時間とは
『ねえ、カナ。タイムマシンって実現できると思う?』
学校帰りにふたりで寄る、馴染みの喫茶店。
ミホはいつも、私にいろんな疑問を投げかけてくれる。
世界の不思議、映画や恋愛、そして心のこと。今日は未来科学なのかな。
『私は、できると思うよ』
『じゃあ。どこでもドアは?』
『どこでもドアもできると思うな、ってこれ、ドラえもんの話だったの?』
『あ。そうじゃないんだけど、私ね、タイムマシンと、どこでもドアって技術的に似てるのかなって思ってるんだ。ほら、時空間と空間でしょ?』
ミホは何かを見つけた子どものようにとても生き生きとした笑顔で話してくれるから、こっちまで楽しい気持ちになれるのよね。
『 たしかに空間を飛び越えるってのは似てそうだけど、今日は時空間の話?』
『うん。時間って実は場所なんだよね。カナはどう思う?』
『時間が場所? そうだねー、たしかに時間を場所だと思えば、過去や未来にも行けそうな気がしてくるよね。じゃあ、私たちは過去から未来へ場所を移動してるの?』
『うん。私はそうだと思ってるんだ。でね、ここでおもしろいのは未来は1つじゃないってことなの。私たちのいろんな選択で未来は変わるでしょ。だから未来って場所は4次元以上に広がっちゃうのよね』
『わー。それじゃあ、タイムマシンを作るのってチョー難しいね』
『そう。でもね、時間が場所だとすれば、実はすべては最初から、ぜんぶあるってことになるの』
『ぜんぶあるって・・・何が?』
『あらゆる過去も、あらゆる未来も、すべてはいまここにあるの。タイムマシンも、どこでもドアも、とある未来の場所ではもう出来てると思うんだ』
『わぁー、その考え方っておもしろいね。でも、それがわかったからってどうなるの?』
『すべてがいまここにあるってわかったら、そこへ行くこともできるってことだよ。もちろん今の地球にはまだ自由に行き来できる技術はないけどさ。でも少なくとも私たちはどんな未来にするかを選ぶことはできる、そうじゃない?』
『・・・前にも行ったけど、ミホってまるで進化した宇宙人みたいだね』
『ははは。この不思議世界のことを考えるのが好きな、ただのオタクだよ』
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