予算300円の実験で、水素はどれくらい出たのか?
はじめに
過去に、「予算300円でできる!水素を作る実験」を紹介しました。
では、この実験で水素はどれくらい出たのか?
今回はこれについて書きます。
水素の発生量はどう決まるか
実験では、水を電気分解して水素を発生させましたが、その発生量はどう決まるのでしょうか?
それは、電流値(アンペア)によって理論的に決まります。
具体的にグラフに表すとこのようになります。(細かい計算方法は今回割愛します)
たとえば、1アンペアの電流を流した時、水素はおよそ7mL毎分で発生することが、グラフから読み取れます。
実験では何アンペア流れていたのか
水素の発生量は電流によって決まるといいました。では、実験ではどれくらい電流が流れていたのか。
電流測定器があれば実験中に測って終わりですが、一般家庭にはありません。ですので計算で求めます。
オームの法則をつかいます:
V = R × I
Vは電圧、Rは抵抗、Iは電流です。
今電流を求めたいので、変形して:
I = V / R
つまり、VとRが分かれば、電流が求められます。
まず、Vはすぐわかります。実験で使った電源アダプターを見ましょう。下の写真のように本体に書いてあります。だいたい5Vのはずです。私の手持ちも5Vでした。
よって、Vは5Vとわかりました。
次に、Rを求めます。Rは下の①~③をまず計算し、その後④の式で求めます:
①水道水の電気の流れやすさ(=電気伝導率といい、水道水では0.0001です)
②2本の電極の距離(cm)
③電極の面積(cm²)
④(抵抗R)=(2本の電極の距離)÷(電極の面積)÷ 0.0001
②と③は、画像のように求めます:
よって、抵抗Rは:
R = 5cm ÷ 2.54cm² ÷ 0.0001 = 19685(Ω)
以上より、電流 Iは、
I = V / R = 5 / 19685 =0.000254(A)
上で紹介したグラフから読み取ろうとしましたが、アンペア数が小さすぎて(笑)。軸の目盛りをふり直しました。
0.000254(A)のとき、水素発生量はおよそ0.0015mL毎分です。
とても少ないですね。
参考として、市販の水素吸引器では、1200mL毎分もの水素発生能力があります。
簡易な実験装置では、これくらいの水素発生量ということが、分かりました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
ミスター水素