【酒と料理と音楽と】
全国で色んな料理を食べ歩く暮らし。革靴にネクタイ締めて行きましょうかってお店も行くし、スニーカーにTシャツのカジュアルな店にも行くんだけど、ランチで2万ぐらいの店でメシ食ってるときにふと思ったこと。
クソつまんねぇ音楽かかってるなと。うっすらと聴こえてくるありきたりのジャズには思考がない。邪魔しないだけで盛り上がりも情緒もねぇ、これはただ垂れ流してるだけで試行錯誤の味がしない。
カジュアルな店で、たとえばアメリカンな店でジャンクなフードをバドワイザーで流し込むような瞬間に、気の利いたHIPHOPやファンクやロックなんか聴こえてきたら、細胞がこの店はサイコーじゃんと蠢くのを感じる。
それがねぇ。
かしこまった雰囲気作りの音楽なんかじゃ喉にも胃袋にも響かねぇ。そう感じ始めたら内装もカトラリーも接客もテンプレの焼き回しに感じてゲンナリした。
高級店のふりをしてるだけのイミテーション。どっかのクソ高い店の上っ面だけ模倣したダサい店なんじゃないかなって気分になってそういえば料理も『高級料理です』って雑誌に載ってそうな劣化版高級料理だったかもしれない。
だからそこがクソでしたという話でもないが、どこかのイタリアンでゴリゴリのジャパニーズHIPHOPが流れてて、シェフはその音楽に夢中って様子でフライパンを振り、口ずさみながら盛り付け、出てきた料理はマジで美味かったって経験があるから、そこに何か真理があるかもって気づきみたいなもんだ。
雰囲気や場を邪魔しない音楽選びってのも大事なのは理解しているが、それが料理の味に変化を及ぼすほどの可能性を持っているのなら、取り入れない手はない。
視覚から取り込む情報は味覚に影響を与えるのは間違いのないことで、嗅覚もそうだ。それならば聴覚からだってそう。そこを疎かにするより、そこで安牌を切るより攻める方がよっぽど楽しそう。
ダイニングバーとかに行くとそういうの自然とそうなってるんだよね。店の雰囲気に掛け算で音楽が乗っかってる感じ分かるだろ。
高級店もどきになるとそれがあれ?って感じの物足りなさしかないことに気がつく、気がついた。そして馴染みのシンガーの声が頭に響く。
音ちょうだい。