「青いガーネットの山本ピカソ」史上初インタビュー(Part.1)
〜初ワンマンを終えて〜
●3/29の初ワンマンライブを終えて、少し時間が経ちましたが今の気持ちを聞かせてください。
山本:とりあえず終わってホッとしています。最初にマネージャーさんからは「ワンマンライブを開催しましょう」というお話があったのですが、私自身は「20人くらいは集まってくれるかな」と不安な気持ちでいっぱいでした。でも実際は前売りの段階でソールドアウトになって。あんなに多くの方に来てもらえると思っていなかったので、本当に嬉しかったです!!
●最初にワンマンの話が出たのはいつ頃でしたか?
山本:去年の10月〜11月頃です。10月6、7日にマレーシアで開催されたアニメ音楽フェスに出演させていただいたのですが、その後でしたね。
●ワンマンを拝見させていただきましたが、登場時は「感激」と「緊張」の両方が伝わってきました。
山本:ソールドアウトというのは聞いていましたが、いざステージに出ると後ろの方までお客さんがいらっしゃって、思わず感激しました。それと同時にとても緊張しましたね。3曲目の「空色の猫」くらいからちょっとずつほどけていきましたけど、最初はめちゃくちゃ硬かったですね(笑)。2曲目の「flying」は初挑戦の曲でしたが、歌うのがすごく難しいので、そこまではほぼ緊張MAX状態でした。
●セットリストはどのように決めていきましたか?
山本:ライブ当日は3月29日でGARNET CROWさんのメジャーデビュー日だったので、1曲目を「Mysterious Eyes」(1st Single)にしようというのは最初に決めていました。そこからどうしようか悩んで……。やっぱりGARNET CROWさんのファンの方には当時のライブの流れを感じられた方が喜んでいただけるのかなと思ったので、まず過去のセットリストを全部集めて、この曲は後半にきやすいとか傾向を調べました。最終的には、GARNET CROWさんの流れを意識しつつも、例えば「スパイラル」はアンコールや後半で盛り上がる曲だけど、今回は中盤に入れてみようなど、自分なりの流れも取り入れつつ構成していきました。
●初期〜中期の曲がメインでしたが、「closer」は最後のオリジナル・アルバム収録曲ですよね。
山本:はい。しかも10曲中10曲目、ラストに入ってる曲ですよね。
●そうですね。なぜ今回選曲したんですか?
山本:好きな曲なので、ぜひ歌わせていただきたいと思いました。今回は初チャレンジのカバー曲もたくさんあり、中には難しい曲もあったのですが、初めてのワンマンということで自分にとって特別なライブでしたし、好きな曲というところも優先して選んでいきました。
●「水のない晴れた海へ」や「Holy ground」など、GARNET CROWのライブでも人気があり、ファンの思い入れもひとしおの曲にも挑戦しましたね。ご自身的には納得のいく形で終われましたか?
山本:どうなんでしょう……?(しばらく考えて)もちろんこうしたら良かったとかはいっぱいあるんですけど、今の実力を出し切ることは出来たかなと思います。終わってから反応が気になって来てくださった方のコメントをSNSで見ていたら、皆さん結構楽しんでくださっていたようなので安心しました。当然否定的なご意見もあるとは思うんですけど、皆さんの反応が全てだと思うので、どんなご意見も今後の課題として活かしていきたいです。
●今回はバンドスタイルでのライブでしたが、そもそも青いガーネットになる前にライブ経験はありましたか?
山本:高校生の時に軽音学部でヴォーカルとアコースティックギターを担当していました。その時に、学園祭や何回かライブハウスにも出たんですけど、本格的なライブは今の事務所に入ってからです。
●軽音楽部ではバンドを組んでいたんですか?
山本:はい。ガールズバンドと、男の子と一緒に組んだバンドと、2バンド掛け持ちでやっていました。
●最初からヴォーカルですか?
山本:そうです。歌いたくて軽音楽部に入りました。
●ワンマンは実力派のメンバーに支えられてという形でしたが、バンドでのリハ、本番はいかがでしたか?
山本:バンド全体のリハは多くはなかったのですが、安心感がすごくありました! 演奏自体皆さんの胸を借りて臨ませていただきましたが、ライブを1時間15分もやるのが人生初めてだったので、演出に関しても曲間の繋ぎやイントロでの煽りなど当日のリハで相談させていただきました。皆さんすぐに対応出来ちゃうのがすごいなと思いましたね。あと、宇都さんの「夢みたあとで」から「whiteout」への繋ぎのギターもすごくて!
●宇都さんはギターのテクニックが素晴らしいですね。
山本:そうなんです。実は私が宇都さんに事前に「whiteoutへと導くギター・ソロを考えてきてくださいね」と伝えるのを忘れていて、リハ最終日に思い出してその場でお願いしたら、「こんな感じですか?」ってすぐに弾いてくれて。演奏はもちろん、知識や対応力にも驚かされました。四人とも(ギター・宇都達人、キーボード・北川加奈、ドラム・車谷啓介、ベース・川浪啓太郎)ミュージシャンとして私より先輩で、“歌っていて自然とテンションが上がる演奏”というものを体感させていただいて、とても勉強になりました。
●MCで「アンコールは予定してなかった」と言ってましたが、実際は1曲目に披露した「Mysterious Eyes」をもう一回披露しましたね。
山本:「最近アンコールのないアーティストさんが多いですよね?」ってディレクターさんに話をしたら、「1stライブだからこそ無くていいんじゃない。その方が潔くていいかも」と言われていて、その予定でいたんです。でも観客の皆さんが帰らずにずっと手拍子でアンコールを求めてくださって、急遽舞台袖でバンドメンバーの皆さんとディレクターさんと相談して出ることにしました。すごく嬉しかったです。
〜ソングライティング〜
●オリジナルの「四月の天使」もいい曲ですね!
山本:ありがとうございます。今回来てくださる観客の方はGARNET CROWさんを応援してる方がほとんどだと思ったので、いきなりここでオリジナルを入れるのも良くないかなと迷ったんですけど、「初ワンマンだし、せっかくなら1コーラスだけでも出来たらいいな」って話していたんです。それならとりあえずいっぱい作って、その中からいい曲を選ぼうということになり、本格的に曲作りを始めました。作った曲を長戸大幸プロデューサーに全部聴いていただいて、その中から唯一この曲だけプロデューサーがアドバイスしてくださったんですよ。
●具体的にどんなアドバイスだったんですか?
山本: Bメロがもっと長かったんですけど、「もっと短い方がよくない?」とおっしゃって、その場でギターを取り出して「例えばこんなメロディとか?」という風に具体的なアドバイスをいただきました。その時に「プロデューサー的にはこの曲が良かったのかな?」と感じたし、ディレクターさんもマネージャーさんも「この曲が一番いい」と言ってくださっていたので、これで進めることに決めました。
●デモはどんな風に作りましたか?
山本:最初にアコギと鼻歌でメロディを作って、その後ドラムの打ち込みやシンセなどの音も入れたりして、5日間くらいかけて作りました。
●作曲は昔からしていたんですか?
山本:ちゃんと形に出来たのは、今の事務所に入ってからです。
●独学で?
山本:はい。打ち込みも自分で勉強しました。
●「四月の天使」はどの部分からメロディが出来たか覚えていますか?
山本:Bメロです。Bメロから作って、コードを決めて、ギターを弾きながら適当な日本語を歌いつつ録音して、を繰り返して完成させました。爽やかな感じで、春っぽい曲に出来たらいいなと思いながら作っていきました。
●デモは曲から先に作ることが多いですか?
山本:作り方は曲によってバラバラですね。歌詞から書く時もありますし。
●急にメロディが天から降ってくるみたいなことはありますか?
山本:はい。「いいかも!」と思ったらとりあえず携帯に鼻歌を吹き込んでおくということがよくあります。そういう形になっていないボイスデータはめちゃくちゃいっぱいあって、そろそろ整理しなきゃと思っている所です。
●歌詞は昔から書いていましたか?
山本:詞の方が昔から好きでしたね。創作絵本みたいな物も作っていました。
●何歳くらいから?
山本:小学生の頃から。夏休みの自由研究で、タイトルも覚えているんですけど(笑)、「一本のさみしい木」という絵本を作ったこともあります。絵と文章を書いて、それをリングでまとめて一冊の絵本にまとめたものです。何かを書くことは昔から好きでした。
●「四月の天使」の歌詞は、プロデューサーNGが出て書き直しなんてことはありましたか?
山本:歌詞の書き直しはなかったです。
●メロディとマッチした綺麗な歌詞ですね。
山本:ありがとうございます。聴き心地の良さは気をつけました。
●作詞は恋愛をテーマにしたものが多いですか?
山本:恋愛ソングよりはどちらかというと抽象的なことをずっと言っているような詞が好きで。「生活とは。生きることは。」みたいな……。そういう詞を好んで聴いてるかもしれないです。だから、AZUKI 七さんの詞はとても好きですね。
●「四月の天使」のライブ・アレンジは、宇都さんと北川さんに相談しながら作っていったそうですね。
山本:本番は宇都さんのエレキギターと、北川さんのピアノと、私のアコギと歌だけで演奏したんですけど、「この曲だけは事前に合わせておきたいです」と言って、全体のリハの前に時間をいただいたんです。あいにく北川さんは予定が合わなかったので、宇都さんと二人で「イントロをどうしようか?」という所から始まって、ディレクターさんにピアノを弾いてもらいながら作っていきました。宇都さんは自分の意見を持ったギタリストなのでいっぱい提案もしてもらいながら、「もうちょっと分かりやすいのがいいです」とか私も希望を言わせていただきつつ進めていきました。
●自分の作ったものが形になっていくのは嬉しいですよね。
山本:本当に嬉しかったです。「良かったよ」って書き込みしてくれてる人も結構多かったので、余計に感激しました。
●オリジナルとしての第一歩の曲ということで、特別な一曲になりそうですね。
山本:そうですね。大切にフルコーラスを仕上げていきたいです。
〜GARNET CROWとの出会い〜
●GARNET CROWは今の事務所に入ってから知りましたか?
山本:GARNET CROWというバンド名や存在は以前から知っていましたが、本格的に作品を聴き始めたのは今の事務所に入ってからです。
●「名探偵コナン」のテーマソングで聴いたことがあったり?
山本:そうですね。主題歌を担当された映画『名探偵コナン 天空の難破船』を劇場に観に行ったり、TVアニメ「名探偵コナン」のテーマソングで流れているのを耳にして、「いい曲を歌うバンドだな」という認識はあったんですけど、その頃は自発的にCDを聴いたりはしていませんでした。
長戸プロデューサーとお会いした最初の頃に「コレ、聴いておいて」と、GARNET CROWさんのベストアルバムを2枚渡されまして。一番初めに聴いたのが「夏の幻」だったんですけど、聴いた時になんとも形容しがたい懐かしい気持ちが胸いっぱいに広がったんです。そこから渡されたアルバムを何度も何度も聴いてGARNET CROWの世界にどっぷりはまっていきました。
●そもそも長戸プロデューサーとの出会いは、どういうきっかけだったんですか?
山本:私は元々歌手に憧れがあって、子供の頃から「将来の夢」として心の中にはずっとあったんですけど、自分にあまり自信がなくて……。高校卒業のタイミングで「音楽に関わる仕事には就きたいから、歌手は無理でも裏方をやろう!」と決めて音楽系の専門学校に進んだんです。そこで勉強をして、そのままスタッフとしてとある会社に就職したんですよ。その時に現場マネージャーとして今の事務所に伺う機会があって。そこで長戸プロデューサーと出会いました。雑談の中で「君は何か音楽してなかったの?」と聞かれて、「高校生の時に軽音楽部に所属していて、歌手になりたかったんですけどね〜」とお話したら、「なんでやってもいないのに諦めたの? やってみて無理だったら諦めたら?」と言われて……。
●心に響く言葉ですね。
山本:その後、体調を崩して会社を辞めることになって、お世話になった方々にご挨拶に回ったんです。長戸プロデューサーの所にもお伺いした時に、「一回うちにきて一緒にやらない?」と誘っていただきました。
●声をかけてもらった時はすぐに飛び込んだんですか?
山本:いえ、全然。で、その時に「じゃあちょっと歌ってよ」と言われて、ギターを渡されて、テイラー・スウィフトの曲を歌ったんです。
●反応は?
山本:「いい声してるね」と言っていただきました。でも最初はめちゃくちゃ悩みましたね。進路を決める時に歌手になる夢は諦めていたし、こんな中途半端な奴が務まる世界ではないと思ったから相当悩んだんですけど、最後は長戸プロデューサーの言葉に背中を押されて、そんな風に言ってくださる方に巡り会えたのは何かの縁だと思って。「これを最後」と思って挑戦することを決意しました。
●その頃にGARNET CROWのベスト盤2枚を渡されたわけですね。
山本:お世話になることが決まってわりとすぐでした。「夏の幻」「夢みたあとで」「二人のロケット」「君という光」「水のない晴れた海へ」「未完成な音色」など10曲くらい挙げて「これ練習してみて」と言われました。
それで、練習するにはまずGARNET CROWさんについて理解を深めなきゃと思って、曲を聴いて、ライブを観て、調べられるだけのインタビュー、それこそミュージックフリークマガジンの記事だとか、ネットや書籍など集められるものは全て揃えて読んで。
勉強の意味ももちろんあったんですけど、自分自身がGARNET CROWさんの魅力にすっかりはまって、知りたい欲がどんどん高まっていきました。「どういう気持ちでAZUKI 七さんはこの詞を書いたんだろう?」とか。気になったら全部調べちゃうタイプでもあるので(笑)、セルフライナーや一般の方が詞を分析しているサイトまで調べまくりましたね。
〜青いガーネット誕生〜
●SNSにはGARNET CROW以外のカバーも公開していましたよね? その中で本格的に「青いガーネット」としてGARNET CROWのトリビュートをやっていくことになった経緯を教えてください。
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