor 105mm F2.5S @F4, Kenkoプロソフトンクリアフィルタ, Fujifilm X-E2 ISO1600, 18x2min (36min) (dark 7, bias 10, flat 20); AstroPixelProcessorでスタック,RawTherapeeで色調/WB調整.

「や座」も天の川に埋もれているが, わりと見つけやすいかも. 矢の途中に球状星団があったり, 先端の星から上(北)へ行ったところに惑星状星雲M27が見つかったりする.

や座(下の方の"ー<")〜こぎつね座(上の方): Ai Nikkor 105mm F2.5S @F4, Kenkoプロソフトンクリアフィルタ, Fujifilm X-E2 ISO1600, 17x2min (34min) (dark 7, bias 10, flat 20); AstroPixelProcessorでスタック,RawTherapeeで色調/WB調整.

下の絵↓はStellariumで上の写真と同じところを表示したもの. エンジェルフィッシュ星団(M71)や亜鈴状星雲(M27), 写真の中に見えますか?

上の写真の範囲をStellariumで表示したもの.

わし座は1等星アルタイルもあるメジャーな星座だが, 天の川の中ではくちょう座付近やいて座付近の人気に比べてあまり見つめられることがない, プチマイナーな方かも知れないし, 自分も考えてみたらちゃんと撮ったことがない. それで, 35mmで…

わし座: Fujifilm XF35mmF1.4 @F2.8, Kenkoプロソフトンクリアフィルタ, Fujifilm X-E2 ISO1600, 12x2min (24min) (dark 7, bias 10, flat 20); AstroPixelProcessorでスタック,RawTherapeeで色調/WB調整/グラデーション補正.

いて座の東に行くと, もう秋の星座たち.

やぎ座: Fujifilm XF35mmF1.4 @F2.8, Kenkoプロソフトンクリアフィルタ, Fujifilm X-E2 ISO1600, 7x2min (14min) (dark 7, bias 10, flat 20); AstroPixelProcessorでスタック,RawTherapeeで色調/WB調整.
おひつじ座: Ai Nikkor 105mm F2.5S @F4, Kenkoプロソフトンクリアフィルタ, Fujifilm X-E2 ISO1600, 12x2min (24min) (dark 7, bias 10, flat 20); AstroPixelProcessorでスタック,RawTherapeeで色調/WB調整.

明け方が近づくと冬の星座たちが昇ってくる. 先頭がすばる(プレアデス星団M45). 下の写真の右の方に見える青白い星の集まりがそれ. そしておうし座が続く.

おうし座と惑星たち(木星・火星): Fujifilm XF35mmF1.4 @F2.8, Kenkoプロソフトンクリアフィルタ, Fujifilm X-E2 ISO1600, 15x2min (30min) (dark 7, bias 10, flat 20); AstroPixelProcessorでスタック/光害補正,RawTherapeeで色調/WB調整.

今シーズンはおうし座で木星と火星がごいっしょしている. 秋はみずがめ座にいる土星からおうし座にいる木星, 火星, それに夕方は宵の明星として見え始めた金星と, 惑星の見ごろになる. 

こんなところで, 夜明けが近づき, 空が白みはじめた.

明け方4時前から再びリフトにイルミネーションが点き, 車がたくさん入ってくる!? 何事かと思っていると, どうやら「天空のあさごはん」のお客さんたちのようでした. 一晩の撮影三昧でぼーっとする頭で撤収, リフトで上がっていく人々を見送りつつ眠りに落ちる… zzZzZZ..

【了】

三瓶のイベントの情報源

この夜遭遇した「天空の星降るリフト」や「天空のあさごはん」についてはこちらに↓

これらのイベントの申込みは三瓶温泉のさんべ荘さん↓へ…

ちなみに三瓶温泉, 鉄分と塩分の豊富な赤土色の湯で私のイチオシです. さんべ荘さんの他, シンプルな設備で安価な鶴の湯さん, 亀の湯さん, 食事ができる湯元さんもあります.

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