
【SVシングル】4桁停滞勢が616位を取るためにやったことのすべて
はじめましての方ははじめまして。
Twitter(自称X)の片隅でひっそりと活動しているらぴさん(@jason_wav)という者です。
普段はダメージ計算機やトレーナーカードジェネレーターを自作したりしています。

ランクバトルにおいてはSVシーズン15(2024年2月)で初めて4桁順位を取ってから実に9ヶ月にわたって4桁帯の番人をしていたのですが、シーズン24(2024年11月)および直近のシーズン26(2025年1月)ではこれまでの取り組みを抜本的に見直し、本気で結果を追っていました。


結果として、シーズン24では自己ベストを大きく更新して最終616位、シーズン26ではレギュGへの苦手意識を克服して最終800位を達成することができました。
それまで3桁順位を取ったことがなかったプレイヤーが、(多忙で休止したシーズン25を除き)実質2シーズン連続で3桁順位を取れたということで、取り組みの見直しはある程度正しかったと言えると思います。
この記事では、取り組み方の見直しの内容、および、その過程で得た停滞脱却のための気づきをなるべく全て言語化して公開します。
2桁以上ホルダーの強者がポケモンバトルの考え方を論じる記事はときどき見かけますが、4桁停滞から脱却したばかりのプレイヤーが「4桁を脱却するためにやるべきこと」にフォーカスして書いた記事はなかなか見かけないので、同じように4桁停滞から抜け出そうとしている人たちの一助になれると信じています。
伸び悩みの原因
さっそく本題に入ります。
停滞を意図的に打破するためには、まず停滞の原因を正しく分析する必要があります。
個人差はありますが、たとえばハイパーボール級未満で停滞する原因は「ポケモンの育成について情報収集していない」あるいは「強いポケモン以外を使うことにこだわりがある」のどちらかである場合がほとんど。
マスターボール級や4桁順位に到達できずに停滞する原因は「強いポケモン単体を考える段階から抜け出せず、複数匹のポケモンからなる大きい『動き』を意識して戦術を組めていない」またはシンプルに「対戦への従事時間が足りない」のどちらか、あるいはその両方であることがほとんどです。
では、多くのプレイヤーが3桁順位が取れずに停滞する理由は何か、というと、その答えは、
勝てる構築が組めていない
これです。
さまざまな要因が絡み合う複雑な問題に関して乱暴に言い切るのは好きではないのですが、少なくとも私が観測した限りにおいては、十中八九これです。
「そのシーズンを勝てるような強い戦術を見つけ、軸とする」
「その軸で構築を組み、構築が勝てない原因を究明し、構築を適切に改善する」
「構築作成・改善段階で意図した勝ち方ができるように、なるべく大きなミスなくプレイする」
3桁到達のために必要なのは主にこの3つだと思っていますが、過去の私を含め、だいたいの人が1番目か2番目で詰まっています。
実際の相手との対戦で迷いが生じると、つい選出で迷ったことやプレイングで迷ったことそのものを反省の対象にしがちですが、冷静に原因をたどって考えてみると、そもそも構築の段階で仮想敵への勝ち方が明確になっていないために実際の対戦で無理が生じている、というパターンが非常に多いです。
(公開後追記: プレイングや選出段階の反省で答えが見つかるのであれば、もちろんそれに越したことはありません。疑うのはプレイング、選出、構築の順にしましょう。)
次の章では「なぜ勝てる構築が組めないのか」の掘り下げをしていきます。
なお、それ以外の4桁停滞の原因はだいたいこれです。
時間が足りない(対戦・考察の両方を満足に行える時間がない)
実は言うほど停滞してない(3000位がやっとだった人が数ヶ月かけて1500位や2000位を取れるようになってたらそれは成長ですよ、アナタ!)
なぜ勝てる構築が組めないのか
この理由は人それぞれだと思うのですが、私自身の体験を振り返って原因として挙げられるものは以下のような感じです。
「自分で考える」が先行してインプットが不足している
「強い戦術」がどういうものかを感覚的に理解できていない
プレイスタイルやこだわりとして自ら縛りを課している
対戦数、対戦時間が足りない
また、以下のようなケースもハマりがちだと思います。
上位プレイヤーからのパクり方の効率が悪い
実際に対戦している時間以外での考察が足りない
それぞれ個別に触れていきます。
「自分で考える」が先行してインプットが不足している
最初に断っておくと、私は「自分で考える」大好き側の存在です。
私だけではないと思っているので恥ずかしながら告白するのですが、「おれの思考力がポケモンに通用するか試してやるぜ!! うおおおおお!!!」というようなモチベーションでポケモンバトルをやっていた時期があります。
ただ、ポケモンバトルに限らず多くの物事に言えることですが、質のよいインプットをたくさんしてからのほうが、圧倒的にアウトプットの質もよくなります。
4桁帯の前半で半年以上停滞するにつれ、この事実がだんだんと心に重くのしかかってきたため、シーズン24(レギュレーションHの3シーズン目)では抜本的に取り組み方を変え、まずは強者の構築記事から停滞脱却の糸口を見つけることに全力を注ぎました。
その過程でこちらのDaubさんの構築記事

に出会い、一目惚れに近い形で感銘を受け、アマガドオーミミッキュのアイデアをそのまま拝借して1シーズンを駆け抜けました。
理屈ではなく感性で戦術の採用を即決してしまったので当時はそこまで考えていなかったのですが、後から思い返すと
基本戦術が3~4匹(アマガドオー+ミミッキュorラウドボーン)で完結しており、残りの2匹は完全に別の戦術を形成するタイプの補完要員なので容易に換装が可能
ラウドボーンに求められる役割がはっきりしており(剣舞ガブリアスとセグレイブのストッパー)、天然ポケモンであればある程度は換装が可能
42位という、強さが保証されるわりに、4桁勢は皆が読んでいるわけではない(と思う)順位帯の構築記事
アマガドオーの並びを見て一般に想像される突破方法とは少し違う対策が必要な、適切にズラされた戦術
まずそもそも、基本戦術の組み方の意図が読んだだけで理解できるように書いてある
という、4桁勢が3桁を目指すにあたってかなり理想的な構築記事でした。
「基本戦術をそのままレベルでパクり、補完戦術を自分で換装する」方法で強い戦術のなんたるやを学ぼうとする場合、上記のような条件で構築を探すのがよいかもしれません。
(あとはもちろん、自分がその戦術で戦っていて楽しいと思えることが重要です。Daubさん、素敵な構築記事を本当にありがとうございます。)

(自作ダメージ計算機の登録データより抜粋)
①原案のラウドボーンをピクシーに換装(諸説枠)
②原案のアシレーヌとカイリューをS23の64位構築の起点作成ブリジュラス+アシストパワークエスパトラの並びに換装し、構築全体としてはクエスアマガを偽装(どちらの戦術にも3匹目としてミミッキュが採用されており、なんかちょうどいい感じにハマった)(ついでにピクシーもバトン先のアシストパワー型っぽく見えるのでアマガドオーをより強く秘匿できる効果もある、かも)
③原案の構築記事にほぼ切らなかったと書いてあるアーマーガアのスケショ避けフェアリーテラスをボディプレスの威力増強用のかくとうに変更、ドオーを対グライオンの総量TOD意識でH252振りに変更、あまり勝利に直結している印象のなかったミミッキュの剣舞をみちづれ強化のトリックルームに変更するなど微調整
「強い戦術」がどういうものかを感覚的に理解できていない
Daubさんのアマガドオーミミッキュを手に馴染ませ、また、3桁以上の相手との対戦経験もある程度積めたシーズン24以後、自分のなかに、少なくとも受けサイクル系については「強い戦術」のゲシュタルト(漠然としたイメージ)が形成されている感覚があります。
そこで、シーズン26では基本戦術まるごとレベルの完全なパクリではなく、多くの構築記事をつまみ食いしつつ、ある程度自分でコンセプトを立てて構築を組んでみることにしました。
結果的には800位で自己ベスト更新ならずでしたが、レギュGの受けサイクルそのものが(主にパオジアンという化け物のせいで)レギュHに比べて窮屈なので、自分なりには健闘したほうだと思います。

(元々はゴチルゼルの枠がドオーだったものを最終日に変更)
試行錯誤の結果、結果的にS21のべるさんの構築記事と並びこそ4匹同じになりましたが、根本の設計思想はかなり純正受けループに寄っており(対バドを攻めではなくハピナスによる受けで解決しようとしている)、苦しくなりがちなステロまきびし吹き飛ばしディンルーを積極的なゴチルゼルで機能停止に追い込もうとしたり、最終的にも異なったものに着地していると思います。
ただ、私の力量不足だとは思いますが(あるいはレギュGの受けムゲンダイナの宿命なのか)、構築が上手く組めている感覚がなく、気合で上振れを掴み取っての3桁だと認識しています。
次のシーズンからはもっと攻めに寄ったサイクルを勉強します。
レギュGではもう二度と受けサイクルやりません。
上位プレイヤーからのパクり方の効率が悪い
最初の項目で軽く触れた、私自身のシーズン24におけるパクり方を整理します(前述の通り、最初からこれらを意図して構築記事を探したわけではないですが)。
42位という、強さが保証されるわりに、4桁勢は皆が読んでいるわけではない(と思う)順位帯の構築記事
並びを見て一般に想像される突破方法とは少し違う対策が必要な、適切にズラされた基本戦術
基本戦術が3~4匹で完結している構築記事の、完全に別の戦術を形成していた残り2匹を換装(基本戦術のうち1匹についても、役割が記事中に明確に書いてあったため、同じ役割を満たせそうなポケモンに換装)
構築記事を読んで基本戦術の意図を理解できる
逆転の発想で、これらを「満たしていない」構築記事の参照方法を考えてみたものが以下です。
世界のどこかの誰かの役には立つかもしれないのでリスト化しておきます。
1桁順位などのメジャーすぎる構築記事を参照元にし、シーズン中に無視できない回数の一点読みをされる
構築の並びを見てやりたいことがわかりやすい戦術を参考にし、対策を越えられずに負ける
構築6匹が絶妙に役割分担しつつ相手に合わせて臨機応変に選出されることで成り立っているグッドスタッフ系の構築を参考にし、本来変えてはいけない部分に手を加えて破綻
本文から意図をほとんど読み取れない構築記事を参照し、自分のプレイに落とし込めない
たとえば、構築の並びからやりたいことが推測されたとしても、相手の対策を乗り越えていったり、むしろ積極的に対策を誘い出して裏戦術で狩る勝ち方もあるわけで、上記のリストに「これを必ず避けろ」という意図はありません。「こういう失敗パターンあるよね」くらいに読んでください。
また、意図をほとんど理解できない記事から出発するのはどう考えても縛りプレイですが、ある程度理解できる記事から出発したとき、さらに深く理解して自らのプレイに落とし込むための補助として、似たような構築で戦っている上位プレイヤーの配信の視聴はよい勉強になると思います(私は配信をほとんど視聴していないので受け売りや想像の域を出ませんが、おそらく有益なはずです)。
プレイスタイルやこだわりとして自ら縛りを課している
「自分で考える」の項に熱が入ってほぼ触れてしまいましたが、私の場合は「自分で構築を考える」「独創的な戦術で勝ちに行く」あたりのこだわりが強く、停滞を招いていました(パクリでもモチベが湧いてくるレベルの独創的なアマガドオーと出会えたことで救われました)。
何にこだわっているかは人によって様々だと思います。
こだわりを捨てろとも言いません。こだわりを保ったまま勝ちに行けるとしたらそれは素晴らしいことです。
ただ、こだわりが呪いと化して自らを苦しめてしまうのも、それはそれであまり健全ではありません。
私のようにこだわりを緩めて結果を求めにいくのも選択肢ですし、逆に、こだわりを保っているから順位が伴ってこないのもある程度は仕方ない!と、目標のほうを緩める落ち着きかたもあるわけです。ほどよい塩梅を見つけて、ポケモンバトルをなるべく楽しんでいきましょう。
対戦数、対戦時間が足りない
/ 実際に対戦している時間以外での考察が足りない
ポケモンバトルは対戦ゲームの中ではだいぶプレイ以外の考察の比重が重いゲームだと思います。
実戦や配信の視聴などから得た環境の知識をもとに、勝ち方を考察し、戦術や構築を見繕い、実戦で試してフィードバックを得て、またそれをもとに改善の方法を考察する。
実践と考察のどちらを欠いてもなかなか上手く回らないので、上手くバランスを取りましょう(私は毎シーズンついつい実践が不足しがちで反省しています)。
また、当たり前の話ですが、質よく思考できるゴールデンタイムをポケモンに多く割けるプレイヤーが圧倒的に有利です。
暇な学生にしろ、人生を削ってポケモンバトルをやっている狂人にしろ、自分と違う条件で戦っているプレイヤーとは素直には比較しないようにしましょう(というかそもそもゲーム経験など様々なものが違うので、他人との比較には基本的に意味がありません。あくまで過去の自分を競争相手とするように心がけましょう)。
結論
ここまでの内容をまとめます。
結果を優先するなら「強い戦術」の自分の脳へのインプットを試みるところから始めたい
上位勢からパクるにもコツがある
結果を最優先にしない取り組み方もある
他人は自分と同じ条件で競争していないので比較しない
また、1000位台や2000位台をこれまでに何度も取り、本気で初めての3桁を取りに行く人のため、個人的に意識しておくとよいと思うこともあわせて書いておきます。
序盤や中盤では目標順位よりも上、具体的には目標順位の半分を超えていくところを目指す。3桁目標なら序盤~中盤は500位超えを目指し、目標とする順位帯での戦いに慣れる
リコピンさんがTwitterで毎シーズン終了3日前に発信している3桁到達ボーダーラインのレート予想を参考にし、それをある程度余裕を持って超えるところを目指す
最終日に全てを懸けない。最終日を待たずになるべく早い段階で最終3桁ラインを超えられるように日常的にいっぱい勝つ
時間が豊富なら2ROM体制でやっておく。2ROMとも3桁ボーダーを超えたあとにプラスアルファを求めて追加で潜れるのでよい経験になる
時間不足や片方のROMが溶けるなどで最終盤に1ROM特攻が必要な場合、最高レートを更新するたびにHOMEを起動してレートのスクショをとる(最悪メインROMまで溶けた場合でも、最高レートで自分を慰められることは心理的担保になるので3桁を目指して潜りやすくなる)
↓上記の内容のうち、シーズンを通した取り組み方についてはこちらの動画の内容を大いに参考にしています。敬意を表して掲載しておきます。
終わりに
長々とお付き合いくださってありがとうございました。
本記事への感想や、書かれている内容へのプラスアルファ(「ここをこうすればよかったのに」「俺だったらこうする」など)があれば、些細なことや重複があっても構わないので、本記事の公開告知ツイートへのリプライや引用RTなどでドシドシお寄せください。
ご感想は素直に楽しみにしていますし、ご意見については、自分自身まだまだ伸びしろのあるトレーナーだと思っているので、吸収して成長の糧とさせていただきたい所存です。
また、よければ Twitter(@jason_wav) のフォローをお願いします!
今後もランクバトルやその他ポケモンの話をしていく予定です。
Special Thanks
最高の構築を記事にしてくださったDaub(@Smeargleee)さん
普段から私の独り言を聞いてくれたり、ときには反応や意見までくださっている相互フォロワーの皆さん
執筆
らぴさん🐥(口数多め垢: @jason_wav)(本垢: @Mr_Rappy)