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れむさんチャンネル1周年に寄せて

現世への失望が生んだYouTuber

 2021年8月1日。
 れむさんチャンネルは開設1周年を迎えました。
 まずは、これまで当チャンネルに関わってくださった全ての方に御礼申し上げます。本当にありがとうございます。

 折角の機会ですので、そもそも私がYouTuber研究生として活動を始めた主な経緯なども含め、この1年間で私が感じていた事をお話しさせてください。

 全ての切っ掛けは昨年の6月、友人のとあるツイートでした。

 「釜登山」。「壺男」という呼称の方が耳慣れているかも知れません。正式名称は『Getting Over It with Bennett Foddy』。最凶鬼畜登山ゲームとしてゲーム愛好家の間では有名な作品ですが、私はその存在を全く知りませんでした。
 ただそれは、「特定の人を傷つけるために作られた」ゲームであり、「れむさんにとても向いている」ゲームだと聞かされました。つまり「お前こそこのゲームで傷つけられるべきだ」と。酷い話だ。

 まぁでも、望まれているのであれば試しにやってみてもいいかも知れない。そんな事をぼんやり思っていると、別の友人から幾つかのYouTubeチャンネルを紹介されました。
 私は元々YouTuberに詳しくありません。興味もありませんでしたし、知っているYouTuberと言えばワタ〇ベマホト氏くらいのものでしたから、私の中でYouTuberの印象は「下劣・低俗、ピンチケに毛が生えたような輩が悪ふざけで金を稼いでは女子中高生を抱き散らかして、果ては女の顔を踏む」といったものであり、どちらかと言えば嫌悪の対象でした。
 友人が教えてくれたYouTubeチャンネルには、元自衛官の女性が体操を教えるものや理系の女子大生がただ勉強をしている様を垂れ流すものなど色々とありましたが(ジャンルが偏っている)、それらの中でも一つ、圧倒的に私の心に突き刺さるチャンネルがありました。
 それは所謂「カップルチャンネル」というものでした。

 疑似的な性行為を恥ずかしげもなく世界に晒し、登録者数は(当時)百万近く、再生数は百数十万。聞けば案外女子中高生もこうしたチャンネルを観るというではありませんか。
 私は愕然としました。つがいでセックスを垂れ流すだけで大金を稼いでいる者がいるという事実にも、そして世間のJCJKがそうした動画を好んで摂取しているという事実にも。
 ぼんやりと燻り続けていた私のYouTuberに対する嫌悪、そしてそんなものにJCJKが群がっているというロクでもない現実に対する怒りと哀しみはここに来て沸点に達しました。

 かくして、私の中で「釜登山の実況してみてほしい」と「YouTubeが体現するクソ塗れの現世」は悪魔合体を果たします。
「よー分かったわ。ほなワシもYouTubeでゲーム実況するわ。」
 女を殴っている者が女に囲まれ崇められ、セックスを晒しているだけの者が荒稼ぎをしている世界なら、半裸のおっさんで登山をしている私がJCJKにモテまくって泡銭をガポガポ稼いだってよい筈です。それが本当に達成できるようであればそんな世界はクソだし、達成できないならばこの世界はクソです。

悔しさのハンマーはいつしか

 2020年8月1日。
 現世に対する失望を原動力に、れむさんチャンネルは誕生しました。

(冒頭3分ほど無言です。ゲーム実況も殆ど見た事がなかったため、何をどう喋ればよいものか皆目見当がついていません。)

 『Getting Over It』。「特定の人を傷つけるために作られた」と言われるこの作品は、成程確かに、果てしなく続く苦痛として私に襲い掛かりました。
 1本のハンマーを振り回して山に登るのですが、これが全く思うようにいかない。滑る、滑る、ぶつかって落ちる。少し登れても、ちょっとしたミスで振り出しに戻る。かなり進めたと思っても、あっという間に麓まで叩き落されるのです。
「とりあえずクリアまで8時間程度を見込んでおきますか。」
 そんな事を言いながら始まったこの配信ですが、開始から9時間後に私が居た場所はスタート地点とほぼ同じ場所でした。

 最初に私が抱いた感情は、単純に上手くできない悔しさ。そして、「こんなえげつないモンをやらせてきたからには、最後まで巻き込んだるからな。見とれよ」という友人に対する意地でした。
 こうして、この日より毎週末、夜が明けるまで不毛な登山と向き合い続ける生活が始まりました。

 さて、悔しさを燃料にハンマーを振っていた私ですが、配信が2回、3回と続くに連れて状況は変わっていきました。
 応援に来てくださるフォロワーの方がいたり、配信を通じて久し振りに再会できた方がいたりしました。アドバイスをくれる上級者の方々もいれば、毎回「ganbatte」とコメントをしてくれる外国人の友人もできました。
 多くの方が私の拙いプレイを見守り、声援を送ってくれました。これは全く予想していなかった事で、私はそれがとても嬉しかった。いつしか悔しさは消え、応援してくれる方々への感謝が私の力となりました。綺麗事ではなく、「見てるよ!」「応援してるよ!」といった一言一言でどれだけ励まされたことか。
 それと同時に、今度は折角見てくれている彼らに上達や進捗をお見せしたいのに、それが思うようにできない自分への焦りや情け無さが降り掛かってきました。苛立ちが募り、見苦しく聞き苦しいシーンも多々あったかと思います。私の不徳の致すところです。申し訳なく思っています。

 結局、その後も100や200ではきかない数の滑落をし、蛇にも2度触れ、登頂に成功したのは年明け2021年1月16日。ここに至るまでには、318時間30分という膨大な時間を要しました。
 クリアした瞬間に感じたものは、逬る歓喜よりも滲むような安堵だったように記憶しています。登り始める前には想像もしていなかった様々な感情を学ばせてもらえた、得難い数か月でした。

 稀に私の事を、「粘り強い」といった形で褒めてくださる方がいます。
しかし、果たして独りでプレイしていたとして318時間頑張れたかと問われると自信はありません。皆様が見守り、一緒に戦ってくれたからこそできた事だと心から思います。

赦しを与えてくれた作品

 壺の配信と並行するようにして、昨冬からは他の作品の実況も増えていきました。『HUMAN Fall Flat』『CardWirth』などです。

(上に貼ったものは比較的新しい回です。)

 実況する作品の種類が増すに従って、新たに遊びにきてくださる方も増え、少しずつ少しずつではありますが、チャンネル登録してくださる方の数も伸びていきました。
 新たな出会いは私にとって大変有り難いことで、日々配信を続けていく遣り甲斐に直結しました。
 しかしそれと共にこの時期、私の心の中には一つの疑念がついて回ります。それは特に元々知り合いだった方々に対して、
「ただ気を遣って見に来てくれているのではないか?」
というものでした。
 故に、週に4日も5日も配信しては迷惑なのではないかと。冷静に考えれば、このような方向で悩むのは見当違いだと分かります。より多くの方に知っていただけるようどんどん配信し、その上で来てくださった方が楽しめるよう尽力するのが建設的な解決の道でしょう。

 頭では分かりつつもそんな悩ましさを振り切れずにいた私ですが、ある作品が救ってくれることになります。それが、『Among Us』でした。

 宇宙人狼というゲームの性質上、フォロワーの皆様に協力を募って配信に漕ぎつけたわけですが、回を重ねる事に参加してくださる方が増えていきました。
 そうしている内に、当チャンネルの『Among Us』を通じて新たに友人関係が広がったという話を幾つか耳にしました。また、緊急事態宣言下で他人と話す機会が少ない中、ボイスチャットで歓談する場を設けた事を感謝していただける事もありました。
 私はその時初めて、YouTubeで配信をしている事を赦された気持ちになれました。「世界に対する絶望」だの「YouTuberに対する憎しみ」だのといったわけの分からん非生産的な鬱屈だけを抱えて出発し、どこへ向かっているのかも分からないまま夜な夜な揺蕩っていた当チャンネルが、初めて社会的な意義を持つ事ができたのだと。「ちょっとは人様の役に立ててんのかも知れないな」と。
 (尤も強がりを含めるならば、それ以前から「若い子に諦めない事の大切さを伝える教育的意義があるのだ」などと宣ってハンマーを振ってはいましたが。)

 そして先月の私の誕生日には、フォロワーの方々にこのようなケーキまで用意してお祝いしていただきました。

 これも配信活動をしていなければ、そして憎しみでハンマーを振るうのみであれば起こり得なかったことでしょう。皆様のお気持ちに感謝致します。本当にありがとうございます。

2年目を迎えて

 チャンネル開設から1年。貴重な経験ばかりをさせていただいた1年でした。それも全ては支えてくださった方々、配信を見に来てくださった全ての方々のお蔭です。
 これだけのものを頂いたからには、皆様に楽しい時間を過ごしていただけるよう、そして更に多くの方と楽しさを共有できるよう、より一層努めていかねばと思いを新たにしております。

 1年前に比べて随分前向きになった←れむさんチャンネルに、緩くご期待いただけますと幸いです。今後とも、宜しくお願い申し上げます。
 あと、ついでにチャンネル登録もしてってくださると嬉しいです。←
(レムナベマホトになるには登録者を1万倍にする必要があります。)


 ※最後に、今後は生配信だけでなくちょっとずつ編集動画の投稿もしていきたいということで(願望)、動画編集ソフトを使った処女作を貼って終わることとします。正直使い方がよく分からず、動画を切り貼りする事しかできませんでした。これも可愛げがあると思うのですが、ここから編集力がどう成長するかも楽しみにしていただければ嬉しいです。

 え?「編集が下手クソ」ですって?いいんです。何なら世界一下手クソでも構やしない。
 何故なら私はそんなもの、容易に見返せる事を知っているから。


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