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花の消費選好調査(2023年8月)

令和5年度ジャパンフラワープロジェクト推進事業
国産花き生産流通強化推進協議会


1. 目的

逼迫する物流問題に対して、川下から対応のヒントを探る 規格見直しやアップサイクル、ホームユースに関する生活者ニーズを調べ、効率的で持続可能な花の流通に向けて情報共有する トレンド把握のため、消費動向の継続データを蓄積 非購入者についても分析(2017年以前のデータはMPSジャパン提供)

2. 方法

 インテージのモニターを対象にネット調査、500名回答。2023年8月14日(月)~15日(火)実施

3. 要約

  • 【花・植物の購入状況=トレンド】

  • 2023年はコロナの行動制限が解除され、購入率は花(39%)でも植物(22%)でも前年を上回った。

  • 購入率はプレゼント用(22%)でも自宅用(19%)でも増加に転じたが、これが続くかどうか。購入シーンとしては「墓参り」が4割を超え、「自宅の装飾用」(39%、22年は42%)を抜いた。

  • 花・植物ともに、よく買うのは、20~30万都市在住者、既婚者、50代女性、持ち家一戸建て居住者。

  • 購入価格帯は上昇が続く。プレゼント用(実購入者)では「3000~5000円」の価格帯が膨らみ、45%を占めるに至った。一方、「1500円以下」のカジュアルギフトに需要が出ている(計17%)。自宅用(実購入者)では低価格帯が減り、「1500円以上」が拡大(21年18%→ 22年24%→23年44%)。

  • 購入頻度(購入経験者中)をみると、「年に1回以上」花を購入する習慣のある人は減少。自宅用では、2019年以降4年間で12ポイント減(43%→31%)となった。自宅用売上の8割以上は、年3回以上購入する17%の客が支える。家計調査データも、22年時点で切り花支出額が上昇に転じた裏で、購入頻度が落ちたことを示す(植物支出は22年、用品と合算で切り花にほぼ並ぶ)。

  • 購入経路では花屋が76%で主流。23年はスーパーが伸びて40%(2022年33%)に。ミックスMDのコラボ店(花や雑貨など複合店)は7%(同6%)。

  • サイズのコンパクト化やアップサイクルは、生活者が花を選ぶ際、どれくらい重要か?

  • スタイル(季節の花など)、日持ちという他の重要な属性と組み合せ、好ましい花束に順位を付けてもらう形で、比較実験(コンジョイント分析)した。その結果、重要度はスタイル(44%)>日持ち(36%)> アップサイクル(11%)>サイズ(9%)の順となった。アップサイクルや小さめサイズは、花束の魅力度アップに ある程度貢献する。

  • 花の価格設定はどうすべきか? 生活者の心理的な価格感度を調べた(10本程度の季節の花束)。

  • 買わない人を含む全体平均では、3700円程度で「高い」。「安い」(値頃)と思いはじめるのは1370円を下回る頃から。小さめサイズでは「安い」の額が下がる。自宅用購入者では「安い」は1775円、推定購入額は1966円で「安い」より上(花の限定をしていないため参考値)。

  • ・典型的な需要集中日である母の日の花については、「ほぼ毎年贈る」が最も多く全体の21%。

  • 「2~3年に1回」「4~10年に1回」が 12%ずつ。全体の15%は「贈らない・贈れない」。

  • 母の日の花贈りについて、生活者はどう感じているか?(自由回答)

  • 「感謝」「喜ばれる」はじめシンプルな肯定が主。カーネーションに対しては、肯定と飽和感が混在。相手の好みや、マンネリ化を防ぐ配慮から、花以外や「花プラスα」の贈り物に需要。「枯れる・世話が大変」「家族の仲」などの理由で花贈りを避ける人たちも一定数存在。

  • 物流負荷を和らげつつ、価格上昇の趨勢の中で、花の購入習慣を維持してもらうにはどうすればいいか?消費選好調査から得られる一つの解は、小ぶり

  • アップサイクルへのニーズを取り入れつつ、生活者の心理的な価格感度の次元を考慮しながら、値付けを工夫していくということだろう。日持ちやアップサイクルのような流通や環境に関わる品質は、花の外観と異なり、直接には見えにくい。プロセスの品質の価値を伝えるには、表示をはじめ情報提供が重要。短径では、生活者が期待する価格も低めとなる。販売現場の作業効率や採算とどう両立させていくか。生活者の理解もいる。これも花き産業の持続性に関わる課題である。

4.注意点

調査手法の変更点とその影響

  •  2022年以降の購入率減には、物価上昇・消費者心理冷え込みに加え、調査手法の変更の影響もあり

  •  2022年 調査会社変更+性比修正4対6から5対5に(2021年購入率 1.1%押下効果)

  •  2023年 婚姻比率調整 未既婚比を22年52:48から47:53に(2022年購入率 0.9%押上効果)

生成AIの活用

  • 本調査では、質問票のアイディアに関する相談、データ解析のためのプログラミング言語(Python、R)を用いたコーディングやエラー修正、グラフィック表現等について、A生成AI(人工知能)を活用している。主として ChatGPT4.0、Gemini(Bard)、Anthropic Claudeを利用。

5.調査結果

● 購入率 花、植物

購入率 花、植物

● 花購入率の推移

花購入率の推移

● 花購入率 性別年齢別

花購入率 性別年齢別

● 花購入率 婚礼有無、居住形態、都市規模別

花購入率 婚礼有無、居住形態、都市規模別

● 植物の購入率 推移

植物の購入率 推移

● 植物の購入率 性別年齢別

植物の購入率 性別年齢別

● 植物購入率 婚礼有無、居住形態、都市規模別

植物購入率 婚礼有無、居住形態、都市規模別

【参考】「家計調査」支出推移(切花、園芸植物、園芸用品)

【参考】「家計調査」支出推移(切花、園芸植物、園芸用品)

【参考】「家計調査」切り花、植物の支出額

【参考】「家計調査」切り花、植物の支出額

● 花の購入率 用途別 推移

花の購入率 用途別 推移

● 花の購入率 用途別 性別 推移

花の購入率 用途別 性別 推移

● 花の購入場面(購入者中)

花の購入場面(購入者中)

● 花の購入頻度 用途別

花の購入頻度 用途別

● 花の購入頻度 用途別 定期的購入者(購入経験者中)推移

花の購入頻度 用途別 定期的購入者(購入経験者中)推移

【家計調査】支出額、購入頻度推移(切り花)

【家計調査】支出額、購入頻度推移(切り花)

● 花の購入経路 推移(購入者中)

花の購入経路 推移(購入者中)

● 重視する表示 花

重視する表示 花

● 購入価格帯 推移 最近1年のプレゼント用の花 実購入者

購入価格帯 推移 最近1年のプレゼント用の花 実購入者

● 購入価格帯 推移 最近1年の自宅用の花 実購入者

購入価格帯 推移 最近1年の自宅用の花 実購入者

● 購入価格帯 花の非購入者 プレゼント用 想定額

購入価格帯 花の非購入者 プレゼント用 想定額

● 購入価格帯 花の購入者 自宅用 想定額

購入価格帯 花の購入者 自宅用 想定額

● プレゼント用 購入頻度別 売上貢献度(花の購入者経験者)

プレゼント用 購入頻度別 売上貢献度(花の購入者経験者)

● プレゼント用 購入頻度別 購入額 売上貢献度(購入者経験者)

プレゼント用 購入頻度別 購入額 売上貢献度(購入経験者)

● 自宅用 購入頻度別 購入額 売上貢献度(花の購入者経験者)

自宅用 購入頻度別 購入額 売上貢献度(花の購入者経験者)

● 自宅用 購入頻度別 売上貢献度(花の購入者経験者)

自宅用 購入頻度別 売上貢献度(花の購入者経験者)

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