The musician to the musician vol.13_Seiki Takayama (from ZYYG)
■『GET HAPPY!!』/ ELVIS COSTELLO & THE ATTRACTIONS
「ゲット・ハッピー!!」/エルビス・コステロ&ザ・アトラクションズ)
日本の中で好きなアーディストは何人かいますが、氷室京介さんもそのうちの一人で、以前その氷室さんがシングルのカップリングでコステロの「アクシデント・ハブン」っていう曲をカバーしてた事があったんです。それまでコステロの事は全く知らなかったんですが、それをきっかけに聴きだしたらメロディが良く、洗練されていてとても好きになりました。イギリスの古き良き時代のメロディ・ラインが残っているアーティストの一人とも言えますが、日本にも彼の影響を受けたアーディストはかなりたくさんいるようですね。彼は家庭を持っている人なんですが、家庭を守る為に音楽をやってるみたいなところもあって、そのわりきり方にも共感できる部分がありました。
このアルバムで一番気に入ってる曲は、1曲目の「RIOT ACT」です。
■『TROUBLECUM』/ THERAPY?
(「トラブルガム」/・セラピー?)
このアルバムはジャケットのデザインが変わっていたので、ちょっと参考にしようかなと思って、行き当たりばったりに買ったんです。そうしたら大当たりというか、とてもカッコ良くて……。
俺は音楽を聴く時一番、メロディの良さと、サウンドのカッコ良さを重視してしまうんですが、メロコア系のバンドの中でもただ吠えてるだけのバンドとは一線を画し、セラピー?はメロディもきっちりしてるし、カッコいいと思います。簡単に言ってしまえば、イギリスのパンクっていう感じなんですが、サウンド的なギターの部分やアレンジ全体を含めて、ZYYGの2ndアルバムの『Noizy Beat』は彼らの影響を多分に受けていると思いますね。
■ 『SHERYL CROW』/ SHERYL CROW
(シェリル・クロウ/シェリル・クロウ)
シングル・カットされた「If it makes you happy」を初めてラジオで聴いた時に、久々に”すげーな“って思いました。ケイト・ブッシュをはじめ、女性アーティストものも結構聴くんですが、ここ最近個人的にいいなと思うアーティストや曲がなかったので、この曲は衝撃的でしたね。この1曲を聴きたいがためにアルバムを買っちゃいました(笑)
ZYYGに「雨に隠れた涙」という曲があるんですが、その曲は「If it makes you happy」を聴いて参考にしたというか、こういうニュアンスの攻め方したいな、作りたいなと思ってギターで作ったんです。
今後ZYYGのアルバムにもこういうアプローチの曲が入ってくるかもしれません。シェリル・クロウはZYYCのサウンドとして試してみたいものの一つですね。
■『WAKING UP THE NEIGHBOURS』/ BRYAN ADAMS
『ウエイキング・アップ・ザ・ネイバーズ』/ ブライアン・アダムス)
彼は純粋にロッカーなんですよ。小難しい事は演らずに、コードも3コードに近いし、音も単純というか、シンプルなところが逆に良くて。2年くらい前にライブに行ったんですが、武道館だからといって特別にセットを組む事もなく、ライブハウスみたいな感じで、ロックン・ロールばかり演って、そんなシンプルな構成でも観客全員がノリまくっているのを見て、純粋にカッコいいなーって感動しました。
このアルバムは昔九州にいる頃車の中でよく聴いていて、それからずっと聴いています。メロディがきっちり作られていて、特にバラードがいいんです。
彼は万国共通というか、世界中どこへ行ってもロックが好きな奴なら、純粋に共感できるものを持っていて、そういう所がすごいと思います。それに彼は、ロックをよく知ってるヴォーカリストだと思います。尊敬できるロッカーの一人ですね。
■『the shazam』/the shazam
『ザ・シャザム』/ザ・シャザム
このアルバムのプロデューサーのブラッド・ジョーンズという人は、これまでインペリア・ドラッグなど色々なバンド系を手掛けてきた人で、以前から名前だけ知っていて興味を持っていました。
そんな彼が新人を手掛けたというので聴いてみたんですが、これが非常にいい作品で。なんか若さが出ていて、変に大人びてなくていいんですよ。パワー・ポップ系のバンドはどれも好きなんですが、このアルバムは曲自体の質も高くてお薦めですね。何が一番いいのかって、ギターの音色がすごくいいんです。勝手な推測ですが、今ビートルズが演ってたらこういうサウンドなんじゃないかな、なんて思います!
■『JOHN LENNON COLLECTION』/ JOHN LENNON
(『ジョン・レノン・コレクション』/ジョン・レノン)
無人島にCDを一枚だけ持っていけるとしたらこのアルバムかもしれませんね。「スターティング・オーバー」っていう曲がすごく好きなんです。昔、学校を辞めた時、これを聴いて頑張ろうかなって思った曲で、今でも落ち込んだ時によく聴きます。他の収録曲では「ウーマン」と「ラブ」をよく聴きますね。
俺の父親と母親がビートルズ世代で、生まれた時からいつでも自分の周りにビートルズが流れてて、自然と耳に入ってくる環境の下で育ったんですよね。実際自分から好んでCDを買って聴くということはないのに、意外とマニアックな曲でも曲目は言えなくてもメロディは歌えたりするんですよ。きっと無意識のうちに影響を受けているんでしょうね。もしかしたら、今俺が曲を作ってる一番の根底になっているのも、そこに通ずるのかもしれません。
「今回はみんなにも聴きやすいものを選んで持ってきたんですが、この6枚を一通り聴いて頂けるとZYYGのルーツになっている部分や、ZYYGが目指しているメロディアスな部分が、わかってもらえるかもしれません。同じロックでも6枚とも違うアプローチのものですが、基本的にメロディアスでキャッチーというラインは共通していますね」
〜取材を終えて〜
今回彼が持ってきてくれたCDを見た時、もっとロック一辺倒なものを想像していた自分にとって、すごく意外なセレクトだった。しかし、話を聞いていくうちに、彼のメロディ・ラインを重視する作曲のセンスが、ZYYGの強気ながらも、どこか繊細さを含むサウンドにつながっている、そんな気がした。優しく、人間くさい彼の側面がひしひしと伝わる今回の取材だった……。
<※今回の内容、music freak magazine vol.34(1997年9月号)に掲載したものになります>