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2024年9月の記事一覧

小市民シリーズ4『冬期限定ボンボンショコラ事件』(2024)紹介と感想

米澤穂信『冬期限定ボンボンショコラ事件』東京創元社, 2024 あらすじ 放課後、堤防道路を小佐内さんと歩いていた小鳩君が車に轢き逃げされ入院した。 小鳩君は、お見舞いに来た堂島君から中学時代の同級生・日坂君が自殺したらしいと聞いて動揺する。 日坂君は、小鳩君が小佐内さんと出会い、小市民を志すきっかけになった出来事に関わっていたのだった。 右足を骨折しベッドから動けない小鳩君は、中学3年時に起こった日坂君がひき逃げ被害に合った事件の苦い記憶をノートに書きだし始める。 その

黒岩涙香「生命保険」「帽子の痕」「間違ひ」「秘密の手帳」紹介と感想

黒岩涙香著『黒岩涙香探偵小説選Ⅰ』論創社, 2006 黒岩涙香著『黒岩涙香探偵小説選Ⅱ』論創社, 2006 今回は、原作不詳のミステリー風味な翻案短編小説を紹介したいと思います。 ミステリーと一言で言っても、サスペンス小説から推理的興味がメインの小説など、様々な作品を日本に紹介しようとしていたことが分かります。 生命保険(1890/明治二十三年) あらすじ 継母と上手くいかず、家を出て女教師として自立して生活している夏子。 昔から、金儲けをしたいが失敗ばかりの父だけが

《海の上のカムデン》シリーズ4『ピーナッツバター殺人事件』(1993)紹介と感想

コリン・ホルト・ソーヤー/中村有希・訳『ピーナッバター殺人事件 The Peanut Butter Murders』東京創元社, 2005 あらすじ 材木問屋で秘書をしているカルメラが、車が故障したため線路を歩いている時に、列車に轢かれて轢死したバラバラ死体を見つけたことから物語は始まる。 死んだのはライトフットという男性で、〈海の上のカムデン〉の比較的新しい入居者・エドナの婚約者だった。 更にカルメラが働いていてる材木問屋の経営者はキャレドニアの友人であったことから、キ

2024年8月の読書まとめ+『にじさんじ さんばか~にばる 1』『にじさんじ 2』『大家さんは思春期!18』『なぜ日本人は神社にもお寺にも行くのか』感想

8月は、引き続き小市民シリーズを読み進め、メグレとクリスティーも読みつつ、普段あまり読まないタイプの小説も読めてと、数は少なめですがバランスよく読めました。 それ以外には、絵本を読む頻度が増え、久しぶりに小説とエッセイ以外の活字本を読んだことが印象に残りました。 原作:にじさんじ 作画:221『にじさんじ さんばか~にばる 1』(2020) にじさんじ所属のアンジュ、リゼ、戌亥の「さんばか」が配信に邁進する日常を描いた漫画です。 デビュー配信から始まり、実際にあった配信