学生フォーミュラを知ろう!#6 (製作期編)
今回はスケジュール編第二回目,製作編です。前回で設計ができたところでいよいよ新マシンの初走行,シェイクダウンに向けてマシンを作り上げていきます。
パーツの作り方いろいろ
各パーツはぞれぞれ,①自作,②購入,③加工依頼の主に3つの方法で作っていきます。①のパーツは文字通り,メンバーで材料から加工することで作っていきます。②は完成品の購入になります。これはエンジンやポンプなどの補器類などです。チューニングカー用の部品やホームセンターから見つけてきます。場合によってはスポンサーから支援をもらったりします。③は作りたい形状があるが,自作ができない場合にスポンサーや大学の技官さんに依頼して作ってもらう場合です。こちらは加工期間が長くなりがちで,かつ作り直しも何回もできないので,慎重な設計が必要になります。
自作パーツいろいろ
特に①の自作パーツは多岐に渡るので,材料や加工方法も色々です。例えばマシンの要,フレームは鉄パイプを切って,形に合わせて削って,大物は曲げて,そしてそれを溶接して……。という具合です。足回りのアームやロッドもパイプや丸棒を旋盤で削り,ねじ切り加工をし,これも溶接。
変わり者でいうと私が担当していた燃料タンク。これはアルミ板を組み合わせて溶接します。アルミの溶接は鉄と比べて溶けるのが速く独特なうえに,他にアルミ溶接を使う部品もなかったので,溶接の技術は代々の燃料タンク担当が一子相伝のように受け継がれていました。もちろん,ガソリン漏れがあってはいけないので精密な作業が必要です。これが大変なんだ……。ガソリン漏れが止まらずにシェイクダウンを遅らせたこともありました。
また,最近目立つエアロパーツのような部品は型をや中芯を作って,そこにガラス繊維や炭素繊維を樹脂で固めるという作り方をしています。この製作方法は,曲面が自由に作れるのでエアロパーツやエンジンの吸気系の部品などで使われます。きれいにできるとかっこいいい部品ですね。
あとは,電装品,エンジンや各補器類を動かすためのワイヤーハーネスも自作します。ハーネスを一本一本をコネクタにつなぎ,はんだ付けをし……。といった具合。メーターやスイッチ類も作ったり,簡単なプログラムでファンなどを自動で動かしたり,データを取るためのロガー用のツールを作ったりもします。
自作パーツ製作最盛期は工具や溶接機が取り合いです。自分は時間をずらすために朝方日が昇る前から作業をし,日の出を感じながら作業を終え,昼ご飯を食べて帰る……。みたいなこともやっていました。
組み立て始めるといろいろ起こる
こうして作った自作パーツや,購入品,加工してもらったものを組み立てていきますが,その段階でもいろいろ起こります。よくあるのが部品の干渉,つまり「この部品にあたって自分のパーツがつかないんだけど!!」みたいなことです。こうしたトラブルは,パーツを修正したり,ちょっとレイアウトを変えたりして対処していきます。CAD上では問題なくても,組み立ての順番などでそうなることがあるんですよね。こうしたこともノウハウとして受け継がれていきます。
こうして,いろいろな山場を越えてマシンができ,晴れてシェイクダウンを迎えるわけです。エンジンがかかって,ゆっくり走りだす様子に安堵と共にとても感動したことを覚えてます。
というわけで,ちょっとあっさり目でしたけど製作編でした。次回は補足の製作編か,そのまま静的編になります。ちなみに明日は多分お休みです。