日記に短歌 2024.11.01~11.03
11.01
「バズらずに生きてきました」というフレーズが浮かんで、短歌になる気がした。
最近はあまり短歌を作れていなかったから、今月は短歌のリハビリ月間にしたいと思っている。その最初の一歩として、Xを見ているときに浮かんだこのフレーズを短歌に仕上げようと決めた。近すぎず遠すぎず、いい感じにしっくりくる光景を取りあわせて短歌にしたい。
今日はスターバックスに行くと決めていたので、スタバに向かう道中もこの短歌の種をどう活かすか考えて、浮かんだアイデアをいくつか頭のなかで「バズらずに生きてきました」に付け加えてみたけれど、全部イマイチだった。
コーヒーが苦手なので、スタバでは大体ティーラテを頼む。今日はアールグレイティーラテにした。
受け取りを待っているとき、壁のメニューにジョイフルメドレーティーラテがあることに気が付いた。毎年期間限定の、私のお気に入りのジョイフルメドレー! 調べてみると今日から始まったところだったらしい。く~! 悔しい。知っていたらジョイフルメドレーにしたのに! というか、メニュー表にも書いてあったはずなのに気づけなかったなんて!
薄々気づいてはいたけど、私は視野が狭い。何事ももっと広い目で全体を見なきゃと思うけれど、これはもうどうしようもない気もする。三十年以上これでやってきちゃったんだもの。
アールグレイティーラテも悪くない。うん、全然悪くない。ちゃんとおいしい。こんなことでへこみたくない。そうだ、短歌だ。
気を取り直して、ひとまず持ってきた創作用ノートに「バズらずに生きてきました」と書いてみる。何かいいアイデアないかな~と、きょろきょろ周りを見回してみてもそう簡単にヒントは転がっていない。
ここのところ短歌を作っていなかったから、短歌になりそうなものをキャッチするセンサーが鈍っているような気もする。ごめんね、私の短歌センサー。
平日午前中のロードサイドにあるスタバは空いていて快適である。お気に入りの端っこの席で人目も気にせず、だらーっと、ぼけーっと過ごす。至福の時間だ。
私って本当に人混みが苦手なんだな……と思ったとき、「コレハイケルゾ!」とセンサーが反応した。たくさんの人の目に触れるバズりと、人混みが苦手な私……。
そこからは早かった。ノートに後半部分を書き足す。まだ推敲をするかもしれないけれど、短歌のリハビリの一首目が一応完成した。
バズらずに生きてきました 人に酔いそうになるたびトイレへ逃げて
11.02
朝、目覚めた瞬間にまぶたが重くて、今日は気圧が低い日だとわかる。天気予報によれば一日中雨が降るらしい。
雨は苦手だ。気圧が下がるだけじゃなくて、気分的にも落ち込みやすくなる気がする。こんな日はご自愛の精神が大切だ。無理せずに、のんびりと。まぁ、いつも通りといえばそうなのだけど。
初めてオクラを茹でることになった。オクラって間違いなく健康にいい気がするから好きなのだけど、今まで自分で茹でたことはなかった。板ずりをしてから茹でるのは知っている。だけれど、生のオクラの産毛があんなにちくちく痛いものだったとは! 衝撃! みんなあの痛みを知ったうえでオクラを食べていたの?
指に刺さった産毛を抜き、オクラが予想外にデンジャラスな食べ物だったことにショックを受けた。ねばねばは体にいいよね~、とか言ってる場合じゃない。危険だよ、オクラ。
世の中のオクラはみんなあんなにちくちくなのか、それとも母が農家さんの自宅前の販売所で買ってきた新鮮なやつだったからなのか。私はもうオクラがこわい。
オクラ、というか、私って何にも知らないんだな……というショックもある。ろくに学校に通えなかった元ひきこもりなので、知らないことが多くても仕方ないよね~と思ってしまうけど、本当にそれでいいのだろうかとも思う。けれど、思ったところでどうすればいいのかはわからない。
今後実家を出ることになっても生活をしていけるのか心配になってしまう。
考え始めて、これはいま考えたところでどうしようもないことだと気づいた。すぐに不安が雪だるま式に大きくなってしまうけれど、何事も案外どうにかなるものだったりする。
以前「不安は妄想」という投稿を見た。そうかもしれない。妄想だと思うとちょっと恥ずかしくなる。めっちゃ妄想がたくましいじゃん私……。
全部雨のせいにして、あれこれ考えるのを止めた。
もやもやと膨らんでゆく雨の夜 爪を磨けば爪だけ光る
11.03
私は大学という場所にまったく縁がない。高卒だし、十代のころは一番体調が悪かったので、大学進学を考えたことすらなかった。その後も特に学びたいことはなかったし、大学という場所は私にとって近寄りがたい未知の場所である。
しかし、未知の場所に対する興味がないわけではない。最近、大学の学食は一般の人でも入れると知り、ちょっと行ってみたいと思うようになった。そして、今は十一月。学園祭の季節だ。学食へ行くよりも学園祭のほうが部外者も堂々と大学の敷地に足を踏み入れられる気がして、近くの大学の学園祭へお邪魔してみることにした。
大学は思った以上に広くて、建物がたくさんあって、きれいに整っていた。周りの町と雰囲気が違うので、ここだけ偽物というか、作り物感がある。
学園祭はたくさんの若者たちでにぎわっているイメージだったけど、ここの大学は全然盛り上がっていなくて「これが学園祭なのか……思っていたのと違うぞ……」などと思ってしまったが、ここは茨城。テレビで見たことがある東京の有名な大学の学園祭と比べちゃダメよね。茨城には茨城の学園祭、それでいい(早めの時間に行ったせいかもしれないしね)。
出店の呼び込みをする学生、ポンポンを持ったチア部の学生、カメラを持った広報の学生、ステージ発表をしている空手部の学生……。若いねぇ~楽しそうだねぇ~とは思うけど、いいねぇ~とか、うらやましいねぇ~みたいな気持ちは一切沸いてこなかった。
思い返せば、今まで大学生に憧れたことはなかった。子どものころ、女子高生ブームが起きて私は女子高生に憧れていた。なので、高校入学後数カ月で通信制に転校して、思っていたような女子高生になれなかったときは絶望した。「もう生きていても私の人生に楽しいことなんてないじゃん……」と本気で思っていた(全然そんなことなかったのだけどね)。
私は女子高生になりたすぎて、大学生のことは眼中になかったようである。
大学は未知の場所だし、大学生は未知の存在。そう思うのは興味がなくて知ろうともしてこなかったからなのだな。
大学内をうろうろしてみたものの、落ち着かないのですぐに帰ることにした。もし大学進学という選択肢があったとしても、私はそれを選ばない気がする。
学生が学生に手を振っていて風が吹いたら散りそうだった