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【「南海トラフ地震臨時情報」とは何だったのか?−2】情報の受け止め方の問題だということ。

私の生まれた実家は、3分歩くと太平洋の海に手が届く海岸線にあり、まさに南海トラフ地震による大津波で大被害を受ける想定地域となっています。今住んでいる所も南海トラフ地震で震度7が想定されている地域です。従って「南海トラフ地震臨時情報」が出された時は、本当に人ごとではありませんでした。家族で連絡を取り合う方法を確認したり、実家に暮らす年老いた親がどうやって避難したら良いかを話し合ったり、防災グッズに不備がないかを確認したりと、お盆で帰省した時には、そんな話で持ち切りでした。

一方で、「南海トラフ地震臨時情報」は、南海トラフ地震想定地域の観光やイベントに少なからず影響を与えてしまい、それに対して不満を言っている観光地などの関係者も多いようです。「南海トラフ地震臨時情報」を発した気象庁や政府関係者とその影響を受けた人々のどちらが悪いという問題ではなく、こればかりはどうしようもないことかも知れません。しかし、強いて言うなら、私達一般人の受け止め方の問題だとも言えます。

私達は、「もしものことを考えて行動を控える」という選択と、「万が一に備えた上でいつもの行動を取る」という選択のどちらかを取ることになります。南海トラフ地震想定地域の観光地を例に取れば、その観光地に旅行を予定していた人は、その予定を変更して行かないか別の観光地にする、あるいは、万が一に備えた準備を万全にして予定通り観光を楽しむということになります。その観光地で観光客を受け入れる人は、その受け入れを中止にするか、万全の備えを準備してそれをPRしながら観光客を受け入れるということになります。

どちらの選択にしても、「南海トラフ地震臨時情報」に対する受け止め方の問題だと思いますが、私個人としては、「万が一に備えた上でいつもの行動を取る」という方を選びます。思えば、今回「南海トラフ地震臨時情報」が出された状況というのは、いつ起こるか分からない南海トラフ大地震に対して、「万全の備えを準備していつもの行動を取る」ための格好の練習だったのではないでしょうか?特に旅行者にとっては貴重な経験を積む機会になったはずです。観光客を受け入れる観光地にとっても、これまで以上に防災意識のギアを上げるチャンスになったと思います。私は、実家に帰省する折り、万が一のことを考えて帰省に反対していた妻を説得して、大地震に遭った時の備えをよく確認した上で帰省をし、実家では防災意識を高めることに努めました。このように「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が出ても、普段の生活や楽しみな行動を変えることなく万全の備えだけはやっておく」という行動をすることは大事だと思っています。

ただ、これが「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)」となると、少し事情が違ってくるでしょう。これは巨大地震が切迫しているといっても良い状況ですから、「万全の備えをしていればいつもの行動を取っても良い」とはなりません。どんな行動を取るかが大きな問題となります。私は、「巨大地震注意」と「巨大地震警戒」にはこのような違いがあると考えています。

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