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友達が人妻になった

「令和3年の3/3だから、いい日だなあと思って入籍することにした」と彼女は嬉しそうに言っていた。

Twitterで知り合って3年ほどだろうか。
上京したての彼女は妹と同い年で、一人暮らし初心者にしてはまあまあ治安の悪いところに住んでいた。
折り畳み自転車が折り畳めなくなった状態で、あくせくしながら畳んで、赤提灯の店で路上を行き交う人を見ながらホッピーを飲んだのを覚えている。

基本的には彼女と私をつないでくれた友達と三人で遊ぶことが多くて、カラオケに行ったり、「初めてだから行ってみたい!」とリクエストされたからわざわざ新宿の日高屋へ一緒に行ったり、気づけば三人のグループLINEで会話しない日の方が稀になったりしている。

そのうち、そこにお互いの恋人が混じって五人で出かけることも増えた。
初登場時に超いちゃついてて若干引いたのもいまではいい思い出だ。
手を繋ぐのはまだしも、もたれかかるのは若さだな……と思ったよ。

二人で遊ぶこともあった。
なぜか私の幼馴染も巻き込んで引っ越しの手伝いをした時もあった。
内緒の相談でLINEをしたりした日もあった。
お互い泣いてしまって慰め合う日もあったね。
いつしか妹のようにかわいくて、それ以上に最高の友人で、灰色の瞳がまぶしい愛しい人になった。

五人で日帰り旅行に行って、恥ずかしそうに婚約報告をしてくれた時はとても嬉しくて、思わず叫んでしまった。
彼女の手に輝くティファニーの指輪は綺麗だった。

そんな彼女が今日人妻になった。
これから先も恋人から旦那になった彼とも喧嘩してしまって、連絡がくる日もあるだろう。
三人でまた遊びたいねとも言っている。
ボーリング対決も、カラオケ大会も、BBQも結局していない。早くやろうね。

結婚おめでとう。末長く幸せに。
笑顔のあなたが一番好きです。

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森田玲花
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