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サハラへの挑戦は突然に(サハラマラソン挑戦記 #1)
突然の勧誘だった。
「4月に世界一過酷なマラソンって言われてる『サハラマラソン』に出るんやけど、陽夏もいかん?」
「サハラ砂漠で250kmを、自分ですべての物資を背負って、7日間かけて走る大会です。」
「過去に人も死んでるんやけど」
人も死んでるんやけど!?
「総額150万円かかるんやけど」
150万円かかるんやけど!?
「行こうや」
いや行かないけど
「人生でサハラに誘われることなんて今後ないで?」
まずないだろうなぁ
「100万円かかったとして、その後の人生でその話を100万回したら1回1円になるやろ」
まぁ、無理やりだけど分からなくはない考え方
「ネットでは完走率6割とか書いてあるけど、最近の完走率は9割くらいらしいですよ。だから大丈夫です。」
おお、意外といけるんだ
「ここで諦めたら自分は、『この後の人生、何回やりたいことを諦めるんだろう』と思って決断しましたよ」
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中央自動車道の渋滞に巻き込まれている最中だった。
逃げられない密室空間。パンパンに膨れて決壊寸前の膀胱。代わるがわる緩急をつけて勧誘を仕掛けてくる2人のサハラマラソン出場決定者の友人。
1人はタメ語の関西弁で、もう1人は丁寧な敬語。
このやり口、どこかで見たことがある。
地面師だ!
サハラ界の地面師たちだ!
サハラ界のピエール瀧と綾野剛に、たったいまサハラマラソン詐欺を仕掛けられている!
いいだろう、受けて立とうじゃあないかとサハラマラソンの話をさらに聞いていった。
サハラマラソンとは
(以下、Wikipediaより抜粋)
正式名称: Marathon des Sables
毎年3月下旬から4月上旬にかけて南モロッコの砂漠で開催される約230kmのウルトラマラソン。6ステージ7日間で行われる。
競技中の食事はすべて競技者自身が自分で用意しなければならない。競技者は7日分の食料や飲み物、その他、寝袋、炊事道具、懐中電灯、コンパス、衣服、薬など諸々の必要な荷物(およそ6kg~13kg)を背負いながらマラソンをする。水とテントは運営側から提供される。
1994年のレースでは、イタリア人の警察官 Mauro Prosperi が砂漠の嵐で道を見失い、砂漠を10日間(後半5日間は遊牧民により保護)さまよい、13kgも体重を落としてしまった。彼は、灼熱の砂漠をさまよい、コウモリを捕まえ生き血を飲んで渇きをしのぎ、果ては水が尽きたことに絶望し手首を切り自殺まで図ったが、脱水症状により血液濃度が濃くなりすぎて血が流れ出てこなかった。その後彼は遊牧民の一団に発見され救助された。
2007年までに、2人の競技者がレースで死亡した
近年では、機材やGPS、栄養食の進化によって、そんなに人は死なないし完走率も高くなってきているらしい。
基本死なないということがわかれば、レース自体にはそんなに不安はなくなっていった。
ただ、聞けば聞くほどやはりお金や2週間仕事を空けるなどが現実的ではない。
でも、でもだ、
面白そうではあるのだ。
光源のない真っ暗な砂漠から見る絶景の夜空。
支給されるコーラの絶望的な美味しさ。
走りきった者のみが味わえる唯一無二の感情。
人生観が変わったという数々の体験談。
自分の頭の中のハリソン山中、
ハリソン頭中が、自分に語りかける。
「つまらないじゃないですか。誰でもやれることをちまちまやっていても」
「面白いですね。ターゲットは大きければ大きいほど仕留めた時にエクスタシーを感じるものです」
そんなこんなで、サハラ師たち+ハリソン頭中からこの後2ヶ月ほど勧誘を受け続けることになった。
ずっと「面白そう、でも現実的に厳しいな」という葛藤が続いていた
のであるが・・
先日、遂にサハラマラソンに出場することに決めた。(急展開)
詳しい経緯はまた今後どこかで話そうと思う。
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さて、前置きが長くなりましたが
これは
走るのが嫌い!
お金がない!
身体が不調!
の三重苦を背負った27歳一般男性がサハラ砂漠を250km踏破する(予定)までの様子を記していく不定期連載noteです。
直近、自分を引き込んだ例の関西弁サハラ師から「陽夏はいま色々な意味で最も完走から遠い男」と評されるくらいにはなかなか切羽詰まった状況です。
今日(2025/01/02)時点で全く準備ができていない自分が、3ヶ月でどうやってサハラを走破するのか。
そんな臨場感あるリアルタイムでの準備の様子や感情の動きを発信していきたいと思います。
今回は、
「準備がある程度できてから挑戦する」ではなく
「挑戦することを先に決め、準備は走りながらする」という意思決定の方法を実践していきます。
これによって考えられる最悪のケースを最悪順に並べるとこんな感じ↓
資金や準備が間に合わず挑戦すらできない
サハラマラソン中に死亡または重篤な事故
資金が間に合わず借金
上手くいったら良いロールモデルに。
失敗したとしても良い屍に。
いずれにせよひとつのケーススタディとして誰かの何かの役にたったら嬉しいです!
人生でなんとなくやってみたいと思うことはたくさんあるけれど、準備もできていないし、仕事やお金の制約があって決断できない。そんな日常に貼り付いたモヤモヤを見ないように生きていたらいつの日か慣れてしまって、やりたいとも思わなくなっていった。
そんな消費期限切れの欲求を供養しながら生きてきた私のような人に、このケーススタディを捧げたい。
結末の決まっていないサハラマラソン物語の伴走者になってもらえたら嬉しいです!
サハラマラソンまで
あと92日
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