【飲食業と料理②】
前回までのあらすじ……小料理屋をやりたいと言う知人に少し言い過ぎた。
なんだっけ?そうだ、味覚が良いから料理をやろうというとこをもう少し掘り下げてみるかな。
例えばミシュラン3つ星のレストランで毎日ミシュラン3つ星の店ばかり通っているようなお客さんを相手にするなら相手と同じ土俵に立つために卓越した味覚とかは必要なのかもしれない、知らんけど。ちなみにこの毎日ってのはどちらにも掛かっているから気にしないで、どちらの意味でも良い。
旭川で小料理屋をのんびり楽しくやる分には味覚なんてそれなりで良いと思う。だからこそ、そこを真ん中には据えない方が良いと思うってこと。そういう意味では調理の技術もそこまでいらないのかもってなるけど。
味覚ってのは食べる方も作る方もその日の体調や気分に左右されたりして、決して安定しているものじゃないからそこまで気にすんな程度に考えてって感じかな。
それよりランチで3万円売り上げる労力だったりへの理解の方が問題だとは思うから、そこもわりと強めに伝えてみたんだけどね。
時給1000円で1時間働いて1000円もらうのと、自分で仕事を作って1時間で1000円稼ぐのとではかなりの違いがある。どっちが楽かと言えば個人的には後者なんだけど、大抵の場合は前者の方が間違いなく安定しているし楽だと思う。
で、優れた味覚より必要な技能とか才能ってのはなにか……そんなことを話しながらも考えていて、そんなの別に普段から悶々と考えたりしないからね、大抵のことは話しながらフリースタイルで考えるからよく間違ったことも言ったり書いたりで後に反省したりもする。
美食を追求するみたいなスタンスではなく、あくまで小料理屋をのんびりやるってスタンスの話であれば、それなら安定して同じような味の料理を何皿も作る技術だったり、相手の求めるとこにアジャストさせていく技量とかの方が大事なんじゃないかなと思う。
さらに本音を言うなら暇な時間に自分と向き合い現実の残酷さに耐える精神力。
あとはもう自分が作りたいものより、相手が食べたいものってのを優先するような思考だったりね。
自分では塩っぱいと思いながら酔っ払い相手に塩っぱいラーメンを提供しているラーメン屋さんなんていっぱいいるだろ、そういうのもそうかな。
本題に戻ると「どうすれば良いかな?」だよね、そりゃそうだ。だって本人はやれると思ってるしやりたいんだから。
じゃあ一度、やよい軒とか大戸屋で働いてみたら良いよというのがアドバイスで、それは高確率で拒絶されるのは分かってる、ほら見ろ無理だ、拒絶された。
チェーン店って調理の機会も多いし、飲食店の基礎や基本、接客だって学べるし、飲食業のシステムも知ることができるのになんで拒絶するかなっていつも思う。福利厚生もしっかりしてるし求人も常にあるのにね。3年ぐらいそういうとこで働いてストレスと経験をいっぱい溜めてからのんびり自分で店をやる方が個人的には良いと思うけど。
良く食べ歩いて勉強とか言う人いるけど、ある程度の知識や技術、経験があればそれも間違いなく勉強なんだろうけど、素人がそれをやったとしてもまぁほとんどの場合、それはただの食事だよ。
厨房に入ってちゃんと料理することに勝ることはない、それがたとえチェーン店の厨房だとしてもね。むしろチェーン店の厨房の方がシステムもしっかりしているし設備が整っているとこが多い、仕込みの量も多いから調理の機会も十分にあるし。
なにが言いたいかというと、苦労とか努力を省かない方が良いよってこと。あとチェーン店を見下す前に、その域までまず登ること。
ただし、天才は好きにして良い、才能の導くままに生きて良し。