えいえんにいきる(詩)
歯を磨くには目を合わせなくてはいけない……あなたも、私も、そうすべきだ。魚類の恋人たちから学ぶべきことはたくさんある。たとえば、恋の位置、キスの無秩序さ……𓆡こういう魚がいる。こういう魚から学ぶことはけっこうある。あるんじゃないかと思われる、そう、魚は歯を磨かない。匂うのではないか、口腔が……それでも捕食するときには内側の顎をつかって、じょうずに獲物をつかまえる「いただきます」。そう、魚は「いただきます」をいう。「ごちそうさま」もいうし、「死にたい」ともいうから話を聴かないといけないな。たくさん、たくさん、話を聴く必要がある。そう、魚は死にたがっている……だいじょうぶだよーというために、私たちは生まれてきている。生まれてきて、生まれつづけている。魚にいう、だいじょうぶだよー、きみはたくさん話していいし、鰓で気持ちを伝えきっていいよー、とも。それは許されているし、ここはとても守られている。「こんなにいい天気なのに」死にたいことだってある、それはとても当たり前のことだから、もっと話していいし、黙ってしまってもいい。魚の一匹として群れを離れ、目を潤わせて泣いていい。𓆡こういう魚には時間が大切だ。時間と、えいえんにいきるための場所が。だからきみは歯を磨かなくていい、恋をはじめるための位置がわかるのなら、眠りながら泳いでいい。いつだって魚は𓆡こういういきものだし、嫌われることもある。これも前にいったかもしれない。私は魚類がきらいだが、あなたのことはけっこう好きだ。