日記のような感情メモ1009
父が3人いる。
正確に言えば、「父と呼ぶ関係の人」が3人いる。
実の父と、コピーライターとしての父と、謎の偽父。
一番最初の父以外は意味がわからないけど、それが当たり前の生活だ。
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「ちょっと一本行かない?」と久々に先輩から誘われる。
何かやらかしたっけ……と手に汗をかきながら喫煙室へ入ると、「もう何にも書けねえ〜ッ」と嘆いてバンザイ状態になり始めた。
人目のつかないところでの注意ではなく、普通に愚痴りたかっただけらしい。
こりゃダメだなと思って、「気分転換に餃子食べにいきましょ?」と誘って油で床がギトギトの中華屋へ。
白米がめちゃめちゃ多い餃子定食を頼んで、ぼけーっと一服していると3分もしないうちに「お待ち〜」と焼きたてが運ばれてきた。
みっしり詰まった餡で膨らんだ皮が蛍光灯の光を艶やかに跳ね返している。
「これ絶対眠くなりますよね〜」「それな〜もうビール飲みてえな〜」と言いながらハフハフ。
100円の缶コーヒーを買うために散歩へ繰り出し、ついでに未解決事件の話をしてからもう一本吸って仕事に戻る。
案の定、オフィスのエレベーターに乗っている最中で、二人ともあくびが止まらなくなって笑った。
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台風が直撃するので、買い出しリスト作成のために情報収集。
朝が弱くて起きられないため、絶対天気予報を見ていない恋人に「台風直撃だって」と連絡する。
「台風直撃やだぁ……我ラグビー見たいぃ……」との返信に「38歳児しっかりして……」となった。
思い返せば私も「もう書けない〜〜〜〜〜ヤダヤダヤダもうお家帰る〜〜〜〜〜」と残業中によく言っているので、幼児の二人暮らしということにしよう。
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時刻表を見ずにバス停へ行くと、深夜ということもあり次発が20分後というトラップ。
待つ方が早く帰れるのはわかっていたけど、日頃の運動不足を解消するためにも……と思い、友人と電話をしながら歩いて帰る。
朝と夜だけはすっかり秋めいていて、半袖に薄いコート、ついでにほろ酔いということもあり気持ちよかった。
あっという間に全部終わって、一周することには変わらないものと変わったものが混ざり合って新しくなるはず。
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コーヒーサーバーの掃除をしながら、言われていないことをやる意味を考えてしまう。
下っ端がやるべきとか、掃除当番の人ももっとちゃんとしとけよとか、そういうのじゃなくて、気付くか気付けないか、私の仕事はそこがスタートだから必要なのだ。
だから、サーバーの上に鎮座している先輩が昨日の夜忘れて帰ったであろうコーヒーカップも洗う。
あとで喫煙所であったらネタにしていじってやるんだから。
師弟・先輩後輩とまた別の、そういう関係の二人になれたことを私は誇りに思っている。
いただいたお金は、美味しいお酒と新しい本に使い、書くためのエネルギーにしたいと思います。