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ゆっくり変わっていく(4月後半の日記)

4月18日

朝カフェに行く。去年一度行ったことがあるお店で、また行きたいと思っていた。
普段は朝食を外で食べることがないので、朝カフェは非日常を手軽に感じられるものの、お店に行くには電車に乗る必要があり、交通費を考えるとなかなか頻繁には行くことができない。
それでも、普段行かない場所に行けば短歌が作れるような気がしたので、行くことにした。

店内には先客が数名いて、去年来た時よりも繁盛しているようだった。
ここのお店の好きなところはノンカフェインの飲み物が充実しているところ。ポットで出されるルイボスティーを飲みながらパンを食べる。優雅な朝だ。
パン屋さんで仕入れているというパンを焼いてから提供してくれるので、店内にはパンのにおいが漂ってそれだけで幸せな気分になる。パン屋さんのパンは幸せになれる最強アイテムだ。

食後にノートを広げて短歌を作る。今まではPCやスマホでばかり作歌していたのだけど、目が疲れやすいこともあり、最近はノートに書いて歌を作るようになった。まだ慣れないけれど、完全にアナログに移行するわけではないし、これからも長く短歌を続けていくためには必要な変化だ。
私は短歌を読むときも詠むときも、あまり音楽などはないほうがいいのだけど、店内は少し大きめの音量でBGMが流れていて、思ったより短歌が作りづらかった。BGMが大きくて私は砂像のように消える、という内容の短歌が出来上がった。


4月22日

精神科の通院日。ここ一か月くらい胃の調子が悪かったので、それで精神的にも不安になってしんどかったという話を中心に話した。

家族性高コレステロールの私。薬を飲んでいる割に数値が高めなので、別の病院でコレステロールを下げるには亜麻仁油を摂るといいと聞いてから、毎朝ヨーグルトにかけて摂取していたのだけど、どうやらそれが胃の不調の原因っぽいと気づいた。
例の紅麹のニュースで、健康のために摂っていたもので不調になるなんて悲しいだろうな……と思っていた矢先、私にも同じようなことが起きていたのだ。
これは、とても悲しいしやりきれない。そして、手軽に健康になる方法なんてないのだとあらためて思う。楽をしようとしてごめんなさい、地道に、もっと運動します、しくしく……。
ちなみに、亜麻仁油を止めたので、胃は少しずつ良くなってきている。健康、本当に一番大切だわ。普通に食べられることがしみじみとありがたい。


4月23日

彼と都内でデート。立ち寄ったカフェがめちゃくちゃおしゃれ空間だった。
BGMもインテリアも薄暗い照明も、すべてが笑っちゃうくらいおしゃれで、お客さんはみんな店内の写真を撮っているし、会計は完全キャッシュレス。都会に来てしまった感じがした。
マグカップの持ち手も変わった形(とにかく平べったい)で、持ちやすさよりおしゃれを追及してるんだな~さすが~と感心。

それなのに、お店の固定電話は黒電話だった。後ろ向きだったからボタンを押すタイプなのかダイヤルを回すタイプなのかはわからなかったけど、髪をゆるくまとめたおしゃれなスタッフのお姉さんが普通に電話として使っていて、ちょっと違和感。一周回っておしゃれなんだな、黒電話。

一周回って、とか言っちゃう私はそれなりに年を取ったのだなーと思う。そういえば、最近の流行ってる歌とかも全然知らないし、自分で思っている以上におばさんになっていってるのかもしれない。ひえー!
いっそのこと、おばあさんになってしまえば楽だろうな、その手前のおばさんが一番いやだな……。せめて明るい陽気なおばさんになりたい。


4月25日

老人ホームで祖母と面会。
2か月くらい前に予約をしていたのだけど、入所者にコロナが出たと連絡があり、なんだかんだでこの日が今年最初の面会となった。
話には聞いていたのだけど、最近の祖母は右目が気になるらしく、たびたび触るせいで下まぶたがびろーんと垂れてしまっていた。あっかんベー状態。顔の筋肉が無くなってきていることもあり、仕方ないらしい。
祖母は「眠いです」と言って何度も寝てしまいそうだったのだけど、職員さんが「がんばって」と励ましてくれたりして、どうにか30分間の面会を耐えてくれた。

認知症が良くなることはないけれど、日によって脳の接続がうまくいってると感じるときもある。
私が「まりこです」と言うと、祖母はいつも「私は、よしえです」と言ってくれる。私にとって祖母はずっと「おばあちゃん」で、「おばあちゃん」としか呼ばれてるのを見たことがないので、祖母に「よしえ」という名前があることを毎回新鮮に思う。
いつもはそれだけなのだけど、この日はしばらく会話をしたあとに「まりこさんだったよね」と言ってくれた。いつも何でもすぐに忘れてしまって、何回も同じ会話をするのに、名前を憶えていてくれたことが嬉しかった。祖母の声で名前を呼ばれるのは久しぶりかもしれない。そして、今後名前を呼んでもらえる機会は限りなく少ないだろう。

面会のあとは、いつもそんなことを感じて切ない気持ちになる。老人ホームから家までの道にはだだっ広い田んぼが広がっているせいで、余計に切なく、寂しい気持ちになってしまう。それに慣れることはないのだろうな。


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