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【カヌーポロ】ミスについて考える
約3年間、ほそぼそと記事を書き続けてわかったことは、思いついた時にすぐ書くことがとても重要だという事です。
というわけで今回のテーマ「ミス」についてです。
この記事ではとりわけオフェンスにおけるミスについて触れたいと思います。
ミスに対する許容度
サッカーはミスのスポーツだとよく言われます。
主に足を使ってボールをコントロールするスポーツであり、手でボールを扱うのに比べて難しい事が理由とされています。
基本要素の「パス・トラップ・シュート」におけるミスが多く発生しています。その割に90分という長い試合時間の中で得点数はあまり多くはありません。
ミスをしてもリカバリーできることが多く、フィールドも広く、人数も多いので即失点とはなりにくいのかもしれません。むしろ積極的にチャンスを作る方が重要視されています。
ミスすることを前提とし、ミスを恐れずに「チャレンジ」する、そしてミスから立て直し修正することがしやすいスポーツであるようです。
バスケットボールで考えてみましょう。
日本のBリーグの平均得点が80点前後、NBAの平均得点が110点であると言われています。3ポイントもありますが、通常は2点と考えると、1試合で4~50回くらい得点しているわけです。40分という試合時間で、1回のオフェンスは24秒以内という制約があり、必然的に攻撃機会は多く、得点が動きやすいスポーツであると言えます。
これもまた、失点する前提、ミスが起こる前提のスポーツではないかと思います。
では、カヌーポロはどうでしょうか。
20分の試合時間の中で点数としては3,4点。ショットクロックは60秒でしばしばリセットが発生します。
1試合当たりの平均的な得点数から見れば「1点の重み」という観点ではサッカーよりも軽いかもしれませんが、ミスによって失点につながる確率は高いと思います。
また、バスケットボールほど攻撃機会が多く発生するわけではないので、得点数は伸びにくいです。
これらのことからカヌーポロは「ミスに対する許容度が低いスポーツ」と私は考えています。
不自由なスポーツ「カヌーポロ」
ミスに厳しいカヌーポロ ですが、他の球技に比べ、ミスが発生しやすいスポーツであると言えます。理由としては不自由さが多いスポーツだからです。
以前ボールの話の記事でも触れましたが、カヌーポロはボールが跳ねたり転がったりしませんのでパスをする際には「線」ではなく「点」で狙う必要があります。
また、当然ながらプレイヤーはカヌーに乗っているので、行動に制限が多いです。具体的にはジャンプはできないし、方向転換、後退などの急な動きの変化が難しいのも特徴です。
さらに言えば、腰から下が固定されているのでボールを投げる可動域にも制限があります。
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つまりボールを思い通りに投げにくく、かつボールの受け手の許容範囲が狭い。そしてミスが起こった際に、動きの制限からすぐに次のアクションに移行しづらいため、リカバリーしづらい。
艇の向きによっては無力化してしまう。ミスが生まれやすいのに加え、そのミスが致命傷になりやすい。
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なんて難儀なスポーツなんでしょう。。。しかしこの不自由さを楽しむのが、このスポーツの魅力であるとも言えます。
ミスをなくすことはできるのか
結論から言えばミスを完全になくすことはできません。ただ、なるべく減らすことはできます。
それは技術を磨くことでできることと、意識するだけで変えられることと両方あります。今回はパスにフォーカスしてみましょう。
パスを出す側
先に触れた投げる可動域。体勢が苦しくなって可動域を超えた範囲へのパスを投げる際に適当に放り投げてしまう。
そんな光景をよく見かけませんか?
飛距離も方向も正確ではないので、上手くボールが繋がらないわけです。
常に良い体勢で投げられるわけではありませんが、次にどこに投げるのかを意識していれば艇の向きをどうしておけばいいかもわかってきます。
また、技術的な話をすれば、可動域を超えたところへのパスの投げ方の工夫です。チェストパスであれば後方にもある程度コントロールが効いたパスが可能です。
他にもラテラルパスのように手首をスナップさせて投げる方法や、利き手と逆の手で投げる練習をすることで有効なパスの範囲を広げることができます。
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パスを受ける側
カヌーポロで重要なのはパスの受け手側。動きが制限されている中でどうすればボールのキャッチができるのか。
当たり前ですが、パドルキャッチの技術が上がればパスの有効範囲が広がるのでパスの成功率は高まります。
これまたよく見かける光景ですが、後方に逸れたパスに対して、とりあえずパドルを後ろに伸ばすだけで届かないor当たったけど変な方向に飛んでいく。
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これもちゃんと当てる感覚を覚えれば、狙った場所に落とせるようになりますし、もっと上手くなればしっかりパドルでキャッチすることだって可能です。大事なのは、「いい感じに当たってくれ」と願うことではなく、意図を持ってパドルを扱うこと。これは反復練習して感覚を掴んでいくしかありません。
ボールの受け手側の技術が向上しない限り、パスの精度が相当高くないと良いオフェンスはできません。多少パスが悪くても受け手が上手に処理してくれるなら安心してパスを出せますよね。
実は、パスを出す・受けるが上手い人同士よりも下手な人同士の方が厳しい条件下で競技をやっているのです。
この状況を解消するためにもカヌーポロにおけるパドルキャッチのスキルは「漕ぐ」「投げる」と同じくらい重要視して練習して欲しいと思います。
安全で効果的に攻めるために
以前の記事で安全にパスを出せる場所はパスを出す選手・受ける選手の間に妨害がいない場所だと書きました。
これは正解でありつつも、十分ではありません。パスの出し手、受け手が正確に処理できる前提であり、パスの正確性は考慮していないからです。
安全にかつ正確にパスを繋ぐためには、精度の高い射程圏内でパスを繋ぐ必要があります。
片方のサイドにディフェンスが集まり、反対側にスペースができている場面。ロングパス1本で繋がれば有効な場面はありますが、ゾーンディフェンスの上を飛び越えるロブパスで正確につなぐのは難しいです。
少し事例を見てみましょう。
フランス代表のオフェンス
基本的に間を飛ばすようなパスはせず隣同士でパスを処理します。また、パドルがかからない安全な領域でパスを捌いています。とはいえ、選手間の距離がだいぶ離れており、かなり速く正確なパスであること、ドライブのスピードも速くて簡単に真似できそうにありません。。。
デンマーク代表のオフェンス
片方ずつオフェンスを展開しますが、ダメだったらすぐに後ろに戻して反対側に攻撃を展開する。これも一見簡単そうにやっていますが、とても速い処理によって成り立っています。
どちらも共通していること安全な場所でボールを回しているということです。
安全な場所というのはディフェンスの干渉を受けないところです。
ゾーンディフェンスの外でボールを受け渡しているにも関わらずドライブのスピードがあるので外からのシュートと中へのパスの選択肢が広がります。
これをいきなり実践するのは難しいので、まずは選手同士が近い距離間で安全にボールを回してつなげるということを意識するとミスは減ってきます。そこから徐々にパスの範囲を広げていくと良いと思います。
大事なのはギャンブル的なプレイを極力減らし、確実に次につなぐ、あるいはダメだった時に戻すこと。技術の上達よりも意識の改革でミスは大幅に減らせます。
まとめ
繰り返しになりますが、カヌーポロはミスが発生しやすいスポーツです。このミスを減らして上手に戦術が組み立てられるようになると楽しさが一層増してくると思います。
ただ、一方でガチガチに安全なプレイばかりしてても面白くないですし、実力以上のチャレンジングなプレイは減って成長が止まってしまう恐れもあります。矛盾するかもしれませんが、技術の上達のためにも練習ではどんどんアグレッシブなプレイもしていって欲しいと思います。