日記に短歌 2024.11.04~11.07
11.04
天気が良さそうなので部屋の雑巾がけをすると前日から決めていた。
私はやると決めたことは先送りせずにさっさとやってしまいたいタイプで、この行動力は自分の長所だと思っている。
そんな行動力のある私が雑巾がけだけはやりたいと思ってから一カ月以上行動に移せなかった。本当に雑巾がけが嫌いなのだ。
ハンディモップやコロコロを使った掃除は日常的にしている。しかし、雑巾がけはどうも好きになれない。なぜなのか。
雑巾がけを始めてすぐに答えはわかった。自分の部屋の汚さを直視しなきゃいけないからだ。
私の部屋は我が家で唯一の洋間で元からカーペットが敷かれており、その上にタンスや本棚などの家具があるため、どうしてもカーペットと家具の境目に埃がたまりやすい。
普段はあまり気にならないけれど、雑巾がけをすると灰色の埃と対峙することになる。つらい。こんなに汚い部屋で生活していたのか……。そう思ってメンタルが削られてゆく。体力的にとか、面倒だからというよりも、メンタルがつらくなるのだ。
普段からまめに雑巾がけをすればこんなことにはならないのかもしれないけれど、私はそんな立派な人間ではない。というか、三十代になるまでは掃除といえばモップとコロコロのみで雑巾がけをしていなかったから、年に数回だけでもやればえらいと思っている。
昔の自分と比べたらめちゃめちゃえらい! と自分を鼓舞して、ハウスダストで鼻をぐずぐずさせながら部屋じゅうを掃除した。
しかも、今日は部屋の入り口に置いてあるスリッパを脱ぐためのマットまで洗った。超えらい!
何年も前にZOZOTOWNで買ったインド製のマットは黄色やオレンジの生地で出来ていて厚みがあって可愛いけれど、かなり汚れてきたので買い替えようかと思っていたところ、タグをよく見ると手洗いのマークが! お前、洗えるのか!
なぜか洗えないと思い込んでいて黒く汚れたマットを、さっそく庭の水道でタライを使ってじゃぶじゃぶ洗った。が、すすいでもすすいでも汚れた水が出てくる。こんなに汚いマットがある部屋で生活していたのか……。またメンタルにダメージを食らう。
キリがないので、とりあえず表面だけでもきれいになれば上出来よね~ということにして、水を含んで小型犬ぐらいの重さになったマットを干した。風が爽やかでよく晴れているけど、それでも今日中には乾ききらなそうだ。
愛犬の逝った季節よ 秋晴れに私のための雑巾がけを
11.05
下駄箱の上に今日届いた郵便物が無造作に置かれていた。家族の誰かが置いたのだろう。ここが我が家の郵便物の仮置き場なのだ。
私宛の郵便はあるかな……と見ていると、健診センターの封筒を見つけた。先月、初めて行った乳がん検診の結果だ。待ってました! ずっと気になって仕方ありませんでした! 最近、ときどき胸に痛みがあることがあり、こわいけれど早く結果を知りたかったのだ。
すぐに自室へ持って行き、封筒にハサミを入れる。心臓がどくどくしているのが分かる。こわい。見たいけど見たくない。どくどくがどんどん大きくなってゆく。つらい。これ以上この緊張に耐えられそうもないし、早く見なくては。
自分を励ましたくて「大丈夫!」と声を出してみたものの、その声は弱弱しかった。そんな自分がかわいそうになって、早く緊張から解放してあげるためにも覚悟を決め、ふーっとひとつ息を吐いて結果を取り出した。
結果は、のう胞があるけど良性で精密検査の必要はなし、とのことだった。
あぁ~、よかった、よかったよぉ~。とにかくほっとして、体の力が一気に抜けた。それから数秒なのか数分なのかわからないけど、しばらくは「無」の時間だった。
私はメンタルが弱いわりに体は意外と強い。それが分かっていてもすぐ不安になってしまうのは不安障害のせいだと思う。やっぱり私の不安は病的だ。
やさしさで選ばれた色なのだろう検診結果の淡い封筒
11.06
どうしてもジョイフルメドレーティーラテが飲みたくてスタバへ行くことにした。
風が冷たくて、首元が寒い。ついこの前まで暑い暑いと言っていたのに、マフラーが欲しいくらいだ。ホットのティーラテを飲みに行くにはちょうどいいかもしれない。
店内は今日も空いている。店員さんが「ミルクとお湯でお作りしてるんですけど、全部ミルクにすると濃厚なので今度よかったら……」と話しながらティーラテがなみなみに注がれたマグカップを手渡してくれた。
うれしい。カスタムの情報そのものよりも、私が話しかけても大丈夫そうな人に見えていたことがうれしい。
実際に人からどう見られているかはわからないものだけど、少なくとも感じ悪そうではなかったってことよね? 険しい表情ではなかったってことよね? 自然と話しかけやすい人になれていたってことじゃん~と心のなかでガッツポーズをして思わずにこにこしちゃったけど、ただ単に空いていて店員さんに余裕があっただけかもしれない。
久々のジョイフルメドレーティーラテは相変わらずおいしい。この味と香りを言葉で表現するのは難しいけれど、なんだかポジティブな味がする。ハッピー! や、ラッキー! を味覚で表したら、きっとこんな味だろう。
店内のBGMはクリスマスソングが中心で、余計にハッピーな気分になる。私、いつからクリスマスソングでテンションが上がるようになったんだろう。子どもの頃よりも今のほうがクリスマス好きかもしれない。
冬は苦手だけど、苦手な季節にもちゃんと好きな要素はあるものなんだな。
実家から少し離れて飲むティーの甘さを脳が覚えてしまう
11.07
明日は苦手な婦人科の通院日。どれほど苦手かというと、外出時に婦人科の待合室のBGMに似たピアノの音楽が流れてくるだけで条件反射で緊張が始まってしまうくらいだ。
毎回とんでもなく緊張してしまうので、精神科のカウンセリングで相談したら、「病院は悪いところを治してくれるところだから、そんなに緊張する必要はないんだけど……」と言われた。まったくその通りである。そうなんだけど、ねぇ……。
緊張は当日だけでなく前日やもっと前から始まることもあるので、今日はとにかくリラックスして楽しく過ごしたい。
そこで、本屋さんへ行くことにした。今日は毎月チェックしている日経WOMANの発売日だし、大好きなHey!Say!JUMPが表紙の”ドル誌”も二冊発売になる。
”ドル誌”とはオタク用語でアイドル雑誌のこと。私がよくドル誌を買っていた小学生時代にはなかった言葉で、それから十五年以上を経て再びアイドルにハマり、この言葉を知って感動した。
自分が「アイドル雑誌」を略すとしても「ドル誌」には行きつかない気がするし、たった三音の短い言葉だけど語感が面白いよね、どるし。
若手のアイドルはほぼ毎号各ドル誌に掲載されるようだけど、中堅になったアイドルはドル誌を卒業するのが通例らしく、すでに卒業しているJUMPも久しぶりの登場となる。
ドル誌のJUMPの写真はちゃんとアイドルらしくて微笑ましい。楽しそうで仲が良さそうで、笑顔の写真が多いのもよかった。私はやっぱり笑顔に惹かれるんだな、アイドルでもそうでなくても。
特に自撮りしたと思われる集合写真のカットには特大の平和を感じて心が満たされた。ありがとうJUMP、ありがとうドル誌。
おかげで緊張はまだ始まっていない。
襟足が伸びて推しにも血液がある 知らなくていいことばかり