マガジンのカバー画像

銭形平次について

77
銭形平次についての記事をまとめています
運営しているクリエイター

#銭形平次捕物控

大川橋蔵主演「銭形平次」(1966~1984/全888話)+映画1本(1967)

1966年5月4日から1984年4月4日まで全888話が放送された、大川橋蔵が銭形平次を演じたシリーズです。 初期の10年位は毎週休みなく放送されていました。 同一主演で全888話を演じたドラマシリーズは世界最長の記録となります。 (ちなみに、松平健が徳川吉宗を演じた「暴れん坊将軍」は、全823話になります) また、この時期のドラマとしては珍しく、全888話の映像が全て残っているドラマでもあります。 ドラマ『銭形平次』(1966~1984)について 勧善懲悪捕物帳ドラマ

野村胡堂『銭形平次捕物控』第1話~第5話 紹介と感想

野村胡堂『銭形平次・青春篇』講談社, 1996 第1話「金色の処女」(『オール讀物號』1931年4月号) あらすじ 鷹狩の最中に毒矢で狙われた将軍・家光。笹野新三郎は、銭形平次に調査を頼む。 平次は、家光が鷹狩の帰りに娘目当てで必ず立ち寄る『大塚御薬園』と、最近出店しながら既に話題となっている『唐花屋』という化粧品店へ目を付ける。 お静に頼み唐花屋を探りに行ってもらった平次だったが、そのお静が囚われてしまった。 平次は、お静の後を追って大塚御薬園へ潜入するが、そこで世にも

野村胡堂『銭形平次捕物控』第6話~第10話 紹介と感想

野村胡堂『銭形平次・青春篇』講談社, 1996 第6話「復讐鬼の姿」(『オール讀物號』1931年9月号) あらすじ 与力・笹野新三郎の子・新太郎と臆病者の使用人・勇吉の前に磔柱を背負った男が現れた。 その後も、次々と不思議な怪異が起こり始め、新三郎の妻・お国に相談された利助は、使用人のお吉を捕まえる。 しかし、新三郎が家を空けている間に、新太郎と行儀見習いで奉公に来ていたお静が誘拐される。 さらに、笹野新三郎の命まで狙われる事態に、平次が命懸けで駆け回る。 紹介と感想

野村胡堂『銭形平次捕物控』第11話~第15話 紹介と感想

第11話「南蛮秘法箋」(『オール讀物號』1932年2月号) 野村胡堂『銭形平次捕物控(三)酒屋火事』嶋中書店, 2004, p.224-261 野村胡堂/著 末國善己/編『奇譚 銭形平次 「銭形平次捕物控」傑作選』PHP研究所, 2008, p.149-190 野村胡堂『銭形平次捕物控傑作選1』文藝春秋, 2014, p.63-99 あらすじ 質屋で大身代を築いた田代屋又左衛門が毒矢で狙われ、左腕を一本失った。 その疑いは、次男・又次郎の嫁・お冬に向けられた。 事件に乗

野村胡堂『銭形平次捕物控』第16話~第20話 紹介と感想

148話「九尾の狐」は以前別のタイミングで公開されたからか、今週はYouTubeでの銭形平次の配信が無かったので、久しぶりに原作の感想をあげたいと思います。 今回は、お品さんが活躍する連作のようなエピソードも含まれるここまでの総決算的な物語となります。 第16話「人魚の死」(『オール讀物號』1932年7月号) 野村胡堂『銭形平次捕物控(四)城の絵図面』嶋中書店, 2004, p.83-110 野村胡堂/著 末國善己/編『櫛の文字 銭形平次ミステリ傑作選』東京創元社, 20

野村胡堂『銭形平次捕物控』第21話~第25話 紹介と感想

第21話「雪の精」(『オール讀物號』1932年12月号) 野村胡堂『銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ』嶋中書店, 2004, p.291-325 あらすじ 越後屋佐吉と女房・お市が雪の日の夜に酒を飲んでいると、ドアを叩く音が聞こえる。 お市が外へ出てみるが誰もいない。と思う間もなくお市の首が一瞬で切り裂かれた。 現場には下駄の足跡が残っていたが、周囲には誰もいない。 佐吉に直接頼まれた平次は、八五郎へ調べを頼む。 不可解な状況で起こった殺人事件に、平次の明智が光る。

野村胡堂『銭形平次捕物控』第26話~第30話 紹介と感想

第26話「綾吉殺し」(『オール讀物』1934年3月号) 野村胡堂『銭形平次捕物控(二)八人芸の女』嶋中書店, 2004, p.120-158 あらすじ 恵大寺の墓場に美女の幽霊が出るため、植木屋幸助の声かけに町内の腕利き衆が退治に出かけることになり、面白半分に八五郎も参加した。 幽霊を取り逃した帰り、町内の男衆で唯一人来なかった地紙屋の綾吉の家に寄ると、当の綾吉が死んでいるのが発見された。 現場に落ちていた凶器から万七は石屋の力松を捕まえるが、八五郎は現場の状況から違和

野村胡堂『銭形平次捕物控』第31話~第35話 紹介と感想

第31話 濡れた千両箱(『オール讀物』1934年8月号) 野村胡堂『銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ』嶋中書店, 2004, p.75-117 野村胡堂『時代推理小説傑作選 銭形平次捕物控 新装版』光文社, 2004, p.71-114 あらすじ 材木問屋・春木屋の主人が寄進した三千両が煙のように消え失せた。 笹野様に頼まれた平次は、万七の縄張りという事もあり八五郎を派遣する。 八五郎は寺の敷地から千両箱を見つけるが、中には砂利が詰まっているだけで、小判は見つからなかっ

銭形平次捕物控7「お珊文身調べ」(1931)+映像化作品 紹介と感想

野村胡堂『銭形平次・青春篇』講談社, 1996, p178-205 あらすじ 八五郎と平次も参加した文身自慢の会を騒がした、腹に蛇の文身をした男と体中に十二支の文身をした女。 平次は、何かしら騒ぎが起こるだろうと検討を付けていたとのこと。 どうやら、十二支組の一味が次々と殺されている事件と関係していると狙いをつけ、調べの為に顔を出したらしい。 十二支組の生き残りは残り三人。 奇妙な発端と、そこから推論された平次の鋭い着眼が事件を解決へ導く。 紹介と感想 初期平次なので

銭形平次捕物控10「七人の花嫁」(1932)+大川橋蔵・主演 第14話 紹介と感想

野村胡堂『銭形平次・青春篇』講談社, 1996, p266-297 あらすじ 祝言の席で次々と拐かされる花嫁。 八五郎に利助、平次までもが、その目の前でさらわれてしまった。 平次はお静との祝言を早めて犯人を見つけ出そうとするが、お静まで拐かされてしまう。 果たして平次はお静を見つけ、事件を解決することができるのか。 紹介と感想 平次二十七歳、お静十八歳の時に起こった年明けの事件です。 利助との和解も描かれる、初期平次の完結編とも言える内容となります。 ミステリーとし

銭形平次捕物控21「雪の精」(1932)+映像化作品 紹介と感想

あらすじ 越後屋佐吉と女房・お市が雪の日の夜に酒を飲んでいると、ドアを叩く音が聞こえる。 お市が外へ出てみるが誰もいない。と思う間もなくお市の首が一瞬で切り裂かれた。 現場には下駄の足跡が残っていたが、周囲には誰もいない。 佐吉に直接頼まれた平次は、八五郎へ調べを頼む。 不可解な状況で起こった殺人事件に、平次の明智が光る。 感想 不可思議状況の演出に全振りした話です。 ミステリーとしては弱めですが、演出の良さがあります。 また、万七の出番が多かったり、石原利助の縄張り

銭形平次捕物控31「濡れた千両箱」(1934)+映像化作品 紹介と感想

原作紹介 材木問屋・春木屋の主人が寄進した三千両が煙のように消え失せた。 笹野様に頼まれた平次は、万七の縄張りという事もあり八五郎を派遣する。 八五郎は寺の敷地から千両箱を見つけるが、中には砂利が詰まっているだけで、小判は見つからなかった。 平次は運ぶ途中に夕立で休憩をとった茶店と、その時分に起こった浪人と遊び人の喧嘩に目をつける。 消えた三千両の行方が気になり、上手く興味を持続させている一編です。 映像化紹介 映像化は3つあります。 小金井勝・主演「濡れた千両箱

銭形平次捕物控35「傀儡名臣」(1934)+北大路欣也・主演 第2シーズン 第15話 紹介と感想

野村胡堂『銭形平次捕物控(三)酒屋火事』嶋中書店, 2004, p.150-189 あらすじ のんびり詰将棋をしていた平次と八五郎のもとへ、妖艶な年増が手紙を持参してきた。手紙に名前はなく「至急相談したいことがある」と記されていた。 平次は八五郎を一人で使いに出すが、八五郎が戻ってきたのは戌刻の鐘が鳴り終わった後だった。 八五郎が話すところによると、散々方々を歩かされた上に、天王寺の前で侍に因縁をつけられ投げられてしまったとのこと。 話を聞いた平次は、夜が遅いのも気にせず

銭形平次捕物控36「八人芸の女」(1935)+大川橋蔵・主演 第23話「闇夜の目」(1966)紹介と感想

野村胡堂『銭形平次捕物控(二)八人芸の女』嶋中書店, 2004, p268-305 あらすじ最近噂の若い女と腕利きの侍の二人組の強盗『疾風』。 その巧妙な手口で次々と盗みを成功させ江戸中を震え上がらせていた。 遂に平次の縄張りにも現れ、あろうことか盗んだ金の一割を平次の家へ投げ込んできた。 八五郎が調べてきたのは、尤も怪しい人物二人と怪しくない人物二人。 平次は、事件の舞台に現れる八人芸の女・お島に接触を計る。 紹介と感想(ネタバレあり)凛々しい女性の生き方と平次の心持ち