空想図書館 書架A(001-010) 2 諸星 2023年4月13日 19:15 この世に存在しない本の中の、お気に入りの一節。書架A(001-010)いいこと?自分の中に嵐が吹き荒れているときは、そっと毛布に包まって、嵐が通り過ぎるまでやり過ごすの。外に出てしまえば最後、立ち向かう術なんてないんだから。吹き飛ばされた、かわいそうな、小さなたましいは、嵐に弄ばれてたちまち恐ろしい獣へと姿を変えてしまうのよ。-『星のたまご』より— 諸星/新刊BOOTHにて販売中 (@honey821_gtr) October 21, 2021 「お前を見ると目が焼けるようだ」「触られると呪いがうつる」そう疎まれ続けた私は、初めて出会う同類に問いかける。「旅人さん、あなたも……呪われているの?」「呪いなんかじゃないよ、お嬢さん。僕たちはね、”色付き”っていって、”コレ”はね、旅人のしるしなんだ」-『色のないまち』より— 諸星/新刊BOOTHにて販売中 (@honey821_gtr) October 22, 2021 「ねぇ、ユリウス。あの人、さっきから言われてもいないことにずーっと反論しているわ。一体誰と戦っているのかしら」「彼はね、マリー、自分の不安や偏見がつくったまぼろしと戦っているんだ。きっといろんなものが怖いんだね」「ふーん、大人ってたいへんなのね」-『最果ての芝は青いのか』より— 諸星/新刊BOOTHにて販売中 (@honey821_gtr) October 23, 2021 「どうして泣いてるの?」「おかぜをね、ひいちゃったんだ」「つらいの?どこか痛い?」「んーん、いたいけどそれくらいじゃぼくなかないよ」「じゃあ、どうして?」「おけがをしたらさ、ちがでるでしょ?おかぜはむねのなかのおけがで、おめめからとうめいなちをながすんだ」-『ドロップ』より— 諸星/新刊BOOTHにて販売中 (@honey821_gtr) October 24, 2021 巨大な赤身肉の塊。名前はニーチェ、食べ応えは十分。月より大きなホールケーキ。名前はエゴ、甘く罪深くハイカロリー。山のようなポテトチップス。名前はゴシップ、味などもはやわからない。どれも手をつけては食べきれない。差し出された飴ひとつ、受け取れない。-『いちごミルクキャンディ』より— 諸星/新刊BOOTHにて販売中 (@honey821_gtr) October 26, 2021 何か大きな力が、惜しむ間もなくあっけなく、私の意識をどこかへ連れ去ってくれる日をずっと待っている。行き先は天国でも地獄でもかまわない。ここではないどこかへ。わたしの胸の中の歪なロケットは、この身体を燃やし尽くして切り離す日をずっと待っている。ー『3段式紙ヒコーキ』より— 諸星/新刊BOOTHにて販売中 (@honey821_gtr) June 23, 2022 「ねぇ朝子」「なぁに?夕子ちゃん!」「写真の中の朝焼けと夕焼けって、一体どうやって見分けたらいいのかしらね」「そんなのカンタン、カンタン!見たときに抱きしめたくなるのが朝焼けで、連れ去りたくなるのが夕焼けなんだよ!」──『朝子と夕子』より— 諸星/新刊BOOTHにて販売中 (@honey821_gtr) June 26, 2022 僕たちと月との距離が朝晩で変わるように、太陽系の天体が離れたり重なったりするように。僕も君も動き続けているんだから関係性だって変わり続けるんだ。しばしのお別れだけど、悲しみも抗いも、確たる理由すらもいらない。チューニングが合うその時に、またね。ー『小宇宙のコーラス』より— 諸星/新刊BOOTHにて販売中 (@honey821_gtr) October 15, 2022 「なぁ」「おう」「なあに?」「思い出ってさ、記憶を消化吸収してできたものだったりするのかな」「は?」「どしたの?何か変なものでも食べた?」「もしそうだったらさ、今この瞬間は絶対いい栄養にする」「……おう」「ふふ、がんばんな」-『光のページェント』より— 諸星/新刊BOOTHにて販売中 (@honey821_gtr) December 21, 2022 「ねぇ、わたしのちいさな夢の話をしてもいい?」「うん」「ある日ね、風が吹いたらわたしは消えちゃうの」「消える?」「そう、消えるの。姿は見えなくなって、部屋の中も空っぽになって、世界に一箇所、あなたの枕元にシャンプーの香りだけを残して消えちゃうの」─『パーティクル』より— 諸星 (@honey821_gtr) April 13, 2023 ダウンロード copy 2 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? サポート