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読書感想文

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#芥川龍之介

芥川龍之介 読書記録①(蜜柑/疑惑/葱/河童/或阿呆の一生)

中学・高校時代を中心に夏目漱石を中心に文豪と言われる作品を色々と読んでいた時期がありましたが、その時期に殆ど読まなかった文豪も少なくありませんでした。 芥川龍之介もその一人で、教科書で「羅生門」を読み、何かの機会に「蜜柑」を読んで終わっていました。 しかし、「蜜柑」が面白かったこと、精神病との関りなどから、いつか読もうと考えており、一昨年にちょっとしたきっかけから、少しずつ読むようになりました。 今回は、これまでに読んだ作品から面白かった作品、印象に残った作品についての感

芥川龍之介 読書記録②(開化の殺人/開化の良人/魔術/黒衣聖母/影/妙な話)

開化の殺人(「中央公論」1918年7月) 語り手が最近手に入れた、ドクトル・北畠義一郎(仮名)が本多子爵夫妻(仮名)に宛てた遺書。その遺書にはドクトルが幼き頃より想いを寄せていた現子爵夫人・明子への強い愛と、愛ゆえに犯した殺人についての告白が書かれていた。 本編は古めかしい遺書の文体で進むため、少し読みづらかったです。 しかし、それでもドクトルの、不貞を行った者を殺し、明子を救うという建前の元に殺人を犯し愉悦に浸る瞬間や、本多子爵へも同じことをしようとしている自分に気づ

芥川龍之介 読書記録③(鼠小僧次郎吉/奇妙な再会/藪の中/報恩記/闇中問答/歯車)

鼠小僧次郎吉(「中央公論」1920年1月) 汐留の船宿で盃をかわす二人の男。鼠小僧の話題になり、親分と呼ばれた男が旅の途中に経験した笑い話を語りだす。 江戸を離れた初日に出会った旅の連れと一緒に宿に泊まる。その夜、懐に手を入れられるが、返り討ちにして男を店へと付き出した。 さて、寝付けないし早めに宿を立とうと帳場へ下りようとした時に耳に入った泥棒の話とは…。 題名がそのものずばりだが、出てくるのは鼠小僧には程遠い、勝手に名前を騙り痛い目にあった小悪党、と思いきや…という