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カナダ留学、今年からヤバいかも。学生ビザ発行数「50%以上減」【2】

割引あり

こちらの記事の続きです。

カナダ留学、今年からヤバいかも。学生ビザ発行数「50%以上減」【1】|Yuriko | バイリンガル海外子育て5年目☕ (note.com)

このシリーズ記事の情報元である政府の公式発表のニュース動画はYouTubeで見られますので、この記事にも最後に貼っておきます。

英語もあまり難しくないので、字幕を付ければおおよその意味はわかる方も多いかと思います。英語学習中の方はぜひ英語で見ていただけるといいかと思います。

全部がわからなくても、「私たち留学生は、そういうニュアンスで言われ、そういう存在としてみられているんだな」ということが端々から感じ取れると思います。そしてそれは、視聴する人によって異なると思うので、ぜひ見てみてほしいです。

このシリーズ記事は、「カナダが留学生向けの学生ビザの発給数を今年から2年間制限し、取り急ぎ今年度で35%削減する。その他にもこれまで認めていた留学生特典を見直す」とカナダの移民局が発表したニュースについてみていきます。

前回記事の続きのトピックスからいきましょう。



それでも、新規の「母子留学」「教育移住」は要注意


さて、前回記事で触れたさまざまな留学生に対する制限ですが、移民局からの公式発表では「高校生以下の留学生は学生ビザ規制の対象外」といわれています。つまり、小・中・高校での留学においては、これまで出ていた学生ビザは変わらず出るだろう、と考えられます。

しかしながら現在、学生ビザの発行がとても遅延しています。

現在、というか、実はカナダのこうした手続きがゴタゴタするのは今に始まったことではないです。特に昨年春の大規模なストライキから(という理由をその後何ケ月も聞き続けましたが)、ビザ処理は何か月もの時間がかかっています。

そして、今回の規制でさらに、新規の学生ビザ申し込みには「州の承認レター(provincial attestation letter:PAL)が必要」という新ルールまで加わり、さらにこの「州の承認レター」がどういったプロセスで何をするのかについては3/31までには決めますね、という状態。

そういったわけで、新規の学生ビザの申請自体を3月末まで受け付けていません。

4月になれば受け付け開始とともに、「州の承認レター」の詳細についても発表されることでしょう。そこから、そのレターを申請し、獲得する必要があり、IRCC(移民局)の申請サイトもシステム更新が必要なはず。
そうしていると、申請自体は4月の後半、5月とずれこんでいく可能性があります。そして、申請から発行までも何カ月もかかりますし、その間に健康診断やバイオメトリクス(指紋)登録が必要になる場合もあります。

すると、9月の新学期に間に合わないケースも十分考えられ、ここが新規学生にとってのリスクだと考えます。

ビザにミスがあることも珍しくないです。そうなるとまたイチから申請し直し、ということになります。(実際、私は前回、ビザの有効期限の日付にミスがあり、再申請しました)。申請費用も重複でかかりました。

日本であれば、相手のミスなのだから最優先でチャチャっと直してもらう、とか再申請費用は当然かからない、というところですが、カナダでは(おそらく他の国でも)そのクレームを受け付ける窓口自体がないか、あっても機能していません。

仮にクレームを入れる窓口がわかったとしても、そこに申請した内容が受理されて処理されるとは限りませんし、それでビザが失効してしまったら国外に出ていかなければならないのはこちらの方です。

それらのリスクを冒すよりは、まだ間に合うタイミングでさっさと再申請する方が総合的に合理的、と私は判断しました。

と、少し話が脱線しましたが、このように、低年齢での留学や母子移住・教育移住はその学生ビザの制限にはひっかかりませんが、そのあおりをうける可能性は十分にあると私は思っています。

カナダの学校は、公立校の方が申し込みが早く、私立の学校の受験の方がそれより少し後の日程になります。ちょうどいま(1~2月)、公立校のインターナショナル生の申請プロセスが進んでいるような時期であり、なおかつ私立校の入試の時期くらいではないでしょうか。

2024-2025年度の留学の方で、ご自分でビザ申請を行おうとしている方は、なるべく急ぐ方がいいと思いますし、学校や学区の留学生担当の方のサポートを受けることをおすすめします。来年度以降に予定されている方は今年の動向を参考に、なるべく早く動くことが鉄則になるかな、と思います。

エージェントに依頼する場合も、スケジュール感や注意点をよくご確認ください。


ビザが間に合わなかったらどうなるの?


では、ビザが間に合わなかったらどんな不利益が起こるのでしょうか。

カナダに日本から留学する初年度の場合、日本にいる間にビザの申請・発給を終え、それを証明する書類を持って渡航し、入国する空港でビザ(A4の紙)を受け取る、という流れになります。

日本人はノービザでも半年間カナダに滞在できますが、この入国時に「学生ビザ」で入国していないと、その後カナダ国内にいる間に学生ビザが発給されたとしても、学校には通えない、と聞いています。学校に通いたい人は「学生ビザ」をもって入国しないといけないのです。つまり、学生ビザが発給されなければ渡航の予定も立てられないということになります。

(実際にやっていないので未確認ですが、どうしてもならカナダに入国しておき、ビザが下り次第アメリカやメキシコあたりに一度出てその時に学生ビザで入国すれば済むんじゃないかな、とは思ってます)

もし、9月に新学期が始まってしまってそれでもビザの発行が遅れていたら、待つしかありません。実際今年度(2023年9月入学)の新規留学生でもそのような方がいました。学区や学校の担当者は善処してくれますが、移民局がビザを出してくれない事にはどうしようもないのです。

国によってはビザがなければカナダに入国もできませんから、自国で待つしかありません。

私は保険の手続きで手間取ったので留学生オフィスに何度か出入りしたのですが、そのときに「まだ入学できていない生徒もいるのよ…」と留学生担当オフィサーが申し訳なさそうに話していた姿が印象的でした。

学生ビザがない状態で学校に通うのはカナダにおいてはとてもリスクの高い行為だと、関連職種についている友人から聞いています。
(余談ですが、マレーシアでは観光ビザで入国して学校に通いながら学生ビザの申請をするので、国によって事情は違いますね)

うっかりそういったことをしないように、注意が必要です。


ビザが下りなかった場合の学費はどうなるの?


学生ビザが下りなければ学校に通えない、とお伝えしました。
では、学生ビザが下りなくて学校に通えなかった期間の保障はあるのでしょうか。

これの説明については、学生ビザの申請にあたっての順序をまずご説明します。
順序としては、公立も私立もほぼ同じです。
(公立と私立では時期が多少異なる(公立の方が早い)のと、公立には試験がないことが違いです。私立の学校では、ペーパーと小論文、面接などの試験があります)

公立も私立も、

学校に申し込み→入学決定→学費の納入(入学金等+1年間分の授業料一括支払い)→学区・学校からのオファーレター→学生ビザの申請

というプロセスになります。
学生申請プロセスの中に、収入や貯蓄の証明、親子関係の証明、健康診断など細かな書類の準備・提出が含まれてきます。

つまり、ビザが下りるずっと手前の段階で、1年分の学費を支払うことになります。
ビザが遅れようと、仮におりなかろうと、学費は「支払い済み」なのです。

学費については多くの場合、返金の規定があります。
入学前であっても、支払い済みの学費が全額が戻ってくることはおそらくありませんが、ある程度の時期までは(入学前などの)入学辞退で75%程度の返金、その後いつまでなら50%返金、入学少し後くらいでも25%なりの返金があるケースが多いです。

ですが、入学後1か月を超える頃になると、もう返金はなくなります。
また、ビザが下りなかった、という理由での返金はできない、との注意書きがあることが多いと思います。

ビザのプロセスについて不安のある時期ですから、返金規定についてもよく読んで納得したうえで支払うことが重要です。公立であっても私立であっても、1年分の学費となれば数百万円単位のお金ですから。


ニュース動画:カナダ移民局 マーク・ミラー氏会見


冒頭にお伝えしたニュース動画はこちらです。
訳文は第1回記事に載せてありますので、よろしければご覧ください。

次回の記事では

そもそも、なぜ留学生を制限するの?2つの建前と1つの本音

カナダ人はこの状況をどう考えているの?

今後起こりうるシナリオは?

などについての意見を書いていきます。



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