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5番目の奇跡

自分はライブ中によく喋ってしまう人間だ。それはリアクションでの「やばい」みたいなことを言うときもあるし、「ここのあそこがすごくすごい」みたいなよくわからない言葉を発して連番相手に伝わらないこともある。自分は残念ながら妹や母親のように語彙力が豊かな人間ではないし、情景描写や説明だって上手くはない。ライブを見ながら一瞬一瞬の状況を飲み込むので精一杯なのに、何がどうなのか説明できない。でも声に出してしまう。

だから、ライブが終わった後、あまり時間を置かないうちにnoteで自分の言葉で書こうと思った。普段の全体ライブとかならあんまりそういうモチベはないけど、このライブで感じた高揚感や期待感を残したいという思いで、余韻冷めやまぬ帰りの電車の中で1人noteの執筆を始めた。今回も着地点を決めずにダラダラ書いちゃおう。

時間 -Mao

五百城茉央は何個の顔を持っているかわからない。ライブのときは本当に多彩な顔を見せる。
一方で、彼女の周りは、常に彼女だけの時間軸がある気がする。それは少しゆっくりで、どこか穏やかなものだと思う。どんな雰囲気の曲をやっていても、その時間軸は絶対にぶれない。それどころか、彼女の周辺だけでなく、会場全体さえも「五百城茉央の時間」としてしまう程の時間軸を持つ。まるで時間そのものだ。
普段のいおちゃんはなんかふわふわしてる。話しているのを聞いているとこちらがニコニコしてしまうような、穏やかでかわいらしい話し方だ。これも彼女の時間軸にこちらが飲まれてしまっているってことかもしれない。「五百城茉央の時間軸」、恐るべし。

スタ誕パートではコレサワの『♡人生♡』を歌っていた。普段はバラードだったり少し暗め、色で言うと「青い」歌を歌っているような印象が強いが、この曲は「ピンク」の曲っぽくて、普段のいおちゃんとは違う感じがした。また1つ別の顔を見せてもらったと思う。でもその中でも中心の「五百城茉央」はぶれなくて、彼女の時間が会場に流れていた。

5期生ライブパートは『「じゃあね」が切ない』の話をしたい。初のセンター曲、普段は何かとシンメにされることが多い彼女のセンターは新鮮だった。
でも不思議なことに、彼女がセンターに立つ時はセンターっぽさをあまり感じない。どちらかと言えば、周りのメンバーの魅力を十二分に引き出すような存在、デカい聖母のようだ。雰囲気からもわかる本人の性格の良さ、ピュアさなど、彼女の魅力が存分に引き出され、それによって周りも輝く曲だと思う。

才能 -Teresa

池田瑛紗の才能は計り知れない。乃木坂の活動をしながら受験勉強をして東京藝術大学に合格したり、ブログもtalkも圧倒的な更新量をキープする、自分の魅せ方を研究し続ける努力家であることはわかっているが、それ以上に才能を感じてしまう。
一方で、少しミステリアスでどこかに黒い部分を抱えていそうな雰囲気もある。それがまたファンの興味を引いているのかもしれない。

そんな彼女はスタ誕ライブパートでtofubeatsの『ふめつのこころ』を歌った。曲自体、どこか暗い部分を含んでいる気がして選曲が彼女っぽいなと思った。不思議なことに、彼女がソロで歌ったときは会場がスっと静かになって彼女の歌声だけ聴こえるような気分になる。この時間だけ会場が現実から切り取られて、無の世界に飛ばされるような感覚。
2年前と比べると歌が上手くなったと思う。2作連続でフロントだし、ここからさらに頑張ってほしいね。

5期生ライブパートでは『心にもないこと』のセンター。この曲は初披露の時以来ライブで見ていなかったし、その時はアンコールでメンバーが近くに来たり新曲初解禁と混乱要素があって記憶が飛んでいたから、今回が初めて見る気分だった。
あの顔がセンターに立つんだからさぞ派手に目立つんだろうなって思ってたら、曲調もあってか控えめな華やかさだった。彼女、賢いが故に求められている役割を瞬時に理解して最適な立ち振る舞いをしているように思う。それを計算ではなく自然にこなしていそうだからすごい。

彼女は「才色兼備」という言葉が似合いすぎる。色々な才能を開花させながらどこまで活躍のフィールドを広げるのか、これからも目が離せない。

天性 -Miku

一ノ瀬美空は生まれながらの、まさに天性のアイドルだ。
顔などのビジュアルは言わずもがな、名前や仕草や言動、なんでもアイドルだと思う。アイドルの衣装や歌が似合いすぎる人だ。
彼女がステージに立つと、どこきいてもその時、その場所での最適な魅せ方をしてくれる。「完璧で究極のアイドル」はもしかしたらこの人かも。

スタ誕パートでソロ歌唱した『I BELIEVE』は後ろで踊ってる井上&小川を完全に「ダンサー」にしてしまう、まさに主役だった。2年前に比べて歌が上手くなったと思うし、大塚愛の『プラネタリウム』などしっとりした曲のイメージがある中でのこの選曲は彼女のイメージをいい意味で覆してくれた。
彼女は思っている以上に謙虚な人だと思う。特にスタ誕の番組内では時折その姿を目にするが、それに対して「もっと自分に自信を持てばいいのに」と思ってしまうことがある。天性のアイドルであるが所以の期待の高さでも感じてしまっているのだろうか。そのままでも十分だと思うが、こういった姿勢に単なる「天性」に留まらない可能性のようなものを感じる。

5期生ライブブロックではやはり『熱狂の捌け口』で光った。「なんで彼女のセンター曲をもっと早く寄越さなかったんだ」と思ってしまうほど、真ん中が似合っていた。曲自体も彼女に合っていて、衣装の赤色の解釈も燃えたぎる炎みたいで似合うし、サイリウムカラーの水色も静かで、でも強い情熱を表しているかのようである。
個人的にこの曲すごい聴きたかった。かつての欅坂の『割れたスマホ』に似た雰囲気を感じてて、でも歌詞や曲調は全然違う。『割れたスマホ』はドス黒い感じの歌詞だけど、『熱狂の捌け口』は静かなる情熱みたいな曲だ。5期生曲にはない曲調だったこと、かつて自分がよく聴いていた曲に似た雰囲気を感じたこと、それを5期生がどんな風に歌うかが気になっていた。
自分が1番好きな部分は歌の2番の部分なので、いつかフルでやってほしいところ…。

太陽 -Hina

岡本姫奈はとにかく前向きで明るい。また、優しく温かい心の持ち主である、まさに太陽だ。
彼女はめげない。どんなに上手くいかないことがあってもめげずにその自分と向き合うことができるし、その状況をチャンスと捉えたり楽しんでいるのではないかとすら思わせるような、強い心の持ち主である。表舞台に出てくる彼女は、苦労の素振りを一切見せず、表現者としてステージで堂々と振舞う。
彼女はステージを広く使っているように見える。自分の身体だけでなく、周りの空間も支配して全身での表現以上のものを見せてくれる。その身体のしなやかさ、メリハリは見る者の目を引く。

一方で、普段の彼女は人の心に入り込むのがとてもうまいように感じる。メンバーやスタッフの方など関係者との関わりや、オタクとの関わりにおいても悪い噂を聞かない。ミーグリに行ったオタクも「話すのが楽しくてまた行っちゃう」という、話した人を虜にしてしまう明るさや話しやすさ、優しさがあるようだ。彼女が根っからの陽キャであることを実感する瞬間である。本物の陽の人はこういったことが自然にできちゃう人なのだろう。

スタ誕ライブパートでは残念ながらソロ曲を見ることはできなかった。だが、他のメンバーの歌唱シーンを裏のモニターで見て泣く、でもそのあとにしっかり面白要素も入れる。MCでは楽屋での裏話などを本当に楽しそうに話しているのが印象的だった。オズワルドの伊藤がトークスキルの進歩に驚いて思わず突っ込んでいた。彼女の優しさや温かさ、そして面白さがぎゅっと凝縮されている時間だった。
彼女は決して歌が上手い側のメンバーではないと思う。でも、その中でめげずに少しでも多く練習し、ステージでは一生懸命音を取って今できる最大限を見せてくれる。そんなひたむきで諦めない、ポジティブな姿勢に惹かれる人はこれからも増えてくるだろう。

5期生ライブパートでは『太陽ノック』のセンターをやっていた。5期生の「太陽」である彼女にはぴったりな曲選だ。明るくステージ上でめいいっぱいはじける姿は、見ている者を笑顔にする力が宿っていると思う。
彼女、ミーグリ全完売メンバーでアンダーセンターも5期生曲センターもやってないから、今度の5期生曲はセンターにしてほしい。絶対似合うから。

素直 -Aya

小川彩は真っ直ぐな人だと思う。最年少が故の無垢さみたいなのも感じるが、彼女の瞳は多分曇り一つない澄んだものだろう。でも、テレビやYouTubeに映る彼女は年頃の女の子って感じで素直じゃないときもある。個人的な感覚として「ひねくれ度合いを50倍薄めた齋藤飛鳥」という感じだ。たまに出るツンデレや、火の玉ストレートを見ると飛鳥ちゃんの片鱗を感じる時がある。本人にとってははた迷惑な話だが、同じ期での最年少、アンダーからの下剋上の真っ最中と、何かと重ねてしまう。
でもやっぱりグループ最年少、同期・先輩関わらずみんなから愛でられまくってる。今までこんなメンバーいたのか、ってレベルで愛でられているし、しこたま甘やかされている。よく口が半開きになってて、それのせいかとても赤ちゃんっぽい(こら)。来年以降6期生が入ってきて、グループ最年少の肩書きが外れたときどうなるのか少し気になる。

あーやのソロ曲を見ることはできなかったけど、その代わりいろはの『春よ来い』の伴奏でピアノを演奏しているところを見ることができた。ピアノを弾いている彼女はびっくりするくらい大人っぽく見えて、「清楚」という言葉が似合っていた。ピアノの旋律は真っ直ぐで透明な音色だった。この2人の時間は「乃木坂46」というものを体現していた時間かもしれない。

5期生ライブパートでは『いつの日にか、あの歌を…』のセンター、この曲をライブで見るのは初めてだった。彼女もまたセンター適正が高いと思う。最年少とは思えない立ち振る舞いで、何歳も大人に見えた。やっぱりこういうところで飛鳥ちゃんと似るところもあるんだなぁと思ってしまった。
すぐ昔のメンバーと重ねるのは本人にとってはプレッシャーだし迷惑な話かもしれないけど、そういう期待もされているってこと自体は悪いことじゃないと思う。これから6期生が入ってきたらどう進化するかが楽しみ。

愛 -Iroha

奥田いろははデッカい愛の持ち主だ(サクラップ脳内再生)。このライブでは2曲くらいしか出てこれなかったけど、その時間だけでも十分に彼女の愛情を感じることができていたと思う。とにかく彼女は優しい。自分のような汚い心の持ち主が見ると申し訳ない気持ちすら湧いてしまうような、後光が差しているレベルの心の綺麗さだと思う。

そんな彼女がユーミンの『春よ来い』を歌った。優しい時間が流れた。観ている者が自然に涙してしまいそうになるような、すごく優しいものだった。
あーやの真っ直ぐなピアノの旋律、そこにいろはの優しい歌声が乗ったことで本当に春が訪れたような穏やかな気持ちになる。
「いろはのために」と、忙しい合間を縫って『春よ来い』の難しい旋律を練習し、それを楽譜なしで弾けるようになったあーや。「自分が出なきゃあーやの練習が無駄になってしまう。」と体調不良を押して出てきてくれたいろは。お互いがお互いのことを思ってなんとか実現した時間はとても尊くて、汚れのないまっさらなものだった。

いろはの愛情は至る所に広がっていて、それはメンバーにもファンにも届いている。公演内で「いろは大好き」が実現したのも普段の彼女の振る舞いがあってだろうと思う。

努力 -Sakura

川﨑桜は努力の人だ。配信中でも見えている、楽屋でも振り付けの練習を怠らないような、雰囲気とは裏腹にストイックな人間だと思う。でも、ステージに立っていたり、ファンの前に姿を見せる彼女からはそんな雰囲気を微塵も感じさせない。まさに「アイドル」だ。
一ノ瀬美空を「天性のアイドル」と言うならば、川﨑桜は「努力のアイドル」かもしれない。どちらがいいとかではなく、どちらもステージの上では違う輝きを放ち、見る者を魅了する。

スタ誕パートでは『SAKURA』のソロ歌唱がとても印象的だった。ものすごく上手かったとか泣けるとかじゃなくて、彼女の今持っている全てかそれ以上を出したもので、迫り来るものがあった。泣きはしなかったけど1番胸が熱くなった時間だった。2年間での成長を1番感じたのは彼女だったかもしれない。
「桜は1年に1回必ず咲く。それを見た時にあのライブがあったなって思ったり、私のことを思い出してほしい。」みたいなこと言ってた。どこか寂しくなってしまう表現だ。「アイドル」という存在でいられる時間が有限であること、本人がそれを自覚してこのようなセリフを言っていたこと、そこに川﨑桜というアイドルの価値を垣間見た気がした。

5期生ライブの部分では『17分間』の話をしたい。『17分間』は彼女のための曲と言っても過言では無い。あんなアイドルらしい曲、衣装が似合うアイドルが乃木坂にいただろうかと思うくらいだ。川﨑桜の魅力をこれでもかと詰め込んだような時間で、会場のギアも1段階上がったような気分になる。やはりここにも彼女が「アイドル」たる所以を感じる。

(『17分間』の間奏、2023の5期生ライブではガチ恋口上している人いたけど、このライブは全然いなかったね。)

スタ誕ライブ全体を通して1番思い出すことが多いのは川﨑桜である気がする。今年の全ツで今までの彼女と違う部分を目にし、そのまま気になってtalkを取り始めたこともあってか、更にいい所を見つけたり、よく見たいと思っていたと思う。彼女の絶え間ない努力の成果がどんどん見えてきていて、進化を感じる機会が増えた。アイドル川﨑桜の今後がすごくすごく楽しみだ。

夢幻 -Nao

冨里奈央は儚さを持つ人だ。芯を持ちながらも、今にも消えてしまいそうな脆さを併せ持っていると思う。ときたま本当に現の人なのかと思わせるような画像を見ることがある。
さっきも述べたように彼女は芯がある人だ。選抜に入れなかったときは素直に「悔しい」とブログで言ったりと自分に妥協しない。気丈に振舞っているように見えるときもある。一方で、清楚、儚さMaxの写真がブログにあがったときや、ライブでのパフォーマンスを見ている時には露のようにすっと消えてしまうんじゃないかって思わせるような雰囲気を感じる。
昔の乃木坂にも芯の強さと儚さを持ち合わせていた人いた気がするな。これも重ねてしまうのは申し訳ないと思いつつ、今後どうなるのかと楽しみだ。

スタ誕ライブパートではソロ曲の歌唱を見ることはなかったが、2年前のスタ誕ライブのソロ歌唱で緊張して泣いてしまい、途中で歌えなかったところから大きく成長していたように思う。同期の成功を祈り、自分の出番では一緒にパフォーマンスするメンバーと笑顔で過ごしている瞬間が印象的だった。

5期生ライブパートでは『考えないようにする』のセンターに立った。5期生の曲の中でも結構バラードに近い曲で、曲調やMVも何となく寂しい、儚いものとなっており、彼女の雰囲気の魅力を最大限に引き立てるものとなっている。本人の体調不良などで5期生全員揃ってパフォーマンスできたことが1回くらいしかなく、中々完成形を見ることができないが、それでも冨里奈央、そして5期生の持つ儚さを感じることができた時間だった。

彼女は何かと不運に感じてしまう。最初のお見立て会はコロナで欠席、最初の神宮も欠席、去年のスタ誕ライブも欠席、ミーグリもかなり早く売り切っているのに選抜とアンダーを行き来するような立場だ。本人の努力が正当に認められること、序盤にこんだけの不運があったのだから、どこかで大きく飛躍するときが来ることを祈るしかない。

不屈 -Aruno

中西アルノは逆境に強い。いや、もはや彼女にとって逆境など存在しなくて、全て「チャンス」なのかもしれない。

彼女にとってのアイドル人生は周りから見たらそれはもう逆境すぎる状況からのスタートだった。グループに入って早々に表題曲のセンターに抜擢されたかと思えば早速叩かれ、あることないこと言われて活動休止に追い込まれた。
だが、復帰して間もなく行われた10thバスラでは、『Actually…』のセンターとして拍手で迎えられた。やはりこの曲のセンターは彼女でそれを待っている人が大勢いたこと、かつてない程の歌の実力を期待されていたのだと実感した瞬間だった。『Actually…』ラスサビ前のシャウトは毎回すごい。
圧倒的な歌の実力が認識されると、どんどん彼女の歌の虜になる者が増えていった。また、乃木坂工事中などでポンコツが明るみに出ると、どこか憎めないキャラクターとしても認知され、ギャップのある者としても人気を博すようになった。
こうなると彼女は止まらない。あれよあれよと人気を獲得してミーグリ早期完売組の常連となり、アンダーセンターを経験し、今年ついに選抜に復帰した。想像を超える変化だ。

彼女も池田と似て、少し闇がある感じがする。それをミステリアスに感じている人がいたり、人間味を感じている人もいる。「アイドル」としてもそうだが、1人の人間としての深みに魅力を感じている人もいるのではないだろうか。

さて、そんな圧倒的な歌の実力の持ち主のスタ誕ライブパートはどうだったかと言うと、「圧巻」の一言に尽きる。
ソロ歌唱では絢香の『三日月』を歌った。曲の噂を聞いていた時点で期待値は半端なかったが、軽々と期待を超えられた。うますぎる。
彼女は力強い声だと思う。かつて見た『六本木心中』とかめちゃくちゃ似合ってたし、ロックな曲調が良いとどこかで思っていた。でも、『三日月』のようなしっぽりした曲をあの力強い声を維持しながらあの哀愁漂う感じで歌えるのだとびっくりした。

そういえば5期生の曲のセンターはまだないんだ。表題センターとアンダーセンターで全然違う仕上がりになっていたので、5期生曲のセンターもいつか見たいな。あえてごりっごりのアイドルソングも見てみたい。彼女、ああ見えてあざといアイドルムーブが得意だと思っているので。

軸 -Nagi

井上和は5期生の中心、まさに軸だ。5期生は彼女を中心に動いているように見える。でも、決して前に出すぎることはない人だ。センターなどで強制的に前に出させられることはあるものの、普段は大人しい控えめな人だ。
圧倒的なビジュアルで華やかに見える人だが、時折だらしなさや少し抜けたところといった人間らしさが見え、それがまた親しみやすさを感じさせる。でも、5期生と一緒にいると他のみんなが自由人すぎて、(相対的に)大人っぽく見える、まるでみんなの母である。

和の話をするときはやっぱりさちゃんのことを話してしまう。加入当初から何かとペアにされてきた2人、今年はセラミュでそれぞれのチームの長を務めた。入った時は「なぎさつ」としてなんとなく2人で見られることが多かったものの、2023年のツアー〜新参者のエピソードを聞いた辺りから、この「なぎさつ」という組み合わせは他の組み合わせと何かが違う、特別なものであると感じるようになった。
2人曰く、性格は真反対らしい。確かに、さちゃんは外向的だけど和は内向的だし、さちゃんがポジティブシンキングなら和はどっちかといえばネガティブシンキングだ。でもこんなに馬が合うというか、お互いに切磋琢磨できるのは性格以上の直感的な何かなのだろう。この2人を引き合わせた(自分は無宗教だが)神様に感謝。

ライブの感想に話を戻そう、和はソロで『君の知らない物語』を歌った。有名なアニメの曲らしい、和っぽい選曲だ。
彼女の歌声は力強いし、ハッキリ歌ってくれる。歌に込められたメッセージも1回目で大きく伝わってくるから、彼女の歌を聴くとぶわっと言葉を浴びたような気持ちになる。
ゴスペラーズとのコラボもさすがだった。2年前も十分上手かったが、時を経て更にパワーアップした。あのゴスペラーズに負けない力強い声、でも女性としての繊細な声も残していたように思う。

そしてゲストのゴスペラーズもすごかった。
MCの間はとにかく気さくでおしゃべりなおじさんたちだ。自分達のような若者から少し年配の人まで、彼らが喋り出すとふわっと笑みがこぼれてしまうような人たちだ。
でも、歌声を発したその瞬間、会場の雰囲気を完全に支配した。視線は彼らに吸い寄せられていた。まるでブラックホールのようだ。当たり前だが、上手かった。普段の5人でももちろん上手いのだろうが、彼らと比べて歴も経験も少ない人たちを加えても尚ハモリは崩れることなく、それどころか彼女らの魅力を引き出していた、さすがだ。
あと、個人的にはあの人たちの層の厚さに驚いた。『ロビンソン』だけでなく『Y.M.C.A』のような明るい曲もやるんだ、それであんな盛り上げることができるんだ、と思った。『Y.M.C.A』の時間楽しかったな〜。「知らない人もいるかもしれませんが、途中から絶対に一緒に盛り上がれる曲です。」って曲に繋げたの、個人的にはすごいわくわくした瞬間だった。
あの時間はまるで「親戚のおじさんとのお正月の集い」を見ているようだった。デビュー当初から遠くで見守ってくれている人たちとの時間は暖かいものだったよね、うん。

また脱線しちゃった。5期生ライブの和は普段の「グループの顔」と言うよりは「5期生の支柱」という感じだった。どっちがいいかは人それぞれだと思いつつ、個人的には5期生で活動してる井上和が好きだと感じた。自由にパフォーマンスしたり、5期生の人たちとの絡みを存分に楽しんで期の人達との時間を大事にしようとしている和を見ると安心する。2023年のツアーの座長になって以降、ずっとグループの顔として5期生からは少し離れ、プレッシャーに晒されてきたからこそ、5期生の人たちとの時間がかけがえのないものとなっているのかもしれない。
和に限った話ではないが、グループのエース達が期の人達と一緒に楽しそうに過ごしている時間ってすごい尊いよね。大事にしてほしいな。

原点 -Satsuki

5期生を好きになったのは菅原咲月からだったから、彼女が原点だった。
5期生という文脈で見ても、彼女は原点にいるように感じる。彼女が中心というよりは、さちゃんが内側から5期生を支えてなぎがみんなを引っ張る構図。原点のさちゃんを土台としてなぎが軸をとなり、他のメンバーもその空間内で個性を出してそれはそれはとても自由に動き回る。でも、「5期生」という空間は崩れない。そんな空間を作り出す原点がさちゃんだと思っている。
楽屋番長のようないつでもどこでも明るい振る舞い、5期生の誰に対しても分け隔てないダル絡み、場を仕切るMC力と、エースとはまた違う5期生にはなくてはならない存在だろう。

じゃあライブだとどうなんだという話になると、彼女は豹変する。まず、『シャボン玉』で度肝を抜かれた。あんなパワフルな歌声で歌い、激しい動きをする人だったんだ。それが似合ってしまう人だと驚いた。あの時間は本当に誰か別の人が憑依したのかと思うくらい、普段のさちゃんからは想像もできない「菅原咲月」を見せつけられた。

ソロ歌唱の『100万回の「I love you」』は意外にもしっくり来た。まだ19歳と大人とは言えないガキムーブもするような年齢であるが、3つくらい年齢が上に見えた。今後の進化の予兆のようなものを見せてもらった気がしてこれからが楽しみになった。

『気分上々↑↑』はまさに彼女の魅力が存分に詰まった時間だったと思う。周りを巻き込んで盛り上げる力、普段の楽屋番長っぷりを惜しげもなく披露してくれた。

個人的には最初の『ケセラセラ』で和と真ん中で立っていたことがすごく安心した。5期生を引っ張るのはやっぱり「なぎさつ」なのだと見せてもらった気がしたし、安定感が全然違う。

5期生ライブパートはなんと言っても『バンドエイド剥がすような別れ方』だろう。彼女のための曲と言っても過言ではないし、彼女がセンターに立つことで完成される曲だと思っている。
曲自体もすごく良くて、聴くだけで「青春」をドバドバ浴びてしまうような、さちゃんだけでなく5期生の良さを全て詰め合わせたような曲だ。とにかく、「青さ」をものすごく感じる曲で、1日の始まりはこの曲にしたくなる。

5期生の推しはさちゃんなので、バンドエイド以外の曲の間も気づいたら目線で彼女を追っている時間が多かったように思う。どこに居ても1番の輝きを放っていのはさちゃんだったし、歌っている時間、踊っている時間、ファンサしている時間、MCで喋っている時間、どの時間も見逃したくないと思わせてくれるような存在だった。「好き」と言うよりは、「彼女とその周りが作り出す光景を忘れたくない」という感情が近いのかもしれない。自分の中での"推し"という定義はよくわからないが、さちゃんが"推し"なのは感覚として間違いない気がする。

でも、このライブのことを思い出そうとしても彼女のことはそんなに多く思い出せる訳では無い。意外と"推し"ってそんなものなのかもしれない。ステージにいることが嬉しかったり、周りと一緒にライブを作り上げてくれる光景を見せてくれることに感謝するような人で、一瞬一瞬を見逃したくはないけど、だからと言って脳裏に焼き付けようとはしない人。
「そんなの推しなのか?」って声も聞こえてきそうだけど、自分にとっては元気でいてくれて活躍を喜べればそれは推しなんじゃないかな、と思ってる。

そんなことを書いているけど、1番文量が多いのはさちゃんの部分なのだ。よく見ていると言うよりも、色々考えて、それを整理する訳でもなくてダラダラ書いてしまっているからかもしれない。やっぱり"推し"は菅原咲月なのだと再実感したライブだったし、この文章を書いてもそれは思う。

奇跡 -Fifth Generation

この個性バラバラな11人が集まってステージに立った時時、それはとても眩しく煌めく。1人1人でも十分眩しいのに、みんなが集まってお互いの個性が作用することで何倍にも輝きが増している気がする。

5期生は奇跡の人達だ。そもそもとんでもない倍率をくぐり抜けてきたのも奇跡だし、この11人が集まったのも奇跡。5期生は誰1人欠けても成立してないし、逆に多くても、なんか違っていたかもしれない。この絶妙なバランスこそが奇跡であるのかも。

入る前も入った後も「乃木坂史上初」か「アイドル史上初」か、みたいな記録を作り続けているし、この前のシングルのミーグリでは全員フル参加にも関わらず全員一部も残さず売り切った。まさに最強の世代と言えるだろう。

乃木坂46の5期生が凄いことは、公開当初からずっと追っていたので十分知っていたつもりだった。だから、正直この『超・乃木坂スター誕生!ライブ』は2年前とあんまり内容にも変化なさそうだし、期待値がそんなに高い訳ではなく、ただ単に「ずっと5期生が出番のライブ」を見に行こうとしていた自分がいた。
でも、そんな気持ちは速攻で打ち砕かれた。久しぶりに声が枯れそうになるくらい叫んだし、2年前と全然違う5期生の姿をまざまざと見せつけられた。2年前からこんなに進化していたなんて、こんな人たちの成長を見せてもらえるだけでなく、一緒の場で喜びを共有したり努力の結晶を見ることができるなんて、楽しすぎる。

今後乃木坂を箱で推すのは辞める可能性全然あるけど、5期生は最後の1人が卒業するまで見守っていたいなと思うくらい、5期生の沼にどっぷり。2022年のお見立て会から何回か5期生の単独ステージを見てきたけど、見れば見るほど、「この人たちをもっと応援したい、この人たちが見せてくれる景色をたくさん見たい」と思うようになった。
これからもたくさん楽しませてください。

ライブ終わって最寄り駅に着いたとき、外に出たら思わず「さむっ」と声が漏れてしまった。冬が近づいてきている。もう年内は現場ないかと思っていたら大感謝祭なるものがあるらしい。5期生単独じゃないけど、もう1回チャンスがあるなら行きたいね。

脱線しちゃったので〆

5期生最高の景色を見せてくれてありがとう!2年間での進化をたくさん感じられたしこれからも楽しみ!


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