045.「歳を重ねるごとにビールが好きになる」のこと
お酒が好きだ。ふわふわした気持ちで歩く帰宅路がすきだから。嫌なことも全部わすれられるから。本音がちょっと聞けるから。少しだけ長く一緒に居られる言い訳になるから。
本当は炭酸が苦手で普段はコーラも飲めないんだけど、お酒だとなぜかスルスルと飲んでしまう。喉にくるキック感とか胸にくるせりあがりとか、全然すきになれないのに。煙草だって同じようなものか。
一番最初に飲んだビールは気が抜けてて、でも炭酸も苦味も全部だめで、半分泣きそうになりながら飲み干した気がする。美味しくないのに飲んで、ちょっとずつ進むけど「ぬるいのは美味しくないぞ」と言われて、へへへって笑いながら白黒してしまって。
それが今では「ビール飲みたい」って自分から思って、今日だってゆるゆると一缶開けてしまっている。日本酒は残りやすいから平日は我慢。糖質だって高いしね。
歳を重ねるごとにビールが好きになるのは、言いたいことを我慢できるようになったせいなのか、それとも味蕾の退化なのか、慣れなのか、はたまた穏やかな何かのせいなのか。
ただひとつ言えるのは、いまも片隅にある缶ビールは気が抜けているってことだけだ。
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