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「青春と挑戦」地方高校演劇部で夢を追う若手俳優たちの物語【架空】
1. 出会い――地方高校演劇部の青春
地方の小さな高校にある演劇部。部員数はわずか6人。舞台経験のある者などおらず、どちらかといえば「文化祭で何かしよう」という軽い気持ちで集まったメンバーばかりだった。だが、その年、部に新しい風が吹き込まれる。
新入生の颯(そう)は、都会から引っ越してきた少年だった。スラリとした長身と端正な顔立ちは一目で目を引き、どこか物静かな雰囲気があったが、演劇に対する情熱は並外れていた。
颯が入部すると、部の雰囲気は一変した。特に同級生の悠真(ゆうま)は、颯の影響を大きく受けた。元々、演劇を「なんとなく楽しいから」と続けていた悠真は、颯が日々の練習に真剣に向き合う姿に圧倒される。
「悠真、台本読むだけじゃダメだよ。どうしてこのセリフを言うのか、ちゃんと考えないと。」
「……悪い、もう一回やる!」
颯に影響され、悠真は次第に演技にのめり込んでいった。そして先輩部員の茉莉花(まりか)や、ムードメーカーの拓斗(たくと)らもまた、颯の熱意に引っ張られるように真剣に舞台と向き合うようになった。
2. 初めての成功と未来への決意
その年、演劇部は地元のコンクールに挑戦し、地元では異例の準優勝を果たす。颯の演技が審査員の目に留まり、「主演男優賞」に輝いたのだ。
「颯、本当にすごいね! 将来プロになれるんじゃない?」
「……僕はまだまだだよ。でも、演技は一生続けたいと思ってる。」
颯の言葉に触発され、悠真も「自分ももっと上手くなりたい」と決意を固める。一方で、茉莉花は「俳優なんて不安定な仕事。私には無理かな……」と一歩引いた姿勢を見せるが、心の中には「自分も何かを成し遂げたい」という葛藤があった。
3. 別々の道――友情とライバル関係
高校卒業後、颯は都内の養成所に進学し、すぐにテレビドラマの脇役に抜擢される。一方、悠真は地元でアルバイトをしながら小劇団に所属し、基礎から学び直す道を選んだ。
連絡を取り合うことは少なくなったが、互いの活躍はニュースやSNSを通じて耳に入ってくる。颯は「努力家で好感度の高い若手俳優」として注目を浴びる一方、悠真は地元劇団の代表として少しずつ名前が知られるようになっていた。
そんな中、ある映画のオーディションで二人は再会することになる。
「久しぶりだな、悠真。元気そうで何より。」
「ああ、颯こそ。テレビで見るたび、すげえなって思ってるよ。」
表向きは穏やかに話す二人だが、内心では「負けたくない」という思いが火花を散らしていた。そして、そのオーディションの結果、颯が主演、悠真がライバル役に決まった。
4. 撮影現場での衝突
撮影が始まると、二人の間には微妙な緊張感が生まれた。
「悠真、お前のあのシーン、もっと感情を込めたほうがいいんじゃないか?」
「……颯にそんなこと言われたくないね。俺のやり方があるんだ。」
お互いを認めつつも、同じ舞台に立つことでプライドがぶつかり合う。撮影終盤、ついに颯が声を荒げる。
「悠真、お前はなんでこんなに頑固なんだよ! 本気でこの作品を成功させたいと思ってるのか?」
「俺は俺なりにやってるんだ! 颯にだけは負けたくないんだよ!」
撮影現場は一時中断。だが、その日の夜、颯が静かに悠真の元を訪れる。
「……ごめん。俺も熱くなりすぎた。」
「いや、俺も悪かったよ。颯がいるから、俺もここまで来られたんだと思う。」
二人はようやく本音で向き合い、撮影の最終日には息の合った演技を見せ、映画は大成功を収める。
5. 未来への希望
映画の成功を機に、颯は次々と主演作を任され、悠真も「実力派俳優」として注目を集めるようになる。一方で、茉莉花も地元で演技指導を始め、拓斗は脚本家として活動を始めていた。
数年後、演劇部のメンバーは再び地元に集まり、文化祭のOB公演に出演することになる。舞台の幕が上がると、そこには高校時代と変わらない笑顔があった。
「颯、悠真、あんたたちやっぱりすごいね。でも、私たちも負けないよ!」
「当たり前だろ。俺たち、どこまででも行けるんだから。」
友情とライバル関係を胸に、それぞれの道を歩み続ける若者たち。星の瞬きのような青春の日々を振り返りながら、彼らはまた新たな夢へと向かっていくのだった。
※本作は架空の物語であり、実在する人物や団体とは一切関係ありません。