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ブリュノ・クレメール主演 メグレ警視 第13話『第一号水門』(1994)紹介と感想

原作:ジョルジュ・シムノン『第1号水門』(1933)
原題:Maigret et l'écluse no.1
脚本:クリスチャン・リュリエ
監督:オリヴィエ・シャツキー
時間:86分


あらすじ

運河から助け出されたエミール・デュクローは、起きるとすぐに「家に帰る」と歩いて家まで帰って行った。
次の日、ジャンヴィエを連れて捜査を開始したメグレは、早速エミールに会いに行くが、協力的な態度とは言い難い。
エミールを中心に不協和音を奏でる家族、そこにガッサンやアリーヌも加わり、運河を舞台とした悲劇が動き始める。


紹介と感想

メインプロットは原作に沿って展開されますが、その中での大きな違いは息子のジャンになります。
原作だと本人が出てくることはなく死体となって発見されますが、ドラマ版では序盤から印象に残るように登場し、重要人物としてメグレとも関りを持ちます。

また、ジャン以上に存在感が無かったベベールもしっかり生きている姿を見ることができました。

原作のメグレはエミールに付きっ切りのイメージが強いですが、ドラマではジャンヴィエから報告を受ける姿も多く、原作よりも捜査している感じが強まりました。

原作はエミールという人物一人を描き込むことで悲劇を立体的に浮かび上がらせる作風になっていました。
しかし、上記のような変更によりドラマ版では、エミールが中心であることには変わり在りませんが、より多角的にこの悲劇を表現していました。

そして最後、食事会から事件の真相開示の場面が原作から大きく変更となっており、原作では見ているだけだったメグレの態度も、ドラマ版らしいものとなっています。

運河をメイン舞台とした映像も雰囲気が良く出ており、内容の方も今シリーズの良さも色濃く味わえる、ドラマシリーズ黄金時代の傑作の一つです。


キャスト

     メグレ警視/ブリュノ・クレメール
    ジャンヴィエ/ジャン・クロード・フリッサン

エミール・デュクロー/ジャン・ヤン
      ガッサン/ジョルジュ・スタケ
     キャサリン/フランソワーズ・ベルタン
        医師/レミ・ダルシー
      アリーヌ/エドウィジェ・ナバーロ


他の映像化

ルパート・デイヴィス主演(英) ※日本未紹介
 シリーズ2 第7話『The Golden Fleece』(1961)

ジーノ・セルヴィ主演(伊) ※日本未紹介
 第3シリーズ『Le inchieste del commissario Maigret』(1968)
  第4話「La chiusa」(全3回)

ジャン・リシャール主演(仏)
 第10話「L'écluse N°1」(1970) ※日本未紹介


ブリュノ・クレメール主演シリーズ視聴記録

☆がお気に入り、〇がお気に入りには後一歩だけど楽しめた作品、△が思うところはあるけどドラマとしては悪くない作品です。
全て現時点での評価になります。

〇01「メグレと消えた死体」(1991)
 04「モンマルトルのメグレ」(1992)
☆05「メグレと首なし死体」(1992)
☆06「メグレと深夜の十字路」(1992)
☆07「ホテル・マジェスティックの地下室」(1993)
☆08「メグレたてつく」(1993)
☆09「メグレと口の固い証人たち」(1993)
☆10「メグレとベンチの男」(1993)
☆11「メグレと宝石泥棒」(1994)
〇12「メグレと幽霊」(1994)
☆13「第一号水門」(1994)
△15「メグレ間違う」(1994)
☆16「メグレと老婦人」(1995)
〇17「ローソク売り」(1995)
☆19「サン・フィアクル殺人事件」(1995)
☆21「男の首」(1995)
☆23「パリ連続殺人事件」(1996)
〇24「メグレの途中下車」(1996)
☆25「聖歌隊少年の証言」(1997)
△29「マダム・キャトルと子供たち」(1999)
△30「野菜畑事件」(1999)
△31「ジュモン51分の停車」(1999)
△32「メグレは二つに見える」(2000)
〇36「開いた窓」(2001)
△37「メグレとワイン商」(2002)
 38「メグレと政府高官」(2002)
〇40「メグレと奇妙な女中の謎」(2002)
☆41「メグレと田舎教師」(2002)
〇42「メグレと老外交官の死」(2003)

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