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読書感想文

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#テレビドラマ感想文

十津川シリーズ長編3『消えたタンカー』(1975)紹介と感想

西村京太郎『消えたタンカー』光文社, 1983 まだ読んだ事の無かった初期の十津川を読んでみました。 西村京太郎はドラマの方がお馴染みで、原作は、十津川シリーズ長編5作程度と中短編数作、名探偵シリーズ全4作、左文字シリーズ数作、『殺しの双曲線』などのノンシリーズ数作程度しか読んでない初心者になります。 あらすじ インド南端から1000キロの沖合で58万キロリットルの原油を運んでいたマンモスタンカーが炎上した。 近くを通っていた船に救助されたのは乗務員32名中、宮本船長

佐々木譲『制服捜査』(2006)紹介と感想

佐々木譲『制服捜査』新潮社, 2009 収録作品あらすじ 逸脱 志茂別町駐在所に赴任してきた川久保篤は、さっそく高校生の山岸三津夫失踪事件に関わることになる。捜査を開始すると素行の悪い同級生の存在が浮かび上がるが、三津夫は見つからない。そんな中、事件は意外な方向へと展開していく。 遺恨 地元の酪農家・大西の飼い犬が散弾銃で殺される事件が発生。散弾銃での犯行という点に危険を感じた川久保は独自に捜査を始め、近所の大規模酪農家・篠崎に眼をつける。しかし二日後、篠崎が死体となっ

ネロ・ウルフ長編21『シャンパンは死の香り』Champagne for One(1958)紹介と感想

レックス・スタウト 渕上痩平訳『シャンパンは死の香り』論創社, 2024 まさかの同年に2冊のウルフ長編が翻訳されました。 今回も前回と同じくドラマは放送されていますが、本編としては日本初訳の作品になります。 あらすじ 二年前の宝石盗難事件の依頼人・ロビロッティ夫人の甥であるバインから、叔母が主催している未婚の母のための食事会へ自分の代わりに参加して欲しいと頼まれたアーチー。 パーティーは滞りなく進んでいたが、ダンスの時間の最中に悲劇が起こる。 以前から自殺すると周囲に

ネロ・ウルフ長編26『母親探し』The Mother Hunt(1963)紹介と感想

レックス・スタウト 鬼頭玲子訳『母親探し』論創社, 2024 2014年から論創社から出ているレックス・スタウトのネロ・ウルフシリーズ。 今年の作品は、ドラマ化された作品は日本でも放送されましたが、原作としては日本初訳になります。 あらすじ 六月初旬の火曜日、ルーシー・ヴァルドンから受けた依頼は、家の前に置き去りにされていた赤ん坊の母親を見つけること、九か月前に亡くなったリチャード・ヴァルドンが父親である可能性を明らかにすることだった。 わずか三日で赤ん坊を一時預かって