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銭形平次捕物控35「傀儡名臣」(1934)+北大路欣也・主演 第2シーズン 第15話 紹介と感想

野村胡堂『銭形平次捕物控(三)酒屋火事』嶋中書店, 2004, p.150-189


あらすじ

のんびり詰将棋をしていた平次と八五郎のもとへ、妖艶な年増が手紙を持参してきた。手紙に名前はなく「至急相談したいことがある」と記されていた。
平次は八五郎を一人で使いに出すが、八五郎が戻ってきたのは戌刻の鐘が鳴り終わった後だった。
八五郎が話すところによると、散々方々を歩かされた上に、天王寺の前で侍に因縁をつけられ投げられてしまったとのこと。
話を聞いた平次は、夜が遅いのも気にせず飛び出して行った。
この不可思議な出来事は、四千五百石の大身、安倍家を揺るがす大事件の幕開けだった。
残された時間は僅か、夜が明けるまでに平次は事件を解決できるのか。

紹介と感想

忠臣・石田清左衛門の姿が印象に残る話です。
事件は、だらしない当主へ真面目が故に小言も多い清左衛門を陥れるための事件でした。
しかし、真の悪はそのような動機で収まる訳が無かったのです。

平次が時間に関係なくスピーディーに動いたおかげで、無事に解決した事件。平次の岡っ引としての責任感の強さと、短い時間でも冷静に推理を出来る頭の良さが良く表れていました。

「いやいや、この石田清左衛門は木偶のようなものだ。お前に操られて踊っただけの事ではないか」
「とんでもない」
 平次も少し照れがましい様子です。

野村胡堂『銭形平次捕物控(三)酒屋火事』嶋中書店, 2004, p.189
事件解決後、平次に礼を言う清左衛門と照れる平次

映像化作品

北大路欣也・主演 第2シーズン 第15話「封印の罠」(1992)

大筋は原作に沿っていますが、エピソードを見せる順番が変わっており、綾乃が一度屋敷から逃げたりなど、よりドラマチックになる方向に肉付けされています。

中でも、並木様が屋敷へ戻るのを丹之丞を引き留める場面では、梅之助の流れるような話術が楽しめ良かったです。

総じて原作を魅力的にドラマで表現しようという気概が感じられ、良いドラマ化でした。

ゲスト出演者
石田清左衛門/高松英郎
    お勝/鈴鹿景子
    綾乃/小林かおり
 針目庄三郎/本郷直樹

北大路欣也版レギュラーキャスト(当話出演者のみ)

 銭形平次/北大路欣也

  八五郎/三波豊和
   お静/真野あずさ

 三輪万七/伊藤四郎
   清吉/山西道弘
保科源次郎/三浦浩一
 菊村数馬/丹羽貞二

並木籐兵衛/中村梅之助

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