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読書感想文

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2025年1月の記事一覧

2024年の読書まとめ

2024年も沢山の本を読むことが出来ました。 上半期で特徴的なのは、入院により強制的に時間ができたため、かなり集中して多くの本を読めたこと、しかも病院の本棚にある本を積極的に読んだことで読めていなかった作家の作品を読めたことになります。 下半期は、新しい仕事を始めたため総量としては減りましたが、意識して実用書を読む量が増えたことが印象に残っています。 去年を振り返った時に特に印象に残っているのは、漫画では『夜明けの図書館』と『税金で買った本』に夢中になったこと、小説では

久生十蘭 読書記録(黒い手帳/湖畔/海豹島/墓地展望亭/昆虫図)

興味はあったけど読めていなかった多くの作家の一人、久生十蘭を初読みです。 黒い手帳(1937) 巴里にある安下宿の4階にはパトロンからの支援を打ち切られた夫婦、6階には人生を賭けてルーレットの法則を解き明かそうとしている男、そして研究のために巴里に来ていた私は5階に住んでいた。これは私が書き記した一冊の黒い手帳を巡る奇妙な人間模様。 夫婦や男は浅ましい人間に見えながらも、自分達では思いもつかなかった感情に襲われることになります。 それでは、私はどうなのか。私の手記で展開

任天堂ミュージアム旅行記(2024/12/7~8)

去年の12月、抽選に当選しニンテンドーミュージアムへ行ってきました。 遅まきながら感想を書いたので、突発弾丸旅行の記録を残しておきます。 写真と文字数多めです。 ニンテンドーミュージアムへの道中記 抽選で当たったのが特に祝日などでもない土曜日だったため、土曜日の早朝に出発、日曜日の昼までには帰ってくるというミュージアムに行くためだけの旅行日程を組みました。 早朝とはいえ、通常の仕事の出勤時間より少し早い位だったので出発については苦労なく、早めに空港へついて朝ごはんを食べ

2024年12月の読書まとめ+『「腸と脳」の科学 脳と体を整える、腸の知られざるはたらき』『論理的思考とは何か』『グッドモーニング・キス 22』『晴れた日は図書館へいこう』紹介と感想

12月も仕事に役立てられないかなと前半は実用書を読んでましたが、良いクリスマス絵本に出会えたり、比較的幅広く小説を読めたりと、忙しい年末にしてはしっかり読書できていたなと思います。 坪井貴司『「腸と脳」の科学 脳と体を整える、腸の知られざるはたらき』講談社, 2024 脳腸相関に興味が出て来たので、分かりやすく全体像を知ることができそうだと思い読了しました。 脳腸相関の基本から、睡眠や記憶、様々な疾患などにおける働き、腸と他の臓器の相関はどのように起こっているのかなどが

ネロ・ウルフ長編21『シャンパンは死の香り』Champagne for One(1958)紹介と感想

レックス・スタウト 渕上痩平訳『シャンパンは死の香り』論創社, 2024 まさかの同年に2冊のウルフ長編が翻訳されました。 今回も前回と同じくドラマは放送されていますが、本編としては日本初訳の作品になります。 あらすじ 二年前の宝石盗難事件の依頼人・ロビロッティ夫人の甥であるバインから、叔母が主催している未婚の母のための食事会へ自分の代わりに参加して欲しいと頼まれたアーチー。 パーティーは滞りなく進んでいたが、ダンスの時間の最中に悲劇が起こる。 以前から自殺すると周囲に