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2024年11月の読書まとめ+『追憶の欠片』『税金で買った本13』『ビブリオバトル 本を知り人を知る書評ゲーム』『徒然草 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典』紹介と感想
今月は自費出版のエッセイに名作児童書に古典文学にと、いつにも増して不思議な読書傾向の月でした。
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山本重光『追憶の欠片』文芸社, 2022
母が認知症で思い出を忘れていくのをきっかけに、自分もどんどん忘れていくのだろうかと考えた著者が、自身の人生を振り返るエッセイです。
中心となるのは十代の頃の思い出であり、後半に父について触れています。
父が教師であったため転勤も多く、北海道内の様々な場所で幼少期を過ごしたが、どの土地にも様々な思い出がありました。
自分はこんなに幼少期の頃を思い出せるだろうかと考えてしまう程、著者は多くの思い出を鮮明に記録しています。
自分と著者の違いはどこか。他者の思い出を覗き見る時、自分の思い出も同時に考えさせられるのだと思いました。
原作:ずいの 漫画:系山冏『税金で買った本13』講談社, 2024
今巻は最初の2話で図書館の仕事が扱われるが、メインは図書館で行われる県立西高校と県立東高校のビブリオバトル大会の様子です。
新キャラの図書委員・柴さんを中心に石平や灰坂がビブリオバトルに挑戦しました。
好きな本を自分の言葉で表現するドラマが描かれており、読んでいると自分も好きな本について話したくなってきます。
相手チームも気持ちの良い人たちだでした。特に墨野さんが好きです。
それにしても、朝野さんの「石平少年は~」構文は便利すぎて流石でした。
谷口忠大『ビブリオバトル 本を知り人を知る書評ゲーム』文藝春秋, 2013
という訳で、さっそくビブリオバトル関連の書籍が読みたくなり、ビブリオバトル発案者である著者の本を読みました。
本書では、ビブリオバトル誕生の歴史や、その効果、可能性について語っています。
また、プロローグとエピローグでは、ノベル形式で「こんなに自由に発表していいんだ」「開催する際にも肩肘張らずに始めてもいいんだ」と感じることができるようになっていました。
本書はビブリオバトルに興味がある人だけでなく、ある物事の始まりや広がり方に興味がある人にもオススメです。
ビブリオバトルをやりたい欲が強い中で読んだのもありますが、読了後は今の職場で行ってみようかなと本気で考え始めています。
吉田兼好、谷口広樹『徒然草 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典』KADOKAWA, 2002
兼好による超有名随筆『徒然草』の抜粋に現代語訳と解説をつけた一冊です。
仁和寺にある法師の逸話など一部分しか知らなかった本書を人生で初読みしました。
人生の為になることが書いてあるイメージが大きかったのですが少し違いました。
徒然に書き綴っただけあり、それぞれの段を書いている時の兼好の気分や状況を想像でき、一人の人間である兼好が良く分かる良エッセイで嬉しかったです。
やはり本は役に立つ逸話として伝え聞くより、実際に読む方が真の姿を知れるなと思いました。
もちろん、今の時代にも通ずる考えが書かれている部分は素晴らしかったです。
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