OLDIES GOODIES #103_「ZARD6週連続SPECIAL (third week)
ミュージックフリークマガジンいち押しラジオ番組♪♪♪
フォークシンガー・ばんばひろふみ氏と、音楽プロデューサー・長戸大幸氏が圧倒的な音楽知識と豊富な経験で、1950~70年代の洋楽を中心に多くのアーティストがカバーする大ヒット曲や、ここでしか聴けない激レア音源等を紹介してくれる「OLDIES GOODIES」をご紹介!
ばんばん)「OLDIES GOODIES」。ばんばひろふみです。
大幸)長戸大幸です。
ばんばん)大幸さん、ようやく9月16日から始まりましたね!
大幸)はい。大変僭越なんですけれども、今東京で「ZARD MUSEUM」ってのをやってるので、この番組を借りて6週連続でZARD特集をやってますけれども、今週もよろしくお願いします。
ばんばん)「ZARD MUSEUM」盛況のようですね。
大幸)はい。ありがとうございます。
ばんばん)で、此処の所ZARDゆかりの色んな人たちに来ていただいてお話を聞いてますが、今日は?
大幸)今日は映像を色々担当していただいた、伊藤さん。
ばんばん)伊藤孝宏(※注釈1)さん!
伊藤)はい。初めましてよろしくお願いいたします。
ばんばん)伊藤さんは、大幸さんとはどういう関わりで仕事を始めたんですか?
伊藤)1993年にビーイングに入社しまして、シーファクトリーという映像部門の会社があるんですが、そこへ入社させていただきました。そこからビーイング所属アーティストの映像、ミュージックビデオであるとか、CMとか、ライブのパッケージとかですね、その辺を長戸社長のもとで制作させていただいております。
大幸)うちに来る前どこにいたの?
伊藤)番組の制作会社におりまして。
大幸)ということは、私とは東京で1年位しか会ってないんですね。
1993年に私は(東京)辞めてるから。
ばんばん)そうなんや。
大幸)ただ大阪に来てからも指示は全部僕がやってましたんで、彼はその指示に沿って真摯に東京でやってくれてたんだと思うんですけどね。
ばんばん)なるほど。じゃあ、久しぶりですか?
大幸)いやいや、此処の所SARD UNDERGROUNDってのをやってまして、それも彼に全部やってもらってますんで。
ばんばん)そっか。元々映像に興味があったんですか?
伊藤)番組制作を3年位やったんですが、ちょっと目指してるものが違うんじゃないかと。そういうことの中でやはり音楽がずっと好きだったので、音楽の方でやりたいなと思ってビーイングを受けさせていただきました。
ばんばん)そこでZARDと出会ったわけですよね。被写体として、坂井さんはどうでしたか?
伊藤)ある日番組のチェックで社長室に呼ばれて、その時に坂井さんもそこにいらっしゃいまして。輝きと言いますか、オーラみたいなのがすごく出てまして、そこで私すっごい緊張しちゃいまして(笑)
ばんばん)まだZARDが有名になる前に出逢われたんですか?
伊藤)いいえ、私が入ったのが1993年1月で、1月27日に「負けないで」がリリースになってますから、その時はすでに。もう〜とにかく綺麗な方で。
ばんばん)で、そこから仕事をしだしたわけじゃないですか。
伊藤)はい。入った時に「負けないで」のテレビCMを作ってたんですね。ZARDですし、「負けないで」ですし、色んな映像素材なんかを使って作るのかと私自身は思ってたんですね。ずっと映像をやってきたものですから。でも基本写真1枚なんですよ。
ばんばん)???(笑)
伊藤)社長が選んでくれた写真1枚を、ちょっと動かしたりして作ってるんですね。
ばんばん)へ〜。やりにくいですね〜。
伊藤)(笑)。それも1パターンだけじゃないんですよ。曲のタイミングに合わせて写真1枚で何十パターンものCMを作るんです。なかなかそのタイミングの感覚が掴めなくて、社長に何度もやり直しさせられまして、20〜30パターン位、15秒のTV SPOTを作った記憶がありますね。
ばんばん)それはどういう意図だったんですか?
大幸)だからね、聖徳太子も写真1枚でスーパースターです。
ばんばん)お札のあの写真ですね。写真というか絵ね。
大幸)はい。だから別に色んな聖徳太子の写真見たことない。
ばんばん)ホンマや(笑)。だけど物凄い発想やね。
大幸)だからその発想で(笑)、この写真を気に入ったらこの写真だけでいく!と。CDジャケットも同じ写真ですから。というのを徹底してやってました。
ばんばん)今までそんなことした人いないでしょ?
大幸)いやそれはよく覚えてないですけどね。他人(ひと)のことはあまり分からないけど、私は売るためにイメージだけを固めたいので。でね、「負けないで」がテレビ出演最後なんですよ。この後テレビに出てないんで。
ばんばん)あ〜前にそういう話してましたね。
大幸)テレビ出てないのに一枚の写真で色んな映像をやってイメージを固める! それを彼が全部やっているので、私の気持ちを全部理解してくれているはずなんです。海外に行って何百時間、何千時間って映像を撮ってくるんですよ。でも使うのは12秒とかなの。
ばんばん)ホンマ〜(笑)
大幸)いや、本当に(笑)。その12秒を何とかして2分半くらいまで伸ばすんですよ。だから超スローにするの。1秒位で横向いてるのに、10秒位かけて横向いたようにスローかけて伸ばしたり。
ばんばん)なるほど。それはすごい以心伝心ですね。
伊藤)また社長の選ばれるカットもすっごく限られてまして。30時間、40時間と撮影したテープ(素材)があって、それを社長全部見て、そこから本当に1秒とか、2秒とか選ぶんですよ。
ばんばん)(笑)
伊藤)見るだけでも大変なのに、1秒、2秒を、「コレだー」っていって選ぶんですよ(笑)
大幸)しかも1秒の中に30コマあるんでけど、1秒の中の26コマまでOKとか。27コマからはダメとか。
ばんばん)すげ〜!!! それ、すごい作業ですね。
大幸)結局、可愛い映像なんだけど、女の子から見ても可愛いと思われる映像じゃないとダメなんですよ。だから可愛い、綺麗だけではダメなんです。
ばんばん)それは分かってやってたんですか?
大幸)そう。まあ亡くなってからは、さほど厳しくチェックしないで色んな映像や写真を出しましたけど。
ばんばん)それなかなか分からないよね〜。
伊藤)初めはちょっと分からなかったんですけれども。社長にその辺はご教授いただいて、坂井さんに関してはある程度理解出来た感じではあるんですけどね。
ばんばん)ほ〜う。じゃあ1曲目の「もう探さない」(※注釈2)。コレは何か思い出ありますか?
伊藤)「もう探さない」っていうのは、私が入る前にすでにミュージックビデオを岩井俊二さんっていう映画監督の。あの岩井さんが作ってたんですよ。でも今お話した社長の考え方の中で、お蔵に入っちゃってたんですね。
当時は岩井さんがまだ映画監督として駆け出しの頃でしたが、すでに才能溢れる作品を作られていまして、その岩井ワールド炸裂の作品が何故かお蔵に入ってしまったという(笑)
大幸)私が気に入らなかったんですよ(笑)
ばんばん)岩井さんの思いが強すぎたの?
大幸)いや〜、だから映りだけなんですって、本当に。何の意図もなく、単に顔が女から見たら敵に回らない、男から見たら可愛い!と思わせる映像だけを選んでいたので。亡くなってからは全て出しましたけど、亡くなるまでは大変こだわったものしか出していません。
ばんばん)言葉にすれば簡単ですけれども、難しい注文ですよね。
大幸)まあまあ僕の個人的な好みも入ってるとは思いますけど、やっぱりね、同世代の中でZARDのことを嫌いな女性が何人かいるんですよ。
ばんばん)それはね、万人に受けるってのはね。
大幸)もちろん。でもそれを出来るだけ減らしたかったんですよね。基本的に、綺麗な女の人が来たら、女の人は引きますよ。そうは言っても、女の人が引かない女の人は、男から見て魅力ないんですよ。
ばんばん)そうやね〜(笑)。それは分かります。
大幸)女の人が「あの人綺麗ね」っていう人は、男からしたら「あっそう?』って感じじゃないですか。逆に僕らが「わ〜あの人綺麗!』ってのは女からすると「どこが?」っていうじゃないですか(笑)。ここが難しいんですよ。どちらにも好かれる顔ってそう居ないんですよね。
ばんばん)それを映像にしないといけないから大変でしたね。
伊藤)本当に鍛えられました(笑)
ばんばん)それじゃあ、そろそろ曲に行きましょう「もう探さない」。
ばんばん)2週前にデザイナーの鈴木謙一さんに来ていただいた時に、CDジャケットを作るにあたり、泉水さんの左側が良いという話をしていましたが、映像も当然こっち向いてる、あっち向いてるのが良いってのはあったでしょう?
伊藤)はい。映像も基本的にはジャケットと同じですね。しかもZARDの映像撮影は結構変わってまして、いわゆるスチール撮影と同時に入るんですね。で、いい顔を探す作業なんですよ。だから、ほぼジャケット撮影とスチール撮影は変わらない形で撮影をするってことがテーマでした。
ばんばん)ということは、さっきの話ですよね。すごい長い尺を撮って、使うのはたった何秒とかいう世界ですか?
伊藤)そうです。それは社長に選んでもらうっていう。
大幸)カメラはね、隠しカメラなんですよ。
ばんばん)あ〜、鈴木さんの時も話出てましたね。
大幸)だから本チャンのカメラは全部実は嘘(ダミー)なの。「本番いきま〜す」〜「はい。カット、終わり!」で、ZARDはそこから本番が始まるの。
ばんばん)それやってたんでしょ?
伊藤)はい。影で、隠れて、盗撮のように撮ったりしてました(笑)
大幸)ホントに盗撮のようだよね。撮ってるのがバレたら何の意味もないんで。本人に分からないようにやらなきゃダメなんで。
ばんばん)それもなんかすごいですね(笑)
伊藤)本チャンのカメラはちゃんと回ってるんですよ。その後ろの方に隠れて。扉の影とか。
ばんばん)性格、卑屈にならないですかぁ(笑)
大幸)望遠とかね。街を歩いてるのに、ビルの上から望遠で撮ったりとか。
私は海外はもちろん、国内もほとんど行ってないですけど、多分そういう撮り方をしてると思いますよ。
ばんばん)苦労はあったでしょう? 言うのは簡単だけど、実際そういう撮り方していくの大変ですよね?
伊藤)まあそうなんですけど、ZARDの考え方とか社長の考え方を分かるとその辺納得していくので、カメラマンも含めスタッフはみんな理解してやっていました。だから大変だとはそんなに思わなかったです。
ばんばん)なるほどね。でも、その後プレビュー見るの楽しみでしょう?
伊藤)そうですね。プレビュー見るの楽しみですけど、まあさっきの話に戻っちゃうんですけど、とにかく社長に選んでもらうってことが大前提なので。我々が長い素材をある程度「この辺だろう」って絞り込むんですけど、意外とそれが当たらなかったりする(笑)
ばんばん)はははっ(笑)
大幸)いや〜大変申し訳ない(笑)。でもね、フリオ・イグレシアスも、マライア・キャリーも左側からしか撮ってませんから。
ばんばん)あ〜顔がね。
大幸)はい。そういう風に人によって、左、右、斜め上とか、下とか。
ばんばん)ありますよね。一番美しく見える場所が。
大幸)はい。それにこだわってたことは、こだわってましたね。
ばんばん)分かりました。じゃあ続いては?
大幸)では「Just for you」(※注釈3)の話を。日本青年館の話、何かないですか?
伊藤)コレはライブ撮影で・・・。コレすごく大変だったんですけど、2日間で曲を41テイク撮影して。
ばんばん)え〜!!
伊藤)その中で坂井さんがいわゆる曲に合わせて着替えるんですよ。20回くらい衣裳チェンジしてまして、髪型も5回くらい変えて撮影をやったんですね。まあ当時リリースしたアルバムの曲をずっと撮っていったんですけど、この撮影は坂井さんも大変だったと思います。
ばんばん)それは大幸さんのアイデアで?
大幸)いや元々はね、日本青年館もそうだし、渋谷公会堂もそうなんですけど、ZARDのライブをやる予定だったんですよ。
ばんばん)えっ?ライブを撮ってるんじゃなくて?
大幸)いやこの時はライブシチュエーションの撮影をしたの。でも実は本当のライブをやるつもりでリハもやってたんだけど、結局ライブを出来なかったんですよ。出来なかったのは本人が原因じゃないんですけどね。バンドがあまり良くなかったので。だからコレもう止めようかって、ライブ当日の朝にスタッフが会場の前に行って、「本人が病気のため急遽コンサート中止します」って、チケット代を全部払い戻して。
ばんばん)マジですか?
大幸)うん。急病って言わない限り、なかなか中止にもっていけなかったんで。元々抑えてるのは半年以上前なんで。
ばんばん)本当にやるつもりだったわけでしょ?
大幸)もちろん。日本青年館もやるつもりだったけど、結局やらないことにしたんで、当然美術もあるわけですよ。だからそれをバックにライブシチュエーションで撮影したんです。その時撮影した映像があるので、亡くなってからコンサートが続けられてるんですけどね。
ばんばん)そうですよね。フィルムコンサートみたいなの続けられてますもんね。
大幸)はい。で、その次にテレビ朝日の「ミュージックステーション」のスタッフから、ZARDでどうしても2時間特番を組みたいと。僕はあまり乗り気じゃないという話をしたら、撮るだけ撮らしてくれないかと言われまして。それで「OKならやらしてほしい、ダメならボツでもいいです!」って言うから、「じゃあどうぞ撮ってください」って。で、実際撮ったんだけど、良くない。
ばんばん)(笑)
大幸)2時間番組を撮影して、全部ボツ(笑)。それで、撮影してもらってボツ出しただけでは悪いから、「せっかくやってもらったんで買い取ります。掛かった金を私に請求してください」と言って。いわゆるテレビのスタジオで撮った、機材代から衣裳から何から、掛かった費用も含め全部そのまま映像を買い取らせてもらったんです。何千万かは忘れたけど。
ばんばん)買い取ったんですか?
大幸)買い取ったから今その映像が使えてるんです。
ばんばん)そうか〜。つまりそれは編集とかを自分の手でやりたかったの?
大幸)いやいや。ジーパン履いてラフな格好させてるのに、髪の毛だけビシーッとしてるんですよ!!
ばんばん)あ〜髪の毛をバサバサにしたいって話あったね。
大幸)はい。そうなってなかったんです。ちゃんとしたスタイリストとかヘアメイクがついてるからなんですよ。
ばんばん)テレビ局はどうしてもね。
大幸)そう。それが気に入らない。それからですね、下にスモークをたいてるんですよ。そのスモークが膝下まで来てるんだけど、それによって足が短く見えるんです。分かります?
ばんばん)分かります(笑)
大幸)なんでスモークたくのよって。足元でたくなら分かるけど、足のちょうど膝の下くらいまでスモークが来ていて、「なんか足が短く見えるな〜コレ」って。だからボツって。そういうのがいっぱいあるんですよ。妙に綺麗に見えるとか。
ばんばん)だから、なかなか他人(ひと)に任せるってことが難しい?
大幸)まあ私に関してはそうですね。映像に限らず、音もそうだし。でもね、コレ私だけの意見じゃないですよ。坂井さんも同じ意見でしたから。だから私だけ言ってたわけじゃなくて、彼女が言ってたことを私が代弁してた可能性が相当あるんです。
ばんばん)なるほど。彼女はどうでした? 撮影している時は? 海外にも行かれてずっと接していらしたと思うんですけど、扱いやすかった?
伊藤)やっぱり最初はちょっとナーバスになったりするんですけど。まあ緊張でしょうね。でも徐々にテンションがすごく上がっていくタイプでしたね。後半の方は結構ノリノリで撮影やってた感じでした。
ばんばん)カメラマンでもそうですけど、撮影って「綺麗だよ」とか本人を乗せていくじゃないですか。そういうテクニックとかはあったんですか?
伊藤)いや、それはあまりなかったですね。隠れて撮っていたくらいでしたから。
ばんばん)そっか(笑)
大幸)本人はあがり症で、自分は芝居も下手だし、嘘みたいな表現も出来ないことを分かってるんで、「隠しカメラで撮ってください」って気持ちがあったはずなんですよ。その隠しカメラがどこにあるか分かると緊張しちゃうんで、分からないようにして欲しいっていう。途中から隠しカメラで撮られてるんじゃないか?という意識は半分ありながらも、隠しカメラが目に入らなければそのうち忘れるじゃないですか。それで撮っていくというスタイルでしたね。
ばんばん)なるほど(笑)
大幸)いやいや、大変でしたけど。
ばんばん)そっか〜(笑)。じゃあ、そろそろ次の曲行きましょうか。
大幸)はい。それでは伊藤さんからのリクエストで「Just for you」。
大幸)続いては、伊藤さんからのリクエストで「もっと近くで君の横顔見ていたい」(※注釈4)。この曲はZARDの全国ツアーの時にですね、当時大黒摩季もそうなんだけど、ZARDも「本人じゃないんじゃないか」って言われてたんですよね。歌ってる人が。写真の人と歌ってる人が別の人とか言われてたんで。それでどうしても本当に歌ってる所を見せたいと。ところが大半の曲は口パクでも分からないじゃないですか。だから本当に歌ってるんだってことを分からせるために、わざとこの曲を選んでるんですよ。コレはギター1本で、本当に「せ〜の」でテンポも無視して二人でやってるのを見せるためにライブで歌ってるんですけどね。
ばんばん)なるほど、本物なんだってね。
大幸)はい。そういうことで、2004年のライブの時の「もっと近くで君の横顔見ていたい」を聴いてほしいんですけど。コレ、本当は高い所を本人は裏声でやりたかったんですよ。でも私はどうしても地声でやらせたかったんです。そしたら本人から、どうしても地声でやるなら一発目だけにしてほしいと。二発目三発目は裏声にさせてほしいと言われたんです。ということで地声が一発目だけ入ってるんですよ。そこを聴いてほしいんですけどね。
ばんばん)なるほど、分かりました。
大幸)では、ZARDで「もっと近くで君の横顔見ていたい」。
ばんばん)ライブも一緒に行って撮ってはったんですか?
伊藤)2004年のライブツアー、1999年の船上ライブ、この辺は全部撮影はやっているんですが・・・、2004年のライブは社長大変でしたよね?
大幸)あの〜、体調が悪かったんですよね。それで色々ケアはしていたんですけれども、ある時ライブ前日に電話が掛かってきてみんなで部屋まで行ったら、「全く動けません、明日無理です」って。それで救急車呼んでどーのこーのってやって、本番始まるのが18時ですよ。それなのに17時まで掛かって。だからリハーサルもクソもない。リハは1、2曲歌っただけで終わりとか。そういう状況でやりましたよ。
ばんばん)それ、ずっと映像でついていってたんですか?
伊藤)ライブ本番は撮ってたんですけど、この時ばかりは体調が悪くてドキュメント的な舞台裏の映像は基本的にはないんです。それは我々も見ていて分かっていたんで。
ばんばん)撮る方も辛いわね〜。
伊藤)そうですね。それ以上緊張だとかを与えると、と思ったので、2004年はちょっと控えてました。
ばんばん)ん〜、そっか。
大幸)なんか色んなことありましたよ、ライブで。(ある時は)1番が始まりました。(イントロの後)本人歌から出るはずです。なのに出てこない!!!とか。
ばんばん)出てこない?
大幸)そう。ステージに姿を現さない。それでバンドはどうしようと。同期(シンク)もまわってるし。「どうしよう」って思いながらとりあえずバンドだけで演奏続けてる間に本人が戻ってきて、いきなり2番からステージに登場してましたから。「え〜!!!」みたいな。
その時にミュージシャン(バンド)が偉かったのは、1番始まってるのに本人出てこなくて、そのまま丸々本人いない中で1コーラスずっと演奏をやり続けたんですよ。で、2番から急に本人が登場した。それもやらせと思ったらしいですから(笑)
ばんばん)お客さんが?
大幸)お客さんも、ミュージシャンも(笑)。演出だと思ったって。そんなわけないじゃん、1番丸々いないんですよ(笑)
ばんばん)それは何でですか? 彼女がむらっけがあるとか?
大幸)いえいえいえ。
ばんばん)体調が悪くて出れなかった?
大幸)そうです。本番始まってるのに本人出てこないから、ステージ裏では「途中でお客さんを帰さなきゃいけない、どうしようか!?」ってやってる時に、ピュッと戻ってきて、2番からステージに出ていって歌い始めたんです。そんなこともありました。
ばんばん)なかなか大変でしたね、そういう意味ではね。
大幸)大変体調悪かったんですよ。体調が悪いからテレビに出せなかったんですよ。「負けないで」の後からテレビに出さなかったのは、別に僕らが決めたわけでもなんでもなく、「ミュージックステーション」って生放送なんで、体調が悪い日と生放送がぶつかった時にとても無理ですと。それで結局テレビに出すのをやめたんですよ。それを戦略って言われましたけど、本当は戦略じゃなかったんです。
ばんばん)そうだったんや〜。
大幸)では、伊藤さんのリクエストから「ハートに火をつけて」(※注釈5)聴いてください。
ばんばん)なんか裏話ありますか?
伊藤)普段は当然ご本人が衣裳を選ばれるんですけれども、まあこの時は初めて坂井さんからウエディングドレスが着たいと。社長にも話が事前にいったと思うんですけど?
大幸)はい、亡くなる1年前ですよ。多分1回着たかったんじゃないですかね。
ばんばん)思いがあったんでしょうね。
大幸)はい。
伊藤)で、当日ウエディングドレスを着られて元気に撮影していたんですけれども、MV撮影が終わった日の夜に体調が変化してしまったみたいで、それで即入院という形になったんですよね。
撮影やってる時には全然元気で、気張っていたのか? 気丈に振る舞っていたのか? 多分そうだったんでしょうけれども、エキストラの子供たちもいて、子供たちとワイワイ遊んでた感じで撮影は和やかに終わったんですけれども。そこで体調を崩されたってことが非常に、とても、責任を感じてます。
ばんばん)でも、そういう話を聞くと、彼女も自分のウエディング姿を残したかったんやね。綺麗に撮れましたか?
伊藤)綺麗には撮ってます。
大幸)まあ〜彼女としてはウエディングドレスを1回着てみたかったんじゃないですかね。結局結婚していないので、自分は結婚出来ないだろうなっていう気持ちがあったと思いますね。あの頃40前でしたから。
ばんばん)そういう意味では思い出の映像ですね。
伊藤)そうですね。
大幸)では、伊藤さんが一番好きだった曲は?
伊藤)数多くあるんですけれども〜。「サヨナラ言えなくて」(※注釈6)という曲が、コレなんの理由もありません、ただ単純に好きなんです(笑)。コレも日本青年館で撮った映像が残っていたんですけれども、数年前にMVを作ってライブで公開しました。切ない曲なんです。
ばんばん)そう〜。
大幸)とにかく僕が聴いてるのは5000時間以上あるって。ZARDだけで、保存している映像が。5000時間から選ぶの大変ですけどね。
伊藤)亡くなられた時の追悼ライブは、「ライブやろう」って話になって、5000時間ってちゃんと選んでいくと間違いなく1、2年掛かると思うんですよ。それを3ヶ月で作って社長に見てもらって、っていうのをガ〜ッと繰り返して、何とかライブは出来たんですけれども。それ以降の追悼ライブは徐々に作っていってという感じですが、とにかくあの時は半端ない時間、素材の多さでした。
大幸)毎公演、毎公演、映像変えないといけないから。映像見に来てくれる人からすれば。
ばんばん)はいはい。私事ですが、うちの息子も追悼ライブ見に行きましたよ。
大幸)あ〜すみません。ありがとうございます。
ばんばん)じゃあ、その伊藤さんが一番好きだという「サヨナラ言えなくて」。
ばんばん)今週もあっという間にお別れが近づいて参りました。今週は映像ディレクターの伊藤孝宏さんをお迎えしましたけれども、改めてZARD坂井さんのことを語ってきましたが、どうでしたか?
伊藤)入社しましてから30年間ずっとやらせてもらって、途中で亡くなられたんですけれども、本当にずっと映像を見ているので、まだ坂井さんがいる感じなんですね。とにかく映像に現れるんで、それがすごく感慨深いです。いつまでも生きてるし、当然いい曲はいっぱいあるので、これからもそれも聴けるし、という感じですね。
ばんばん)はい。今日はお忙しい所ありがとうございました。
大幸)ありがとうございました。
伊藤)大変ありがとうございました。
ばんばん)次回は?
大幸)次回は、いわゆる本人の横についていたマネージメントをしたり、ファンクラブのことをしてもらった野口さんという女性に来てもらいます。
ばんばん)ジャーマネが来てくれますね。
大幸)はい。
ばんばん)それでは、お相手はばんばひろふみと、
大幸)長戸大幸でした。
ばんばん)来週までご機嫌よう。
二人)サヨナラ。
今年6月、大阪・堂島リバーフォーラムにて過去最大規模で開催された3日間限定のZARD MUSEUMが、関東での開催希望の声を多数受け、【ZARD MUSEUM 鳥居坂ラボ六本木】として開催!
[Movie展]9/16~9/26
会場に上映スペースを設け、堂島リバーフォーラムで開催期間中に日替わり上映していた3本の映像をまとめて上映。【上映時間:約100分】
[前期展示]9/30~10/10は【制作ラボ】
Movieラボから一転、ZARD MUSEUMの特長の一つであった膨大な量の「坂井泉水の詞」の展示やレコーディングスタジオの再現など、ZARDの制作にスポットを当てた企画展示を行う。
[後期展示]10/14~10/23は【プライベートラボ】
制作ラボから坂井泉水のプライベートアイテムを中心とした企画展へと変化。
前期・後期を通じて、衣装や写真の展示(一部入れ替え予定)の他、堂島リバーフォーラムで来場者の多くが足を止めていた貴重な展示ファイルの一部を手に取って見ることが出来る閲覧コーナーも設けられる。
※ZARD MUSEUM 鳥居坂ラボ六本木の最新情報はZARD MUSEUM Twitterアカウント(@ZARDMUSEUM)をご確認ください。
※MUSEUMの内容については予告なく変更される場合がございます。予めご了承ください。
「ZARD MUSEUM 鳥居坂ラボ六本木」
【日程】
●Movieラボ 2022年9月16日(金)~9月26日(月)
●制作ラボ 2022年9月30日(金)~10月10日(月)
●プライベートラボ 2022年10月14日(金)~10月23日(日)
【時間】
・Movieラボ <上映時間約100分の完全入替制>
平日12時~20時 (12時~,14時~,16時~,18時~/最終入場 18時)
土日祝 10時~20時(10時~,12時~,14時~,16時~,18時~/最終入場 18時)
・制作ラボ <90分完全入替制>
平日 14時~20時 (14時~,15時30分~,17時~,18時30分~/最終入場 18時30分)
土日祝 10時~19時(10時~,11時30分~,13時~,14時30分~,16時~,17時30分~/最終入場 17時30分~)
・プライベートラボ <90分完全入替制>
平日 14時~20時 (14時~,15時30分~,17時~,18時30分~/最終入場 18時30分)
土日祝 10時~19時(10時~,11時30分~,13時~,14時30分~,16時~,17時30分~/最終入場 17時30分~)
【会場】ビーイング鳥居坂ビル
【住所】〒106-0032 東京都港区六本木5-14-35鳥居坂ビル
【チケット料金】(入場特典付き)
ZARD MUSEUM Movieラボ入場チケット ¥6,000(税込)
ZARD MUSEUM制作ラボ入場チケット ¥3,000(税込)
ZARD MUSEUMプライベートラボ入場チケット ¥3,000(税込)
【チケット発売中】eplus.jp/zard-m/
【問い合わせ】
サウンドクリエーター
TEL:06-6357-4400(平日12:00~15:00 ※祝日を除く)
メールでのお問い合わせ:https://www.sound-c.co.jp/contact/