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【カヌーポロ】今更ながら世界選手権の話題

10月15日~20日に中国にて世界選手権が開催されました。
前回の記事でも触れましたが、2004年の愛知県みよし市での開催以来、20年ぶりのアジア開催となりました。その影響もあってか今回はアジア各国からの参加も多いのが印象的でした。

そして今回の世界選手権、個人的には大きな大きなショックがありました。
男子シニアカテゴリは、ヨーロッパ勢は出場した11ヶ国全てが上位リーグに進出し、唯一上がることができた台湾も上位リーグ最下位の12位となってしまい終わってみれば1~11位まで全てヨーロッパ勢という結果でした。

昨今、ヨーロッパとの差が迫りつつあるという評価がある一方で、ランキングだけを見れば、明確に線が引かれてしまったとも言えるかもしれません。実力的に均衡したゲームが多く、好ゲームが繰り広げられたわけですが、この差を分けたのはやはり経験値なのでしょう。ヨーロッパでは毎週のようにクラブチーム、代表チームが混在したハイレベルなトーナメントが開催されています。
1試合ごとのゲームメイクしかり、1トーナメントを通じた戦い方まで経験を積むことができるわけです。

特に試合を見ていて感じたのは、強い国は時間の使い方や選手交代など、細かい部分までしっかり戦術に落とし込まれているな、と感じました。
例えばある国では、カウンター攻撃の際にはDFメンバーのまま進めますが、DFを組まれてセットオフェンスに移行した際には、オフェンス専門メンバーと入れ替わることを徹底していました。この間に10~20秒ほどロスしてしまいますが、それ以上にちゃんとしたメンバーを組むことが優先されていたように思います。
「名前のない家事」のように、カヌーポロの戦術の中にもイマイチ定義づけされていない曖昧なプレイが多数存在しています。実力で劣るチームが勝つにはそうしたところにも気を配る必要が有るわけですが、そういった内容については、今度別の記事で触れたいと思います。
今回はシンプルに男子シニアの各国の感想の回にします。


①ドイツ

世界選手権3連覇達成。ある意味順当すぎる結果。
カヌーポロ大国ドイツのスター軍団は大会中のどの試合を見ても危なげないの一言。決勝戦すらもハラハラした展開にはならなかったように思います。そんな王者ドイツは今回で3連覇達成。実は、今まで3連覇はオーストラリアの第1回(1994)~3回(1998)以来、2カ国目。
次回2026年は前人未踏の4連覇への挑戦ですが、地元ドイツ開催なので当然力を入れてくるし狙ってくるでしょう。
4連覇を見たい気がしつつも、どこか破ってくれ!という期待もあります。今から非常に楽しみですね。

②フランス

前回6位から4ランクアップ。
メンバーが若干入れ替わってましたが、フランスらしい戦術は健在。
しかも前回大会のようなカウンターでロングシュートをバンバン撃つのではなく堅実なスタイルに戻ったという感じでしょうか。
前述のとおり決勝は、スコア的にはいい勝負でしたが、勝ちそうな感じはしませんでした。

③デンマーク

個人的に優勝候補に挙げていたデンマークでしたが、残念ながら準決勝で敗退。3位決定戦では延長戦までもつれ込みましたが、最後はやはり9番のシュートで見事に勝っていました。
世界選手権では過去最高位。昨年のヨーロッパ選手権優勝がまぐれじゃないことを証明する堂々たる結果だと思います。
試合を見て入て2番のマシアスがいないなと思っていたのですが、帰国した日本選手に話を聞くと本人は会場に来ていたものの体調を崩して(腰痛?)出場できなかったそうです。
タラレバですが、彼が出場できていたら、あるいはもっと違う結果だったかもしれません。
2028年の世界選手権の開催地に決まったそうで、自国開催に向け、ますます盛り上がるのではないでしょうか。

④GB

前回と同様の4位。しかしチームは全然違うものでした。メンツもほぼ知らない選手ばかり。似たような奴が多いなと思っていましたが、後に聞いたところによる4兄弟だとか・・・。
一時は中堅国に落ちてしまったかと思いましたが、最近はしっかりと力をつけて復活してきた印象です。
2次リーグでは僅差なゲームが多くフランス、スペインに1点差で敗れたものの、逆にスイス、イタリア、ベルギーには勝ち切り2位通過。

⑤イタリア

前回大会でルカは引退!と聞いていたのに・・・いるじゃない。
でも背番号9は捨てて2番をつけていたので本人なりのけじめというところなのでしょうか。2次リーグではいまいち奮わずGB、フランスに敗れ、スペインとも引き分けたため4位通過。
5-8位のトーナメントではなんとか持ち直し、最終5位でした。

⑥スペイン

前回準優勝から4ランクダウン。今回も強かったと思うのですが2次リーグで大苦戦。イギリスに勝利したもののフランス、イタリアには引き分け、そしてなぜかスイスには3-6のスコアで敗れてしまい3位通過。実力的には十分に優勝候補の一角だと思っていましたが勝ちきれなかったのが悔やまれます。
ここまでの上位6か国に加え、今回不参加だったオランダは世界選手権の優勝争いに加わってくるチームだと思います。

⑦ポーランド

今回も独特なスタイルを貫くポーランドでした。前回から3ランクアップで過去最高位になりました。次回以降さらなるランクアップできるでしょうか。

⑧スウェーデン

前回15位から大幅に躍進!一番のランクアップでした。この国は過去のデータを見るとランキングが乱高下していますが久々の1ケタ台。
1次リーグではニュージーランドを僅差で破り、見事に勝ち上がりました。
2次リーグでは勝ち点数では下位3ヶ国が横並びでしたが、得失点差で4位通過。
なんとか5-8位トーナメントに進みましたが、そこから伸びなかったです。

⑨スイス

中堅どころとして定着しています。この国はたまに大物食いをやってのけるのが魅力ですが、今回はスペインを見事に撃破!唯一の見せ場だったかもしれません。
古い話ですが、2010年に当時優勝候補だったオランダを破り、その勢いのまま準決勝まで進みました。(最終4位)
この国に関してはクラブチーム事情などの情報が全然ありませんが男女とも上位を脅かすポテンシャルがある中堅国という評価です。

⑩ポルトガル

1次リーグではイランを1-2で破り、上位リーグに進出。
2次リーグは下3つの混戦で浮上できず。なぜかスウェーデンには7-0で敗北していました。

⑪ベルギー

1次リーグでは僅差で日本を破って上位リーグに進出。スウェーデン、ポルトガル、ベルギーの3ヶ国に共通して言えるのは1次リーグの勝負どころの試合を僅差で勝ち上がっているところ。ここにヨーロッパと非ヨーロッパの壁かもしれません。

⑫台湾

1次リーグはほぼアジアリーグという中で、危なげなく上位に進出。2次リーグでは上位勢にやられる中、スウェーデンに1勝だけしました。アジア唯一、そして非ヨーロッパ唯一の上位リーグ進出でしたが、ここからが上がさらに厳しいということがよくわかりました。

⑬ニュージーランド

一次リーグでスウェーデンに敗れ下位落ちしましたが、下位リーグの中では強豪国なのでイランと好ゲームを繰り広げた他は各国をボコっていた印象。最終戦も日本を6-4で破り13位。

⑭日本

2年前に続き、今回も本当に悔しい結果でした。上位リーグに上がれる期待感が高かったので、本人達は当然悔しい思いのは言うまでもないのでしょうが、応援していた私も悔しすぎてしばらく仕事に身が入りませんでした。前哨戦のスーパーカップでの活躍や、ドイツ戦での戦いぶりを見ると上位国にも十分戦える力を示すことはできたと思います。今回のディフェンスシステムは一流国に相性が良い一方で、ゴリ押し系の中堅国には逆に脆弱な部分が見えました。この辺りの改善が次回に向けての課題でしょうか。
今回の結果は残念ですが2年後こそは上位に進出して欲しいと思います。

⑮イラン

この国もデンマークと同様にエースの4番が体調不良だったそうです。とはいえ、下位リーグでは得点力2番手の選手が得点王を狙って日本の木村選手と熾烈な戦いをしていました。エースが倒れた際にもそうした選手がいるってのはすごいことです。
アジアでは非常に厄介なライバル国ですが、台湾・日本・イランでアジア勢のレベルを引き上げて欲しいとも思います。

⑯オーストラリア

2大会ぶりの出場。かつての強豪国オーストラリアですが、1次リーグの結果を見ても、だいぶパワーダウンといった印象です。
16位ということでなんとかギリギリ次回シード権を獲得。

⑰マレーシア

前回より1ランクアップ。他国を招待しての大会開催など強化に力を入れている印象です。まだまだ世界選手権では下位ですがジワジワを順位を上げてきています。

⑱南アフリカ

久々に出場しましたがこの結果。予選ではデンマーク相手にいい試合をしていました。他の地域を離れすぎていてなかなか交流がありません。実は第1回の世界選手権からずっと参加しており、今回15回目ですがうち12回は出場しています。
最高位は2000年(ブラジル)の時の7位です。
現状、アフリカ選手権は南アフリカとナミビアの2ヶ国のみしか参加していませんが、調べてみると他にもやっている国があることがわかってきてモロッコとセーシェルでは実際にプレイしている動画や写真を見つけることができました。
また、最近ガーナ人から国でポロを始めたいから中古の艇とか一式送ってくれない?というお願いがありましたが、遠いしお金がかかるから無理だよと断っておきました。

⑲シンガポール

断続的に世界選手権に出場してきますが、毎度なかなか結果は奮いません。

⑳アメリカ

毎度おなじみのアメリカらしい結果に落ち着いています。
特に感想はありません。

㉑香港

こちらもやはり予想通り。

㉒中国

開催国ですが最下位に終わりました。予想通り。

最後に

中国は最下位に終わってしまいましたが、世界中のトップレベルの戦いに触れたことで今回の世界選手権を経て人気沸騰するのか、祭りが終わってしぼんでしまうのか・・・。
日本は2004年が盛り上がりのピークでその後徐々に縮小してきた歴史があります。近年再び小さな火があちこちで灯り始めているので絶やすことなく火を大きくしていけたらいいですね。

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