この世界ってなんなの?
『ねえ、カナ。この世界っていったい何なのかな?』
学校帰りにふたりで寄る、馴染みの喫茶店。
ミホはいつも、私にいろんな疑問を投げかけてくれる。
世界の不思議、映画や恋愛、そして心のこと。
今日もちょっぴり難問みたい。けどそれが最高に嬉しい瞬間でもあるの。
『何なのって、カナは相変わらずおもしろいね。この世界はね、うちらがこうやって話をするためにあるんじゃないの?』
私は、どうしてそんなこと聞くの?とは聞かない。だって、前置きなんていらないこの会話が大好きだから。わかっているから。
『はは。さすが、カナ。そうやって核心を答えてくれるのはカナだけなんだよね。でさ、こうやってカナと話をしてる私はすごく幸せだけど、この世界ってさ、みんなが生きて、笑ったり、悲しんだり、いろんな体験をして、そして死んで、その繰り返しじゃん。いったいこれって何なのかな〜って』
ミホの言葉に私は正直びっくりした。
だってコレ、私なりの答えを見つけたばかりだったから。別に隠す必要はなかったんだけど、私は平常を装いながら、思っていること口にした。
『それはね。ひと言で言えば、愛だよね』
『愛?』
『そう。私が思うには、この世界で一番素晴らしいのは愛だと思うの。あ、愛って言っても恋愛だけじゃなく、すべての愛だよ。でね、この世界が何かって聞かれたら、やっぱり愛だと思うの』
『わぁー。そっか、愛かー。カナ、そんなステキなこといつから思ってたの?』
『それがね。私も、つい最近おんなじこと考えてたんだ』
笑ってそう答える私に、ミホは嬉しそうに続けた。
『わあ。でもさ。この世界が愛だとして、私たちの役割は何なの?』
『それはもちろん、この命は愛を体験するためよ。私たち自身も愛であり、そして愛の体験を繰り返す。でもミホの言いたいこともわかるよ。この愛の体験にいったい何の意味があるのかってことでしょ?』
『うん。問題はそこなのよね』
私は頷きながら、自分の答えのすべてをミホにぶつけるつもりで最後にこう続けた。
『それはね。ズバリ、それ以外にすることがないからなんだ。だってこの世界が愛で、愛の体験をするんだから、それ以上に素晴らしいことってないと思うの。もちろん、とても愛とは思えない出来事や悲しいこともたくさんあるけど、それを私たちの力で愛の体験に変えていくことこそ、この世界の素晴らしさなのよね、ミホもそう思わない?』
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