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#ネロ・ウルフ

ネロ・ウルフ長編21『シャンパンは死の香り』Champagne for One(1958)紹介と感想

レックス・スタウト 渕上痩平訳『シャンパンは死の香り』論創社, 2024 まさかの同年に2冊のウルフ長編が翻訳されました。 今回も前回と同じくドラマは放送されていますが、本編としては日本初訳の作品になります。 あらすじ 二年前の宝石盗難事件の依頼人・ロビロッティ夫人の甥であるバインから、叔母が主催している未婚の母のための食事会へ自分の代わりに参加して欲しいと頼まれたアーチー。 パーティーは滞りなく進んでいたが、ダンスの時間の最中に悲劇が起こる。 以前から自殺すると周囲に

ネロ・ウルフ長編22『殺人は自策で Plot it Yourself』(1959)

レックス・スタウト/鬼頭玲子・訳『殺人は自策で』論創社, 2022 あらすじ 作家や出版社による盗作問題合同調査委員会から依頼を受けたウルフ。 「エイミー・ウィンが書いた『わたしの扉のノック』は、私が書いた『幸運がドアを叩く』の盗作だ」と手紙を送ってきた、アリス・ポーターを止めてほしいとの内容だった。 アリス・ポーターは四年前にも自身の作品が盗作されたと騒ぎ、八万五千ドルを手に入れていた。その後も、複数の人物が盗作疑惑で作家や脚本家を訴えて金を手に入れていた。そして、四

ネロ・ウルフ長編26『母親探し』The Mother Hunt(1963)紹介と感想

レックス・スタウト 鬼頭玲子訳『母親探し』論創社, 2024 2014年から論創社から出ているレックス・スタウトのネロ・ウルフシリーズ。 今年の作品は、ドラマ化された作品は日本でも放送されましたが、原作としては日本初訳になります。 あらすじ 六月初旬の火曜日、ルーシー・ヴァルドンから受けた依頼は、家の前に置き去りにされていた赤ん坊の母親を見つけること、九か月前に亡くなったリチャード・ヴァルドンが父親である可能性を明らかにすることだった。 わずか三日で赤ん坊を一時預かって