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《海の上のカムデン》シリーズ5『殺しはノンカロリー』Murder Has No Calories (1994)紹介と感想

コリン・ホルト・ソーヤー/中村有希・訳『殺しはノンカロリー』東京創元社, 2007


あらすじ

美容スパで従業員が殺されたが犯人が中々捕まらず、困った経営者のドロシーは何度も事件を解決していると評判の友人のアンジェラに事件の捜査を依頼する。
アンジェラは、渋るキャレドニアを何とか説き伏せて捜査のためにダイエット・プログラムの客として潜り込む。
個性豊かな従業員や利用客たちと過ごし始めた二人だったが、更なる死体に突き当たってしまう。


紹介と感想

シリーズ第5弾は初めてホームの外がメイン舞台の番外編的な内容となっています。
いつものホームのレギュラーたちは出番が無く、アンジェラとキャレドニアの他に出番があるのは、マーチネス警部補とスワンソンのみです。
しかし、物語の楽しさはいつもと変わらず、ダイエットプログラム参加者達も個性的な人物揃いでした。

今回はキャレドニア視点が多めで、命を狙われるのもキャレドニアでした。
ですが、さすがキャレドニアだけあり命の危機を感じるサスペンスの後にはユーモアで落ちを付けてくれます。
また、ロマンス担当もキャレドニアであり、そのお相手は意外な人間でした。

謎自体は軽めのものですが、伏線もあり、物語上で感じた違和感をしっかり拾ってくれたので満足でした。

舞台は異色作ですが、物語の楽しさはいつもと変わらず。
シリーズに慣れて来たころに程よい変化球を楽しめる作品でした。

 アンジェラは惨めな気持ちで、固定された自転車にまたがって大汗をかき、ふとももがつりそうになりながら、ぜいぜいと息を切らしていた。キャレドニアが上に下に、上に下に、ぽいーん、ぽいーんと跳ねながら、微笑さえ浮かべているのを見るたびに、アンジェラは歯噛みした。「次は」彼女は声に出して言った。「キャレドニアが自転車で、わたしがトランポリンよ。次は絶対……」

コリン・ホルト・ソーヤー/中村有希・訳『殺しはノンカロリー』東京創元社, 2007, p.76

シリーズ一覧

01.老人たちの生活と推理 The J. Alfred Prufrck Murders(1988)
02.氷の女王が死んだ Murder in Gray and White(1989)
03.フクロウは夜ふかしをする Murder by Owl Light(1992)
04.ピーナッツバター殺人事件 The Peanut Butter Murders(1993)
05.殺しはノンカロリー Murder Has No Calories(1994)
06.メリー殺しマス Ho - Ho Homicide(1995)
07.年寄り工場の秘密 The Geezer Factory Murders(1996)
08.旅のお供に殺人を Murder Olé!(1997)
09.Bed, Breakfast and Bodies(1999)

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北極羆
今後の本やDVD代に充てさせてもらいます。

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