全ての元凶であるカルメンを考察する
ロボトミーコーポレーションが生まれた原因であるカルメンを考察します。
ネタバレを含むので、未プレイの管理人の方はご注意ください。
はじめに
ロボトミーコーポレーションの登場人物としてカルメンさんがいますよね。
人類を侵蝕している魂の病気を治療するために、コギトとかいう液体を研究していた素晴らしい人物です。
まあ……最近はメンタルが極限状態にある人間に暖かくて美しい声で囁いて、ねじれとかいうバケモンを量産していますけど……
このようにねじれ現象の原因である上に、カルメンさんの声を否定=E.G.Oを発現する&カルメンさんの声を肯定するとねじれるという仕組みになっているため、バケモンを製造するバケモンという印象が持たれています。
そのため、リンバス・カンパニーで新しいねじれが登場すると「またカルメンさんがやりやがった!」と話題になることも多いです。
しかし、カルメンさんも悪をなそうと考えてねじれを生み出しているわけではないと思うので、そのあたりを考察していきたいと思います。
今回の考察材料として、心理学だけではなく宗教やスピリチュアルの話題も取り上げますので、宗教やスピリチュアルという単語を聞いただけでも寒気がする管理人は読まないほうが良いかもしれません。
※必要に駆られて調べただけで、私が宗教やスピリチュアルに傾倒しているわけでもありません!別に嫌いでもないですが……
※そこまで詳しいわけでもないので、間違っていても許してください。他人を許しただけ自分も許されることを覚えておいてください。
あと、あくまでも考察に過ぎませんので、中堅管理人がなんか言ってるなあ……くらいの温度感で読んでみてください。予防線を張りまくるぜ~。
人類の井戸
ロボトミーコーポレーションの世界観として、ありとあらゆる可能性が内在する太古の海だの人類の井戸だのすべての根源と言われる川と表現される場所があるみたいです。
このあたりの説明をアンジェラさんやアベルおじいちゃんから聞いたとき、私は全然理解できなくて間抜けヅラを晒していた記憶があります。
簡単に説明をしてみると、釣瓶を使用することでこの人類の井戸にアクセスすることができて、そこに流れている液体=コギトを抽出することができます。コギトは投与量を間違えると死に至りますが、適量であれば魂の病気を治療することができるらしい。
そもそも魂の病気は人間が自分らしい生き方(光とか可能性と表現されている)を抑圧したことで、無意識で死を目指してしまうというものです。
また、アダムさんによると都市では翼などの組織が人間を統制していて、自分らしい生き方ができている人間がほとんど存在していません(組織の統制がなければ生きるのが難しい社会)。そのため、人類そのものが無意識下で死を目指している=絶滅に向かっていることになります。
子供の頃に持っていた夢(お花屋さんになるとか芸術家になるとか)を諦めて、とりあえず生きるために就職活動をして好きでもない仕事をやり続けるような感じでしょうか。そのような状況になると、無意識で死を目指してしまうみたいです。なんとなくわかる気がする。
そして、そのように生きている人間に釣瓶を渡すことによって、自分だけのコギトを汲み上げることができるようになるため、自分を抑圧しない生き方ができるようになる……つまり、人類の絶滅を阻止できるみたいです。
人類の井戸のモチーフを考察しよう
この人類の井戸のモチーフですが、おそらくユング心理学における集合的無意識やスピリチュアルで頻繁に語られる宇宙意識やワンネスだと思います。
集合的無意識とワンネスは細部では異なるものだと思いますが、基本的には同じようなことを言っている雰囲気を感じるため(そもそもさまざまな宗教でこういう構造を見る)今回はワンネスを考察材料にしてみましょう。
ワンネスというのは世界に存在しているあらゆるものが繋がっているという考え方のことです。なんか全ての根源みたいな存在があって、人間を含めたすべてのものがそこからニョキニョキ生えている感じみたいです。
また、その全ての根源みたいなものは無条件の愛情が溢れているみたいなので、そこから生えているだけの人間は本質的にはめちゃくちゃ幸せな状態らしい。苦痛の存在しないウルトラ安心感だけがあるみたいです。
このように本当はウルトラハッピーな存在のはずなのに、みなさんは苦痛に苛まれることがあると思います。ありますよね?
苦痛の原因とは?
その原因となっているのが自我というものです。スピリチュアルの文脈で登場する自我は心理学で言うところの自動思考を指すことが多いです。
みなさんも嫌なことがあったときとか、不安になったときに頭の中で自分の声が反響することがあると思います。「どうしてあんなことをしてしまったんだろう……」「将来大丈夫だろうか……」みたいなアレです。
おそらく不安になるときって「今から不安になることを考えるぞ!よっしゃ!」と考えてからネガティブな思考をする人はあまりいないと思います。おそらく気がついたら頭の中がぐるぐる状態でしょう。
このネガティブ思考がぐるぐる反芻されることでとんでもない精神ストレスが発生するので、病院では認知行動療法などで治療します。
さて、仏教ではこの自動思考=自我の息の根を止めるための教えがあります。たとえばマインドフルネスとか瞑想とかいうヤツですね。
マインドフルネスは頭の中に発生する自動思考に気がつく癖をつけるのが目的です。これによって自動思考が暴れそうなときに思考を止めたり、自動思考を弱体化することができるらしい。この副産物として脳疲労の改善やストレス耐性を得ることができるわけです。そして、これを極めることで無思考状態になる……つまり、仏教における悟りに至ることができます。
ちなみにジル・ボルト・テイラーという脳科学者がいらっしゃいますが、このかたは脳出血で左脳が機能停止してしまったという経歴の持ち主です。
リハビリを経て言語能力を取り戻した彼女によると、左脳の機能=自動思考が消滅したことで右脳が優位になってかつてない幸福感に包まれたとのことです。
このようにそもそも脳の機能として、自動思考が苦痛の原因になっているみたいですね。
さて、ワンネスの話題に戻ります。
本来であればめちゃくちゃ幸せな人間ですが、自我を手に入れてしまったことで個人という感覚が発生したため、全ての根源から切り離されてボーナス効果(幸福感とか幸運とか直感とか)が享受できなくなっています。
このように自我によって全ての根源を感じることができなくなったことが(スピリチュアルでは)苦痛の原因みたいですね。理性によって無限の可能性が抑圧されて、制限だらけの世界で苦しみながら生きることになります。
ただ、たまに強烈なストレスに晒されたことで自我がぶっ飛んでしまって、ほんの僅かな時間ですが全ての根源とあらゆるものが繋がっている感覚を思い出す体験をする人間が出てきます。
これは覚醒体験などと呼ばれますが、そのへんの草木とか机みたいな何でもないものを見ただけでも感動で涙が止まらないような状態になるみたいです。このような体験をした人間が精神世界を探求しはじめて、それぞれのフィルターを通した教義を広めていくのが宗教ですね。
アルガリア「俺、涙が出そうだよ……」
失礼しました。アルガリアが出てしまいました。
ただ、アルガリアも最愛の妹で作られたピアノを見たあとに、絶望に至るほどのストレスに襲われていましたが、そのあとに全てが美しく見えたと言っていたので、同じような覚醒体験をしたのかもしれません。
そして、正義という抑圧で制限されている都市を解放するために、図書館に蓄積された光=無限の可能性を回収にやってきます。志はいいんだけど、図書館でコンサートを開催するなよ。ジャズ音楽がかかっている図書館もなんか変だけど……
さて、宗教とかスピリチュアルでは、全ての根源との接続を取り戻してボーナス効果を手に入れるために、分離の原因である自我を潰すために修行をすることになります。それが前述した瞑想などです。
ただ、修行をはじめて自動思考を止めることができるようになってくると、自我も強烈な不安などの自動思考を繰り返すことで抵抗するみたいです。
ここで自動思考に飲み込まれると覚醒が遠のきますが、それでも自動思考を跳ね除けることができると覚醒して全ての根源との接続を取り戻すことができるみたいですね。
そして、覚醒して全ての根源との接続を取り戻した人間ですが、精神ストレスを生み出す自我が弱体化しているので幸福感で満たされていて、人生をサポートされているかのような強力な直感を得るため、本当にその人間らしい生き方ができるようになるらしい。
人類の井戸とワンネスの共通点
ここまで宗教とかスピリチュアルとかの話題を取り上げてきましたが、私も何を言っているのかわからなくなってきたので簡潔にまとめてみましょう。
普通の人間には認知できない無限の可能性みたいな「なにか」がある。
ここに接続を確立できると、自分を抑圧しない生き方=自分らしい生き方ができるようになる。
こんな感じでしょうか。
コギトと幻覚剤
覚醒をするためには年数をかけて瞑想などをする必要があるみたいですが、実は自我をぶっ飛ばすことのできるマジカルアイテムがあります。
それが幻覚剤と呼ばれているものですね。
マイケル・ポーランさんの「幻覚剤は役に立つのか」という書籍によると、幻覚剤にはデフォルトモード・ネットワークという脳内活動を抑制する効果があるみたいで、その結果として自我の溶解が発生するとのこと。
このような効果があるため、最近の海外では幻覚剤を用いた薬物療法が研究されているみたいです(リアル世界で外郭の研究室みてえな実験されてるのワクワクしますね!)。実際に幻覚剤は医療用として適切に使用されると精神疾患に効果抜群らしいですね。
また、これに追加して覚醒体験をすることができるため、シャーマンが霊界と繋がるために幻覚成分のある植物を利用していたという話も有名です。
おそらくコギトにも幻覚剤と類似するような効果があるのではないかと思います。しかし、幻覚剤と同じように適切な容量を見極める必要があったため、アインさんはそのための実験をする必要がありました。
その結果として、エリヤちゃんは勝手にコギトを投与して無惨なことになりましたし、ジェバンニくんはコギトの実験で自我がぶっ飛んでしまった上にネツァクとして復活したあとも快楽物質に対する依存症が残ってしまいました。
ミシェル「あまりにもヤバすぎる!頭に報告しなくちゃ!」
ビナー語を喋れないガリオン「ほう……それはヤバいね……」
カルメンの目的
カルメンさんは魂の病気を治療するために、人類の井戸に接続して都市の人間が自分らしい生き方ができる方法を探していました。
ただ、子供を実験に利用したという罪悪感という自我に押し潰されてしまい、血の風呂イベントが発生してしまいます。
しかし、カルメンさんの意志を継いだアインさんが精神ガッタガタの状態でコギトの研究を継続して、精神ガッタガタの状態で調律者の頭をこじ開けて、精神ガッタガタの状態で翼を潰してL社の席を奪い、精神ガッタガタの状態で光の種シナリオを成し遂げます。バケモンかな?
おそらくカルメンさんとしては苦痛の原因である自我をぶっ潰したいんだと思いますが、アインさんは自我=E.G.Oを職員に装備させてバリバリ会社運営をしていて最高に心のすれ違うを感じる。それどころか人工知能に自我を生やしたりしちゃう。
ただ、カルメンさんも初期型のミミクリーを抽出してカーリーにプレゼントしていたので、手段として利用するのはアリなのかもしれません。
さて、光の種シナリオが実施されたことで、カルメンさんは光の中に溶け込んでしまったみたいです。
カルメン「よっしゃ!魂の病気を治療できる!」
こうしてメンタルが極限状態にある人間に対して、暖かくて美しい声でささやくことによってバケモンを量産するバケモンが爆誕しました。
そして、カルメンさんは自分らしさを表現できる生き方をオススメして、それを受け入れると人間は自分らしい姿であるねじれに変化します。
ここに登場する全てを否定するドンランさん!!!!
ドンラン「カルメンさん……それは違うと思います……」
ただ、このように人間の自我によって否定されてしまうと、なんと苦痛の原因である自我=E.G.Oが生えてきてしまいます。
E.G.Oが生える原因「さあ、いつもどおりの仕事をしよう」
たしかにE.G.O発現した人間は自分らしさを武器で表現できている上に世界と戦うことのできる能力が与えられますが、それでも苦痛の原因には違いないので苦しむことになる運命を進むことになってしまいます。
夜明け事務所シンクレアの物語では、中途半端に抑圧してE.G.Oを発現してしまったシンクレアに対して「そんな苦痛に満ちた道は歩かないほうが良い」と言っていましたね。
このように第三者から見るとねじれとかいうバケモンを大量生産しているように見えますが、カルメンさんとしてはマジで……本気で……その人物のことを考えてねじれをオススメしているのだと思います。
ねじれたキムサッガッさんや心が引き裂かれたヒースクリフはメンタルぐちゃぐちゃで大変そうですが、おそらく自分らしさとして絶望や哀しみなどの感情を表現している状態だと思うので、感情を抑圧するよりもマシなんだと思います。
ただ、このようにねじれはだいたい理性がぶっ飛んでいる状態であるため、自分を表現する過程でとんでもない大災害が発生したりします。
ピアニスト「俺の音楽を聞け!!!!」
このような感じなのでE.G.O発現=善、ねじれ=悪のような固定観念が生まれることになったのだと思います。
さいごに
何が言いたいかと言うと、カルメンさんはそこそこ人類のことを考えてねじれをオススメしているのではないかということです。それによる二次災害とかは知らない。それが自分を表現する方法なら仕方ないですよね!
ということで、カルメンさんの考察を終わります。