一瞬と永遠

『ねえ、カナ。一瞬と永遠っておんなじことだと思わない？』

ここは学校帰りにふたりで寄る馴染みの喫茶店。ミホはいつも、私にいろんな発見を教えてくれるの。世界の不思議、映画や恋愛、そして心のこと。

『ん？ 一瞬は一瞬だし、永遠は永遠じゃないの？』

『まあ、ちがう言葉だからそうなんだけど、一瞬ってさー、ずっと続くよね。ほら、１秒前も一瞬だし、今も一瞬でしょ？』

『うーん。でも同じ一瞬じゃないんじゃない？ 昨日見た流れ星だって一瞬で消えちゃったよ』

『でもさー、そう考えると永遠なものってなくない？』

『永遠なものかー。そーだねー、宇宙にも終わりとはじまりがあるって言うし、あ！でも円周率は永遠じゃない？』

『円周率かー、あと割り切れない数の小数点とか？ そっかー、でもさー、永遠だけど・・・小数点が永遠だってことは一瞬でわかるよね』

『相変わらず、ミホは不思議なこと考えるよね。確かに一瞬と永遠って言葉としては使い分けるけど、仲良しっていうか、兄弟みたいなものかもしれないね』

『でしょー。時間の話をしたときに、時間は場所だって言ったけど、一瞬は、ある一箇所を切り取っていて、永遠は直線を見ているんだと思うの』

『ということは、点と線の重なる部分が一緒ってことなんじゃない？』

『あー！それだよ、カナ。それに直線を上からじゃなくて、水平に見たら点にも見えるんだと思うの』

『だとしたらさ、一瞬と永遠って視点次第で同じにも見えるし、ちがっても見えるってことじゃない？ どっちかだけが正解だと思わずに、どっちもが答えなのかもしれないよね』

『わぁー。カナ、いいこと言うよね。答えは１つとは限らない。そうかもしれないね』

時間とは｜みらいすもも｜note