ボーカリストの正味なはなし2
オレらバンドしようと思ってるねん
ライブが2ヶ月後やねんか。練習とか見にきてや。
高校1年のGW後に、当時の友人から誘われた。
ん?バンド練習を見に来て?
オレボーカル、アサイ(仮名)がベース、ヤマモト(仮名)がギターやるねん。ドラムがアケヤマ(仮名)だからアル中(もちろん仮名)は練習見に来てや。
そうなんや? つーか皆んな楽器できんの?
ヤマモトはエレキ弾けるらしい。
アサイは弾いたこと無いって。でもやりたいらしい。アケヤマもドラムに触れた事も無いらしいわ。
へ? そんなんでライブ出れるん?
だから練習見にきてや。客観的に見てどうか教えてや。
う…うん…?
えーから来て!
ジュンスカイウォーカーズのコピーをやるらしく、ギター以外はど素人のバンドが知らん間に結成されてた。
自分は見るだけ。なんのこっちゃ…
まぁええか。
初めて聴くジュンスカの音楽。
パンク??
なんか違うような…
その頃、ラフィンやコブラ、リップクリーム、カステラ、ベルズなんかに昏倒してた自分にジュンスカはなんだか変な感じがした記憶。
明日初めてスタジオ入るねん!見に来てや!
はぁ…
ジュンスカのカセットを聴きながら、なんとなく曲を覚えて、彼らの練習を何故か見にいく自分。
よくある
ヤンキーバンド
名前は
teen loversですって…
当時でもクサ過ぎて、その名前ヤンキーが思い付くん?的なツッコミもソコソコに、自分には関係ないので付き合い程度な気持ち。
てな感じでスタジオ練習を見に行く。
先ずは名曲
素敵な夜空
ギターのヤマモトはジュンスカのヘビーユーザーで、ギターも上手い!
うわぁ…コレはスゲー!完コピやん!
ボーカルはイシダ(仮名)
ソコソコ歌うまいやん!
ベースのアサイは…全くのど素人満開で、なんのこっちゃ不明のプレー
特に酷かったのがアケヤマのドラム。
幼稚園児でももうちょっとマシに叩くんちゃう?くらいのプレー。
マジか…
コレって、2ヶ月後にライブって真面目にヤバない?
アケヤマ!お前全然叩けへんやん!
ちょっとかしてみぃ!
と、スティックを取り上げて、自分が叩いてみる…
ピアノは独学やったけど一応譜面を見ながら伴奏くらいは弾けるようになってたおかげか、何故か8ビートくらいなら初見で叩ける自分…
あれ?アル中ってドラムできてるやん!もっと叩いてみて!
今考えるとカチャカチャな演奏ではあるが、なんとなくでも
素敵な夜空
が、カタチになりつつある2時間後には、バンドメンバー、ドラマーとして加入が決定してしまった次第。
所謂、アケヤマはクビである。
んじゃ、ジュンスカのバンドスコアを勉強するわ。と、ドラム譜の勉強を毎日するようになる…
少年ジャンプを叩きながら、なんとかライブに間に合うようにと、5曲覚えつつの練習に明け暮れる日々。
そんな時代が確かにあった
ボーカリストになるなんて、当時は思い付くこともなく。
つづく