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銭形平次について

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#小説感想

野村胡堂『銭形平次捕物控』第11話~第15話 紹介と感想

第11話「南蛮秘法箋」(『オール讀物號』1932年2月号) 野村胡堂『銭形平次捕物控(三)酒屋火事』嶋中書店, 2004, p.224-261 野村胡堂/著 末國善己/編『奇譚 銭形平次 「銭形平次捕物控」傑作選』PHP研究所, 2008, p.149-190 野村胡堂『銭形平次捕物控傑作選1』文藝春秋, 2014, p.63-99 あらすじ 質屋で大身代を築いた田代屋又左衛門が毒矢で狙われ、左腕を一本失った。 その疑いは、次男・又次郎の嫁・お冬に向けられた。 事件に乗

野村胡堂『銭形平次捕物控』第16話~第20話 紹介と感想

148話「九尾の狐」は以前別のタイミングで公開されたからか、今週はYouTubeでの銭形平次の配信が無かったので、久しぶりに原作の感想をあげたいと思います。 今回は、お品さんが活躍する連作のようなエピソードも含まれるここまでの総決算的な物語となります。 第16話「人魚の死」(『オール讀物號』1932年7月号) 野村胡堂『銭形平次捕物控(四)城の絵図面』嶋中書店, 2004, p.83-110 野村胡堂/著 末國善己/編『櫛の文字 銭形平次ミステリ傑作選』東京創元社, 20

野村胡堂『銭形平次捕物控』第21話~第25話 紹介と感想

第21話「雪の精」(『オール讀物號』1932年12月号) 野村胡堂『銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ』嶋中書店, 2004, p.291-325 あらすじ 越後屋佐吉と女房・お市が雪の日の夜に酒を飲んでいると、ドアを叩く音が聞こえる。 お市が外へ出てみるが誰もいない。と思う間もなくお市の首が一瞬で切り裂かれた。 現場には下駄の足跡が残っていたが、周囲には誰もいない。 佐吉に直接頼まれた平次は、八五郎へ調べを頼む。 不可解な状況で起こった殺人事件に、平次の明智が光る。

野村胡堂『銭形平次捕物控』第26話~第30話 紹介と感想

第26話「綾吉殺し」(『オール讀物』1934年3月号) 野村胡堂『銭形平次捕物控(二)八人芸の女』嶋中書店, 2004, p.120-158 あらすじ 恵大寺の墓場に美女の幽霊が出るため、植木屋幸助の声かけに町内の腕利き衆が退治に出かけることになり、面白半分に八五郎も参加した。 幽霊を取り逃した帰り、町内の男衆で唯一人来なかった地紙屋の綾吉の家に寄ると、当の綾吉が死んでいるのが発見された。 現場に落ちていた凶器から万七は石屋の力松を捕まえるが、八五郎は現場の状況から違和

野村胡堂『銭形平次捕物控』第31話~第35話 紹介と感想

第31話 濡れた千両箱(『オール讀物』1934年8月号) 野村胡堂『銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ』嶋中書店, 2004, p.75-117 野村胡堂『時代推理小説傑作選 銭形平次捕物控 新装版』光文社, 2004, p.71-114 あらすじ 材木問屋・春木屋の主人が寄進した三千両が煙のように消え失せた。 笹野様に頼まれた平次は、万七の縄張りという事もあり八五郎を派遣する。 八五郎は寺の敷地から千両箱を見つけるが、中には砂利が詰まっているだけで、小判は見つからなかっ

銭形平次捕物控326「八五郎子守唄」(1954)+映像化作品 紹介と感想

あらすじ 平次のもとへお静が「大変なんです」と駆け込んでくる。 どうやら八五郎に何かあったらしく、向柳原の八のおばさんが平次の家を訪れたのだ。 おばさんによると、昨夜、八五郎との子どもだと言い置いて少女を置いて行った女が来た、八五郎は見当も付かないといいながら子どもを可愛がっているとのこと。子どもは、お雛という名前だった。 平次の推理と八五郎の調べによると、母親はお半という矢取女で、現在は半田屋で働いているという。 お半に遠くから拝むように頼まれた八五郎は、お雛を育てる事