古代ローマの七つの丘をめぐる旅
その1 古代ローマの七つの丘をめぐる旅 2018.6.15
みなさん、こんにちは、千葉忠平です。
12日からローマにきております。
仙台から成田までANAの格安チケットを利用しました。新幹線+成田エクスプレスよりはるかに安くて速い。
それがなんとプロペラ機でした。
めづらしくて写真を1枚。
安くて速くては良かったけど、台風接近のニュースもあり、万一欠航したらどうしようと気がもめました。
でもプロペラも良いですね。
離陸と着陸が人間の手仕事の感じが出ていてガタンゴトンも楽しい雰囲気です。
その2 トラステヴェレのアパート 2018.6.15
今回はローマの中心部の市街地からテヴェレ川一本を隔てたトラステヴェレ地区にアパートを借りました。
昨年秋、ローマの学校に通っていた時、息子からレストランを紹介されて来たのがトラステヴェレ初体験でした。
アパートはネットで契約しましたが、モダンでシンプルななデザインの部屋で快適です。
その3 塩野七生のローマ人の物語 2018.6.15
今回のテーマは”古代ローマの七つの丘をめぐる旅”。
ずっと以前塩野七生のローマ人の物語の第1巻を読んだ時から、行かなくてはと思っていました。
昨日までに二つの丘に登りましたが、これまで何度か、それと意識せずに観光した”名所”でした。
添付の写真はカンピドリオの丘からパラティーノの丘方面。
その4 私の好物ブッラータ 2018.6.15
アパートの近くにスーパーマーケットがあり、着いてすぐに行きました。
イタリア特有の野菜など珍しく見ていて楽しい。
このブッラータは見逃せません。
ひょうたん型のモッツァアレッラのおなかを開くと、モッツァレッラと濃厚なクリームがたっぷり入れ子になっています。
ブッラータはプーリア州特産ですが、人気で他の州でも作り始めたのでしょう。
これはマルケ州産でした。
何しろ賞味期限が48時間しかないので、イタリアの”かかと”から運んでくるよりも隣の州で作ったほうが良いわけ。
その5 ヴィーノノビレ・ディ・モンテプルチアーノ 2018.6.16
同じスーパーの肉売り場でポルケッタ(子豚の丸焼き)がありました。
”一人前、チョッピリ”と言ったら、若い店員が、名人級の薄切りをしてくれました。
ワインセラーに久しぶりの出会いがありました。ヴィーノノビレ・ディ・モンテプルチアーノ。
日本ではなかなか手が出ません。高くて。
フィレンツェで学校に通っていた時、ワイナリーを巡るツアーがあって、モンテプルチアーノのワイナリーで、ヴィーノノビレ(高貴なワイン)はモンテプルチアーノでも格上と紹介されました。
美味しくて試飲をお代わりしました。何度も。
その6 ジャニコロの丘 2018.6.17
今日は地元トラステヴェレ地区のジャニコロの丘に登りました。
この丘は古代ローマの七つの丘ではないけど、新七つの丘とも言われております。
アパートを出て少し行くと、急斜面でそびえ立っているのが見えます。
途中まで登って学生風の黒人男性二人に道を尋ねたら自分たちも行くところなので、一緒に行こうと言ってくれました。
人生経験は4分の1しかないけど体力は4倍ある彼らの急ピッチに合わせて登ったので、足がもつれ心臓がバクバクでした。
丘の上は大きな公園になっていて素晴らしい展望でした。
強烈な日差しで汗まみれになってばて気味の体に木立を渡る緑の風が心地よい感じ。苦労して登ったかいがありました。
フィレンツェのミケランジェロ広場を思い出しました。
広場の規模の大きさ、眺めの雄大さはミケランジェロ広場にかなわなそう。
丘の上に木立が多く、木陰でゆっくり休めるのはこちらが上かも。
夕暮れには若者たちのデートスポットになっている、というのもうなずけます。
この丘のてっぺんを目指して歩きながら考えました。七つの丘をめぐる旅、丘を登るのは楽ではない、と。
その7 メルカート・ディ・カンパーニャ 2018.6.19
関西方面で強い地震があり、大きな被害があったようですね。
お見舞い申し上げます。
NHKのテレビ番組で「二度目のローマ、お小遣い3万円」というのがあって、みなさんもご覧になったことが有るでしょう。
放映された市場メルカート・ディ・カンパーニャ(ローマ近郊の生産者だけの市場)に 行ってきました。
市場はローマ市の南部、テスタッチョ地域で、トラステベレからはトラム(路面電車)で 直行できます。
この黄色いティシャツの男性、テレビを見た方は覚えているかも。
陽気なオリーブオイル屋さん。
「日本でテレビを見たよ」と言ったらこの笑顔で握手をしてくれました。
その8 アパートの近くを散歩 2018.6.19
アパートの近くを散歩して見つけた光景を2枚。
怪しげな雰囲気のお店。
人形というか、置物というか、芸術作品でしょう。
私がコメントすればセクハラになりそうなのでノーコメントです。
もう一枚はテヴェレ川の並木の切り株の彫刻です。
朝の散歩が楽しくなりますね。
その9 ヴィミナーレの丘とクィリナーレの丘 2018.6.19
きょうはヴィミナーレの丘とクィリナーレの丘を制覇しました。
トラム(路面電車)と地下鉄とバスを効率悪く利用して、大半を徒歩でテクテクしたのでくたびれた。
スマホのGPSがまだローマに慣れていないせいか、なぜか反対方向を指し示す。
私の方向音痴がうつったせいか。ずいぶん無駄に歩きました。
ヴィミナーレは内務省、クィリナーレは大統領官邸に使われている。
塩野七生のローマ人の物語から引用してみた。
「現代イタリアの大統領官邸はクィリナーレの丘にある。国政選挙も担当する内務省は、ヴィミナーレの丘だ。それでテレビでも、大統領官邸から中継します、という代わりに、クィリナーレから中継しますと言い、選挙速報を告げるときも、内務省と言わず、ヴィミナーレからの中継です、と言う。」
その10 アヴェンティーノの丘とチェリオの丘 2018.6.20
アヴェンティーノの丘とチェリオの丘に登りました。残りはあと三つ。
きょうの二つの丘はローマの南側にあり、ローマの市街地図には欄外のあつかいです。
アヴェンティーノの丘はトラステヴェレからはトラムだけで行けました。
最初丘のふもとで降りたのですが、グーグルマップは一つ先の駅を示しています。
つまり丘に行くにはなだらかな長い坂を上らなければならないのです。
きょうも30度を超えています。
照りつける日差しを浴び、犬のように舌をひらひらさせながら、登りました。
教会、聖堂、マルタ騎士団の建物など。
素敵な公園がありました。
並木の間の通路、その先のドーム型の空間に見えるのはバチカンのサン・ピエトロ大聖堂の丸屋根(クーポラ)です。
この公園はカトリックの大本山を常に見守っているのです。
チェリオの丘はアヴェンティーノの丘をチルコマッシモまで下り、グーグルマップはバスに乗っていくように示しましたが、いくら待っても来ないので、結局歩いて行きました。
ここには広大な敷地の公園がありましたが、高級住宅地帯と言われているだけに、周囲が建物や樹木で覆われ見晴しがよくありません。
芝生に寝転んで休みました。
観光客らしき人は私以外にはいませんでした。
その11 ピザの店PizzariumBonci 2018.6.20
丘めぐりの後、地下鉄Aラインのチプロまでピザを買いに行きました。
Pizzarium Bonci(ボンチ)です。
イタリア語講座のクラスメートからぜひ行ってと勧められたお店です。
ここはなんと昨秋、語学留学した際に住んでいたアパートへの通り道で
毎日このわきの道路を歩いていたところです。
ピザ屋があったのは覚えていましたが、そんなに評判のお店とは思いもしませんでした。
お勧めのチーズとポテトのピザともう一種類買いました。
確かに生地がもっちりしていて、別格の雰囲気でした。また食べたい感じです。
その12 ボルゲーゼ美術館 2018.6.21
ボルゲーゼ美術館に行ってきました。
ボルゲーゼはアパートの近くのバス停から直行で、美術館前で停車するバスがあります。
太白区から青葉区を通り越して宮城野区くらいの感じです。
大きな美術館ですが、カラヴァッジョの絵が一室に6点もまとめて展示してあり、さすがに見ごたえがありました。
1.果物籠と青年
2.バッカスに扮した自画像
3.ゴリアテの頭を持つダヴィデ
4.馬丁の聖母
5.聖ヒエロニスム
6.洗礼者ヨハネ
絵が目線よりかなり高いところにあるため、きれいな写真が撮れませんでした。
カラヴァッジョの雰囲気が伝われば幸いです。
その13 パラティーノの丘 2018.6.21
フォロ・ロマーノとパラティーノの丘とコロッセオは1枚の入場券で入れます。
入り口には炎天下、何百人かの行列でしたが、事前にローマパスを買っていたので、2か所の検問をフリーで通過しました。なんか気持ちよかった。
フォロ・ロマーノととコロッセオはこれまで2度入っていますし、付近の丘からもよく見えます。
またこの地域はローマの交通の要衝とあって毎日のように通り、十分見た気分になっています。
パラティーノの丘は急階段を見ただけで、まぁいいかとこれまで登ったことが有りませんでした。
今回は丘をめぐる旅なのでローマを代表する丘のひとつ、パラティーノの丘に登らないわけには行きません。
フォロ・ロマーノとパラティーノの丘の境目はわかりませんが、この髙い構築物の上で、観光客が大勢いるところから向こう側がパラティーノの丘だと思います。
ロムレスがこの丘を選んだ理由は、まず丘なので防衛に適していること、広大な敷地面積、テヴェレ川に近いことなど。
現在は庭園として整備され、日差しは強いけど丘なので風も涼しく、体が休まりました。
その14 コロッセオ 2018.6.21
コロッセオのあたりは七つの丘の中心になっているのとトラステベレからのトラムが通ることから、十分見た気になっていましたが、内部から見た景色にはまた別な興味があります。数年前、最初に来た時は競技場の下部構造は一面に張られた床で覆われ見えませんでしたが、その後ははがされ、複雑な地下通路が露出し、この通路を剣闘士(グラディエーター)や猛獣などが駆け抜けたのだな、と思うと感慨深いものがあります。
その15 エスクイリーノの丘
コロッセオのあとエスクイリーノの丘に登りました。七つの丘はこの他にカピトリーノの丘がありますが、市の中心部でバスとトラムのターミナルにもなっているので毎日のように通ります。
古代ローマの七つの丘をめぐる旅の完成です。ジャニコロの丘を入れて八つの丘を踏破したことになります。
エスクイリーノの丘はコロッセオの向かい側にあり、距離的には近いのですが道が入り組んでいて、結構わかりにくいところでした。
サン・ピエトロ・イン・ヴィンコリ教会にはミケランジェロの代表作の一つと言われる 「モーゼ像」があり、こんな目立たない教会にミケランジェロの代表作が、とびっくり しました。
皇帝ネロの黄金宮殿はローマ大火後に造営され、市民のひんしゅくを買い、
ネロの死後火災にあった。大規模だった宮殿も今はこれしか残っていない。
その16 スップリ屋さん
NHKの「2度目のローマ」に出てくるスップリ屋さん。
なんと私のアパートから100メートルくらいの近くにあります。
夕方行ったら行列ができていました。
目当てはスップリです。ここの客は買ったスップリをその場で、なじみの客同士で雑談しながら立ち食いするので、狭い店ということもあって大混雑するのです。
笑顔がかわいいこの女性はスップリではありません。店員さんです。
スップリはトマトソース味のライスコロッケでモッツァレッラが溶け込んでいるもので、 俵おにぎりの形をしてます。
「いっこですか?」と聞かれ、見栄を張って「2個」と答え、ズッキーニのフライも買いました。
ライスなので、いっこでおなかが一杯になりました。
評判にたがわずおいしかった。
その17 カピトリーノの丘とカラヴァッジョをめぐる旅
七つの丘をめぐる旅が終わり残った時間で、カラヴァッジョをめぐる旅を始めました。
カラヴァッジオの絵はローマには美術館や教会にたくさんあります。
カピトリーノの丘を登ると、カンピドリオ広場を囲むようにして正面に市庁舎、左に博物館右に絵画館があります。広場を含めてこれらの設計はミケランジェロによるものだそうです。
絵画館の3階にカラヴァッジオの「洗礼者ヨハネ」と「女占い師」がありました。
ルーベンスの「ロムルスとレムス」も良く、ピエトロ・ダ・コルトーナの「サビーニの女たちの略奪」も逸話がローマ人の物語に出てきて興味深く見ました。
その18 バルベリーニ宮(国立絵画館)
バルベリーニ宮(国立絵画館)で「ナルキッソス(ナルシス)」、「ホロフェルネスの首を斬るユーディット」、ラファエロの「フォルナリーナ」も良かった。
ナルキッソスはカラヴァッジョ作でないという説があるらしく、作者名のところに「カラバッジョ(?)」と表示されていました。
将軍ホロフェルネスは酔いつぶれたところを首切られたそうで、お酒はつぶれない程度に飲もうと心に決めました。。
サンタ・マリア・デル・ポポロ協会では「聖パウロの改心」「聖ペテロの磔刑」の2枚とカラッチの「聖母被昇天」の3点を見ることができました。
掲示されているところが礼拝堂の奥、舞台になっている3面の壁で、舞台に上がれないのでうまく撮れませんでした。
その19 サン・ルイージ・フランチェージ教会
サン・ルイージ・フランチェージ教会では「聖マタイの召命」「聖マタイと天使」「聖マタイの殉教」とマタイの3部作を見ました。
その20 オルヴィエートトリップ
帰国を明日に控えた午後、時間があったので2度目のローマに出ていたオルヴィエートに行ってきました。
テルミニ駅から1時間20分、牧草地とブドウとオリーブの畑、日本のどこにでもある田舎の風景にいやされました。
オルヴィエートは平地に突出した切り株のような丘の町でした。
駅からはケーブルカーで登ります。登ってすぐにトラットリア・ラ・パロマがありました。
目当ての料理、トリュフのパスタとイノシシの肉の煮込みを頼んだら、「マダムにトロッポ・タント、そりゃあ多すぎよ、どちらか一皿になさい」と言われ、パスタだけにしました。これは正解。半分食べた時点で降参ぽいボリュームでした。
黒トリュフの香りと濃厚な味にはここまで来てよかったと。
マダムに日本でテレビで見たよと言ったら「私を見たの?」「私を見たの?」と何度もダメ押しされました。
ウェイター兼シェフの夫と、マダムの話し相手の娘の家族経営のお店で、私のテレビの話で3人とも喜んでくれました。
大聖堂はこれぞゴシックというような中も外も立派な造りでした。世界的に信者離れの傾向のキリスト教世界にあって、こんな小さな町で、これを維持するのは大変だろうなと、4ユウロの拝観料を納めながら思いました。
その21 アリベデルチ ローマ
丘をめぐる旅・・・それぞれの丘に建国以来2800年の役割があり、
それが今でも国やローマ市にとって官邸や市庁舎として使われているのは
すごいなと思います。
カラバッジョは一昨年上野の西洋美術館で一挙に11点の作品が展示
され、有名な作品が多く楽しみました。
日本では写真撮影はどこも禁止ですね。
今回はローマで17の作品を見ることができました。
西洋美術館で見たことのある絵も多く懐かしく思ったりしました。
写真撮影はフラッシュがだめなだけで、どこもOKでした。
カラバッジョはローマにはまだ数点以上はあるようです。
またの機会はあるのか無いのかわかりませんが。
私の一番好きな建物の画像を一枚添付しました。
ベネツィア広場のヴィットリオ・エマニュエレ2世記念堂です。
地元には意外に不人気で、あたりの古代の遺跡に不似合いだとか、入れ歯のようだとか。
純白の大理石で作られたこんな美しい建物は世界中にないでしょう、と
いうのが私の印象です。
アリベデルチ ローマ また会える日まで
(ローマ空港にて)