学生フォーミュラを知ろう!#8 (改良期編)
今日は「学生フォーミュラを知ろう!」のスケジュール編の最後になります。大会に向けてどんどんマシンをアップデートしていく,改良期編になります。
パーツを作って走り込み
静的審査の準備と並行して,マシンの改良やドライバーの走り込みを行って大会本番への準備を進めます。マシンの改良はシェイクダウンに間に合わなかったパーツを搭載したり,実際に走行してみて発生した問題に対処したりします。また,カウルのように製作に最後に作らないとちゃんと搭載できないものなども再度に追加します。
ドライバー練習も重要で,しっかりマシンに慣れているかそうではないかでタイムが全然違います。チームでは「最も効果のあるチューニングパーツはドライバー」なんて元も子もないことを言われていました。
テスト走行ってどんな感じ?
テスト走行は各チームでカートのサーキットや,自動車教習所,広い駐車場などを借りて,もしくは支援という形で使わせてもらう形で実施します。また,定期的に数校や各地方の支部で広い場所を借りて合同走行会をしたりもします。
どちらの場合も小さいパイロンを設置して,円のコースやスラロームなどを作ります。合同走行会などは本格的なコースを作りますが,それも同じようにパイロンで作ります。そのコースを走ってタイムを比較したり,ドライバーのフィールを聞いたり,場合によっては車速や前後左右のG(加速度)などを実際に取ったりして評価を進めます。合同走行会などでは大会サイズのコース設定もできる場合があるので,エンデュランスを想定した燃費計測なども行います。
セッティングなどのその場でできる変更はしてしまって再走行,できない場合や新しくパーツを作る必要がある場合,大きめのトラブルが起こった場合は持ち帰って次回のテスト走行までに準備をします。
このサイクルを繰り返してマシンを仕上げていきます。その間に当然数人のドライバーをローテーションで乗ってもらい,マシンに慣れて練習もしてもらいます。やはりテスト走行は多ければ多いほどいい。大変ですが。
パワトレにはもうひと仕事
パワートレイン系,平たく言うとエンジン系ではもうひと仕事。エンジン系のパーツ検証やセッティングに特化したシャシーダイナモを使ったテストもあります。こちらは実際に走行をしないのですが,タイヤを機械にセットしたり,ローラ上に載せてタイヤを回すなどしてエンジンまたはモーターの出力(馬力)を計測します。パワートレイン系の担当の人はこっちが重要,といったことも多いです。ここでパワーを出すためのセッティングやエンデュランス用の燃費セッティングを行います。
こうして大会までにマシンを仕上げていくわけです。シェイクダウンのマシンが形になった時もいいですが,テスト走行を重ねてどんどん良くなっていくマシンを見ていくのもまたいいものです。
これにてスケジュール編は一区切り。次回は別の話題か,学生フォーミュラのこぼれ話的なものにしようかと。
ではまた。