ヤジまみれベイスターズ、はや終戦なのか?(2023.8.4 Fri 一球速報観戦)
カイシャを出て駅まで歩いた。
ここから横浜スタジアムまで行くか、どうか。試合のチケットはあるけど、どうしようか。
スタジアムに行く気がしない。
阪神との3連戦、ここでベイスターズが優勝戦線から脱落するかどうかが決まると思う。
2敗、もしくは1敗1分ならば、7ゲーム差がつく。1週間・6試合でゲーム差1つ減らすとして、残り40試合で7ゲーム差のリカバリーは無理、よってベイスターズの優勝は無し。
この3連戦は、少なくとも2勝以上で5ゲーム差にすることがノルマだろう。
で、ベイスターズが明日なき戦いをクリアできる、そんなチーム状態ではないことも確かである。
打線は冷え切っている。表ローテの投手が好投しても勝てない。
昨日もバウアー10回無失点の好投にもかかわらず、延長12回引き分けの死闘だった。
そこから、早朝の新幹線で広島から新横浜まで3時間半かけて移動し、炎天下の屋外での練習を経て夕方からの試合に臨む。
選手が疲労していないわけがない。
相手の阪神も移動ゲームだが、前日は冷房が効いたバンテリンドームで勝利しており、名古屋から1時間で新横浜だ。ベイスターズに比べれば疲労が少ないと思われる。
そもそも、夏の阪神には「京セラドーム開催」というアドバンテージがある。このため、阪神は8月25試合中14試合を冷房の効いたドームでプレイすることができる。一方ベイスターズは26試合中6試合にとどまる。この8試合の差が大きいことは想像がつく。
阪神が高校野球で甲子園を追い出されるのは昔からだが、「死のロード」とは夜行列車(寝台じゃない、ボックスシートだ)や旅館大部屋雑魚寝が当たり前だった昭和40年代の話。シティホテルの個室が1人1部屋与えられ、「のぞみ」のグリーン車で移動する令和のいまに「死のロード」は当てはまらない話だと思う。
ベイスターズも、8月に京セラドームを借りたらどうかね? 巨人もよく借りてるし。
オリックスは神戸で花火大会していただいて、っつうことで(オイ)。
ペイペイドームを借りて、福岡遠征したって良いじゃないか。
どう考えても、きょうベイスターズが勝てる気がしない。
駅の改札の前に立っても、横浜方面の電車に乗る気がしない。
あきらめて帰宅した。
外をジョギングしていると牧が逆転2ランを打った。一球速報で確認して喜んだし、その後東が7回を投げ切ったのも嬉しかった。チーム状態が底でも、中心選手はよくやっているよな。
8回表に伊勢が登板したとき、正直いやな予感はしたが、それでも信じようと思っていた。ノイジーに同点タイムリーが出ても気持ちは揺るがなかった。
しかし、その後のことを書くのは苦痛である。
どうやらベイスターズの本年優勝は、ここでいったん断念するしかなさそうなのである。
僕はいつものように、旧・Twitterを阪神応援モードにして、阪神優勝祈願に切り替えた。もともと阪神も嫌いなチームではないし、近本・中野・木浪ら小兵たちが躍動するのは、観ていて楽しい。大山の日々の努力も側聞しているし、宜野座での特守も見た。2021年も2022年も、CSでは村上宗隆擁する強力ヤクルトにぶつかっていく矢野阪神を応援していた。阪神の18年ぶりリーグ優勝は、僕の中ではベイスターズ優勝の次に位置するイベントだ。少なくとも読売の優勝よりは喜ぶべきことだろう。
デイリースポーツ読者でもある僕の心の中では、ベイスターズへの気持ちを封印して阪神を応援するのは、さほど不自然なことではないが、他のベイスターズファンから見れば面妖に思っても仕方ないのかなと思う。
なんでそんなことするの? って聞かれても
「ベイスターズに心中していると、仕事も手に付かなくなるし、日々冷静でいられなくなるから」
としか言いようがない。
長年、応援しているチームがみじめでも、おまんまを食べていくために身に着けたことだ。
チームがみじめなうちは「DeNAも大変なんやねえ……」と横目で見て、みじめでなくなったら、また熱烈応援すれば良いのである。そうしないと、チームの弱さに連れて自分のメンタルを壊すことになる。
「なぜ勝てないんだ?」と考えても、答えが出るわけでもないのだから。
そこまで自分の心をチームに捧げなくても良いのではないか?
そもそも、自分となんの因果もない、半年間・140試合以上にわたる他人の球遊びの勝敗に一喜一憂することが異常なのだから。もともと異常なことなのに、「正しい応援」を求められても困る。
それに、応援より無関心のほうが、選手にとってありがたい場合もあるんじゃないか?
いろんなファンがいていい。
甲子園に行ったら様々な阪神ファンがいるが、たいていの阪神ファンは自軍を信じないフリをしている。
「サトテル全然ダメよ。打てへんし」
「横浜さんの方が振れてるよなあ、ウチは勝てる気せんし」
自虐しか言わない。けど、あれでいいんだよ。
ファンは、愚かしくても構わない。応援は、ひとの好き好きだと思う。
不法行為や誹謗中傷でない限り、何をしても良いのではなかろうか。
それにしても、だ。
正直、この試合を観に行っていたら、ヤジや悪罵を言わずにいられただろうか?
僕は怒ると黙ってしまうたちなので、ヤジを実際に言うことは無いと思うが、代わりにSNSで怒りをぶちまけることが無いとは言えない。
ナマで見ていると、ここ一番での敗戦や連敗への怒りは簡単に沸騰するものだ。
例えば、昨年のCSファースト第3戦、代打藤田のアレへの反応。あれもハマスタ阪神戦だ。
なぜ代打大田ではないのか、なぜゲッツーなのか、さまざまな怒り、嘆き、突然の終戦を受け入れられないがための阿鼻叫喚。
ヤジを言ってしまう連中の気持ちも分かる。
が、実際に選手に内容が聞こえてしまうのはダメだろう。
関根選手の反応のことだ。
あれは関根選手本人へのヤジではなく、他の選手(おそらくはエラーしたり失点したりした選手)へのヤジへの反駁だろう。
どうして、それを選手本人へぶつけるんだ?
やりたくてやったことでもないし、選手の体調は自分でもコントロールできない面もある、それはあなたと同じ人間の身体なんだから。
まして、この酷暑。
選手に寄り添え、とは言わないが、相手も人間なので、そこは同情しても良いのではないか?
ナマでの観戦、特に1勝の価値が重い試合の観戦は、ひそかに敗北を想定してセルフコントロールをしないと、ファンは試合を観れたものではない、特に長年しいたげられ、優勝への思いが強すぎるファンは。
怒らない自信が無いなら、横浜スタジアムに行かないほうが良いのだ。
でも、怒ったりヤジを飛ばしたりしたファンを批判するつもりもない。
アンタも同じ穴のムジナだろ、と言われれば、そのとおりだ。
とある野球ファンが「選手の気持ちになって考え、寄り添うファンでいたい」「(敗北が)嫌なら野球場に来るな」といったことを書いていたが、立派な見解だと思う。
が、そのような立派なファンは、自分の関心には無い。
つい愚かなことをしてしまう子羊たちと、被害者たる選手の両方のことを考えるファンでいたいと、自分は思う。
ま、そういうことで、僕の今年のベイスターズ応援は、CSまで冷温状態にすることにした。1996年・読売のメークミラクル級の大どんでん返しが無い限りは……