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初めての自殺未遂と男の子

いたみ
【痛み・傷み・悼み】

1. 痛むこと。「―が走る」「―が早い」。また、悼む気持。 「―を述べる」


自殺未遂と閉鎖病棟について話そうと思います。

1度目の自殺未遂は数年前に手持ちのお金を持ってタクシーで名古屋まで行って深夜にとあるビルの屋上にてオーバードーズをし、記憶のないまま飛び降りてました。

理由はシンプルに精神疾患をこじらせ死にたかったからです。

しかし残念と言っていいのかわからないのですが、全身打撲で済んで名古屋の閉鎖病棟に一ヶ月強制入院することになりました。

病院にはいろんな人がいました。

案外同世代の子達も数人いて食堂に出てはいろんな話をしてみんなで気を紛らわしてました。
その中に1人、2個年上の車好きの男の子がいて、いつも積極的に話しかけられてたので我ながら気があるんだろうなぁって思っていたり。

そして入院生活1ヶ月、いつも話したメンバーの中では私が1番早い退院でした。

退院の日、例の車好きの男の子が少し恥ずかしそうに紙を渡してきたのです。
「僕も退院したら一緒にご飯に行こう」
そう言って電話番号と名前が書かれた紙を渡してきました。

私は「良いよ」と元気よく答えて食堂から手を振り立ち去り退院手続きをしていました。
退院手続きをしていると看護師さんに男の子からもらった紙が見つかります。

「こういうことされちゃうとちょっと困っちゃうんだよね」と少し冷たそうに看護師さんは言いました。

どうやら入院患者同士の連絡先交換は禁止のようで紙を目の前で破棄されてしまいました。

もちろん退院手続きをしているもんだから紙を破棄されたことなんて男の子に伝えれません。

そのまま私は退院手続きを終え、仲の悪い母親の迎えに連れられて病院を後にした。


しばらくその男の子のことなど忘れていたのですが、ある日ふと思い出して連絡を取りたくなったのです。
あんな閉鎖病棟の中でニコニコしていつも私に話しかけてくれた車好きの男の子。楽しそうによく車の話をしてくれた男の子。最後にご飯に誘ってくれた男の子。

彼はまだ入院してるんだろうか。
私からの連絡が来なくてどう思ってるんだろうか。

そういうことを考えていると連絡を取りたくなるのです。

そうは考えてもどうすることもできないので今日も私は彼のことを少しだけ思いながら床につくのです。

これがはじめての自殺未遂のお話でした。

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